第545回 黒覆面の野鳥
①「東京都の都鳥」のユリカモメ(体長約40㌢)
①の野鳥を見て、皆さんはどう思われますか。覆面をした野鳥のように私には見えたので、調べてみましたら、このユリカモメは夏場の換羽に顔の部分だけ、こんなにも覆面を被ったような顔になります。クッキリと白と黒のコントラストがハッキリしているので、なかなか面白いと思います。ユリカモメは漢字表記で「百合鴎」とかきまので、普段ならユリのように白いのです。
②「斑鳩」時代からのイカル(体長約23㌢)
イカルは木の実をクチバシで廻したり転がしたりするため古くは「マメマワシ」や「マメコロガシ」木の実を好んで食べるため「まめうまし「豆割り」と呼ばれ、イカルという名の由来は奈良県の斑鳩とも、鳴き声が「イカルコキー」と聞こえるからとも言われますが、本当のところは「鵤」で、角(つの)のような丈夫なクチバシを持つことからきています。やはり夏場に覆面を被ります。
③「赤鶫」国指定文化財(天然記念物)アカコッコ(体長約23㌢)
アカコッコって何か幼児言葉で名前がついたように思いますが、このアカコッコはれっきとした国指定文化財の天然記念物であり、漢字表記は「島赤腹」「赤鶫」と書き、生息地は伊豆諸島、トカラ列島で「島赤腹」が当てはまり、またツグミの仲間なので「赤鶫」はピッタリだと思います。常緑広葉樹林、低木林、笹からなる藪地、農耕地などに生息しています。
④コマドリと間違われた「赤髭」のアカヒゲ(体長約14㌢)
アカヒゲは私たち世代の人間には、アカヒゲ薬局というちょっと変わった薬局を思い浮かべます。またコマドリと近種であるためか、本種とコマドリを取り違えて記載されたと考えられています。和名は「赤い毛」が取り違えられたことが由来とされます。このアカヒゲもアカコッコと同じく国の天然記念物に指定されています。
⑤和名「大寿林」オオジュリン(体長約16㌢)
⑤のオオジュリンは⑥のコジュリンとともにホオジロの仲間です。ともに物差し鳥のスズメより大きいか小さいかくらいです。この二種共にスズメが覆面を被ったように見えて非常に身近に感じてしまいます。この二種共に一応「留鳥」の部類に入りますが、オオジュリンは東北北海道に拠点を構え、コジュリンは九州熊本県と本州以北に拠点します。
⑥和名「小寿林」コジュリン(体長約14㌢)
この二種の身体の違いは⑤と⑥を比べると三つの違いがわかります。一つはコジュリンの「アイリング」はオオジュリンよりハッキリしています。二つ目は脚の色の濃さがオオジュリンの方が濃い。三つ目はコジュリンのクチバシの方がまっすぐに伸びています。しかしこの二種には縄張りを持ち、つがいを作った時にはたまに「コロニー」を形成するという集団防衛をします。