第1086回 野鳥と短歌
①https://www.u-can.co.jp/otona/literature/24/index.htmlより引用
②https://ja.m.wikipedia.org/wiki/石川啄木より引用の石川啄木
⑴石川啄木 ペンネームの啄木の由来は少年期に療養していた際「外から聞こえてくるキツツキ(啄木鳥)が木を叩く音にいつも慰められた」ことからと言われています。野鳥が好きな啄木の二首です 1.閑古鳥、鳴く日となれば起るてふ
友のやまひのいかになりけむ (一握の砂)→カッコウ
2.いま、夢に閑古鳥を聞けり。閑古鳥を忘れざりしが かなしくあるかな (悲しき玩具)→カッコウ ⑵伊藤左千夫
1.ばやし野分の跡のあかるきに吾立ち見れば鳶高く飛ぶ (左千夫歌集)→トビ
2.庭十坪市に住まへど春されば蒿雀(あをじ)さへずり夏行々子 (左千夫歌集)→アオジ
3.鶺鴒の来鳴くこのごろ藪柑子はや色づきぬ冬のかまへに (左千夫歌集)→セキレイ ⑶岡麓 1.ききとめてその名を友の間ひたりし斑鳩はふるき鳥にぞありける (涌井)→イカル
③http://pacem.web.fc2.com/lyricist/kitahara.htmより引用の北原白秋
(4)北原白秋
1.鷽鳥よいづくにか 鳴き、くくみて、色、匂、さまわかず、風なるか、空なるかも (新頌)→ウソ
2.かと思ふとその手紙より先きに大和の笠置から鵲の立つやうに飛んで来た (桐の花)→カササギ
3.百舌啼けば紺の腹掛新らしきわかき大工も涙ながしぬ (桐の花)→モズ
4.口授(くじゅ)しつつうしろ寒けき短日を懸巣は飛びてするどかりしか (黒檜)→カケス
5.ほのあかき朱鷺の白羽の香の蘊(つつ)み牡丹ぞと思ふ花は闌(た)けつつ (黒檜)→トキ
6.後照らす高麗雉子の彳(たたず)みはせつなかるらし連はあれども (橡)→コウライキジ
7.小綬鶏のこち来いと呼ぶ日あたりは何か黄葉でて雑木々の原 (橡)→コジュケイ
8.緋連雀春は群れくる枯れだの一枝一枝とほろぬくみつつ (橡)→ヒレンジャク
9.暮近き日あし選り来て田の縁(へり)に出てゐる鴫か此方向けるは (雀の卵)→シギ
10.冬いまに居つく秋沙鴨か波切の汭渚(うらす)の潟に数寄る見れば (夢殿)→アイサ
11.月照る野路の明さにて、など啼きやまぬ、鶉よ
(水墨集)→ウズラ
④https://www.google.co.jp/amp/s/tenki.jp/amp/suppl/grapefruit_j02/2017/02/25/20601.htmlより引用の斎藤茂吉
(5)斎藤茂吉
1.黒どりの鴉が啼けばおのづからほかの鳥啼く春にはなりぬ (白き山)→カラス
2.この山に小雀が木の間たちくぐり睦むに似たる争ひをする (白き山)→コガラ
3.黒鶫来鳴く春べとなりにけり楽しきかなやこの老い人も (白き山)
4.山かげに響をたつる流あり瑠璃いろの翡翠ひとつ来啼きて (白き山)
5.郭公と杜鵑と啼きてこの山のみづ葉ととのふ春ゆかむとす (白き山)→カッコウ、ホトトギス
6.山に居ればわれに伝はる若葉の香行々子(よしきり)はいま対岸に啼く (白き山)→ヨシキリ
7.あまづたふ日の照りかへす雪のべはみそさざい啼くあひ呼ぶらしも (白き山)→ミソサザイ
8.行々子むらがりて住む小谷をも吾等は過ぎて湖へちかづく (白き山)→ヨシキリ
⑤https://blog.goo.ne.jp/yattuanbook/e/249bbcd11b297ec90c4b214bf27b0df3より引用の斎藤茂吉の代表作のツバメが掲載されている「赤光」
9.鵯鳥は朝々来鳴く谷遠く鳴きつつ来るこゑの恋しさ (寒雲)→ヒヨドリ
10.のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁にゐて足乳ねの母は死にたまふなり (赤光)→ツバメ
11.さ夜ふけていまだ寐なくに山なかを啼きゆく木兎のこゑを聞きたり (ともしび)→ミミズク
12.頬白は淵のそがひの春の樹の秀(ほ)にうち羽ぶり啼きたるらしも (ともしび)→ホオジロ
13.雪つもるこの浅山に鳴きながら目白飛ぶ見ゆ番(つがひ)も共に (白桃)→メジロ
14.鷺のゑ暗きをわたりゆく聞こゆ風は南となりたるらしも (白桃)→サギ
15.わが部屋のすぐ近くまで樫鳥が来ゐてかたみに戯るらしき (白桃)→カケス
16.この園に鳥海山のいぬ鷲は魚を押へてしばしかが鳴く (のぼり路)→イヌワシ
17.やまたづのむかひの森にさぬつどり雉子啼きとよむ声のかなしさ (あらたま)→キジ