第2104回 帝王ウグイス
①https://brandingtailor.jp/bt_blog/bushwarbler/より引用のさえずりオスのウグイス(体長約16㌢)
私にとっては、①のタイトル写真の「ホー、ホケキョ」で有名なウグイスは身近なスズメやカラス、ハトとは違い、また春の訪れは夏鳥のツバメと共に、渡り鳥ではないにしろ子供の頃から強烈にイメージに残っています野鳥のひとつです。当時は今のように日本の野鳥を飼ってはいけないという法律はなく、私の大阪の実家でもウグイスは飼っていましたし、またサザエさんに出てきますように裏の家でも飼われていましたし、私の親はそのご近所さんのウグイスと鳴き合わせをして楽しんでいましたし、また盆栽の様に趣味でした。
②http://initial-m.jp/wp/2010/01/15/550より引用のつがいのウグイス(左がオス、右がメス体長約14㌢)
②の写真は珍しいことに、つがいのウグイスが水飲み場所に揃って現れた所を上手く撮って頂いたみたいです。解説にも記載致しましたが、雌雄同色のウグイスはオスの身体がメスよりも色合いは濃く、体長に至ってはオスはメスよりも約2㌢も大きいのです。大概の野鳥は猛禽類の鷹の仲間や一部の野鳥を除いては、オスはややメスより体色は濃く、ほんの僅かにオスはメスより大きく、雌雄の見分けは、性的二型のオオルリやジョウビタキなどの種のようにオスが派手な色合いで、メスは控え目の地味な色合いですから、一目瞭然に違いはわかりますが、ウグイスですらこの雌雄同色の鳥は見分けが難しいのです。やはり鳥類以外の哺乳類なんかは雌雄同色ですが、百獣の王ライオンはオスは成獣になりますと皆さんもご存知の立髪が生えて、雌雄の区別がはっきりとします。そこまではいきませんが『帝王』ウグイスはほかの雌雄同色の鳥よりさえずるオスの方が大きいです。
③-1.https://blog.goo.ne.jp/assistyanagi/e/80d6d66893c3a360f31fcc6ce6b73b4eより引用のつがいのオオルリ(右がオス、左がメス共に体長約16㌢)
③-2.https://www.birdfan.net/2018/06/01/62842/より引用のつがいのコマドリ(左がメス、右がオス共に体長約14㌢)
どなたでもご存知かと思いますが、ウグイスの姿形はわからないけれど「ホー、ホケキョ」のさえずりならウグイスをご存知の方は多いと思います。雌雄同色で、③-1.の写真のように、オスがメスより約2㌢も大きい。しかし容姿を知らない。これはウグイスが殆ど薮の中にいて、春先の繁殖期にしか、姿を現さないからです。そのため、民家によく現れるメジロがウグイスだと思っている方も多いです。それでもウグイスが『帝王』と呼ばれるのは「日本三鳴鳥」というのがあり、美しいさえずりの三種にこの称号が与えられました。その一角の③-2.の写真のオオルリは夏鳥で、性的二型のオスが派手な色合いで、メスは目立たない地味な色合いながら、雌雄共にさえずります。よく通る声で「ヒーリーリーチチン」「ピーピーチョイチョイジュジュジュ」「ピーリーリー」「ホィヒーピピ」「ピールリピールリ」「ジェッジェッ」と鳴きます。三種目の③-3.の写真のコマドリも夏鳥で雌雄共にさえずります。この鳥は雌雄同色ですが、写真をご覧になればお分かり頂けるように、オスはメスよりはっきり濃い色合いをしています。コマドリという名前の由来は「ヒンカララ」という鳴き声が馬の「いななき」に似て、いななく馬の事を『駒』といった事からきました。
④-1.https://www.birdfan.net/2021/03/05/81620/より引用の藪中のウグイス
④-2.http://uguisu-bird.com/archives/236より引用のウグイスの営巣
③の項でウグイスはメジロの姿と間違われることが多いとご説明致しました。通る大きなさえずりの「ホー、ホケキョ」はどなたもご存知の方が多いのですが、姿はこの④-1.の写真のように、春にしか藪中を飛び出していかないので、ご存知の方が少ないのです。しかし『帝王』と言われる繁殖形態は④-2.の写真のように、自分の縄張り内にいくつもの巣を持つ一夫多妻の繁殖行動です。この鳥のメスは、営巣し、抱卵し、子育てをするのです。オスはといいますと、それぞれの巣を飛び回り、自分の縄張り内をさえずりながらパトロールするという、やはりさえずりの『帝王』です。
⑤-1.https://www.birdfan.net/2017/01/27/49523/より引用のコウライウグイス(体長約25〜27㌢)
⑤-2.https://www.birdfan.net/2020/06/12/78894/より引用のオオヨシキリ(体長約18㌢)
⑤-3.https://www.birdfan.net/2021/06/11/82564/より引用のヤブサメ(体長約10.5㌢)
⑤-4.https://www.birdfan.net/2013/06/14/23088/より引用のキクイタダキ(体長約10㌢)
今でこそ「ホー、ホケキョ」は有名で、また「日本の三鳴鳥」にも選ばれ、ききなしもさえずりのまんまの「法、法華経」と仏教の国らしい鳴き声の捉え方です。よく間違われるのは、古書にも登場する「黄鳥(コウチョウ)」です。黄色い鳥と書きますが、ウグイスは黄色くはなく、その正体は⑤-1.の写真のコウライウグイスです。日本のウグイスはウグイス科の鳥で、その仲間には⑤-2.の写真のオオヨシキリを皮切りに、コヨシキリなどのヨシキリの仲間が二種。メボソムシクイ等のムシクイの仲間が六種、エゾセンニュウのセンニュウの仲間が三種、⑤-3.の写真のウグイスと同じ科のヤブサメの仲間が二種。後一種は⑤-4.の写真のキクイタダキで、計14種が日本でのウグイスの仲間です。よく間違われるメジロは仲間でないです。
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