第699回 詩歌で大人気のホトトギス(3回目)
①https://washimo-web.jp/Report/Mag-ShikiHototogisu.htmより引用のホトトギスのイラスト
ホトトギスといえば、学校で習った「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」と春が終わり夏がやってきた五月の初旬に、目にも鮮やかな「青葉」、美しい鳴き声の「ホトトギス」、食べておいしい「初鰹」と春から夏にかけ江戸の人々が最も好んだものを江戸時代前期の俳人である山口素堂が俳句にしました。そして有名なききなしは「特許許可局(トッキョ、キョカキョク)」「天辺欠けたか(テッペン、カケタカ)」があります。また俳人の正岡子規の名前の子規がホトトギスです。
②https://kotobank.jp/word/万葉集-138169より引用の「万葉集」
ホトトギスはその声が、人の叫び声のように感じられ、人恋しさを誘い人気があります。詩歌は百人一首では一首だけですが、万葉集四千五百余首のうち、鳥類最高の百五十六首に読まれています。ホトトギスの漢字表記もう多種多用で、不如帰(ふじょき)=中国でプルクイチュ(帰りたい)と聞き、この漢字表記で、また時鳥=夏に限って鳴くから(日本独特の表記)、郭公はホトトギスとカッコウが区別されるようになったのは鎌倉時代からなので、一つの野鳥として扱っていました。
③https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/148858より引用の「古今和歌集」
「橘」をホトトギスと共に詠んだ歌が二十九首もあり、それはホトトギスが柑橘類に付くアゲハ類の幼虫を好んで捕食したからです。「卯の花」は初夏の田植えを控えたこの時期、米粒に似た卯の花の咲く風景に秋の豊かな実りを願いながら見る花として添えつけられ、『田植鳥』と呼ばれたホトトギスとの取り合わせが好まれました。一緒に詠まれたのは万葉集に十五首あります。「忍び音」はその年に初めて聞くホトトギスの声で、鳴き初めの頃忍び音で鳴くとされていました。
④http://seiko1929.jugem.jp/?eid=5026より引用のホトトギスの初音
「初音」とは、初めて聞く声を初音といいまさすが、初音はウグイスとホトトギスだけです。それはウグイスの初音は春の訪れ、ホトトギスは夏の訪れを表しますから、この二つの鳥はその初音が待たれます。その当時ホトトギスは立夏の日に鳴き出すと考えられていたからです。ホトトギスは万葉集での表記が主に三つあり「霍公鳥」が九十四「保登等芸須」二十四「保等登芸須」二十三で、その他が四ありました。ホトトギスは万葉集では「霍公鳥」古今集では「郭公」の表記です。
⑤https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2017042600058_3より引用の托卵されたホトトギスの育て親のウグイスのメス
万葉集で鳥の歌は三十五種、六百十一首、その中で、ホトトギスの詩歌は百五十二、ガンは六十七、ウグイスは五十一、ツルは四十四あり、古今和歌集では、ホトトギス四十三、ガンは二十四、ウグイスは二十七あります。ホトトギスのあらゆる表記は、不如帰(うずきどり)、時鳥(あやなしどり)、子規(くつてどり)、霍公鳥(しでのたおさ)、杜宇(たまむかえどり)、蜀魂(しょっこん)で、霍の字義は『あわただしく飛ぶ鳥の形容』です。また皮肉なことにホトトギスはウグイスの子でした。
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