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第2263回 日本で共生する鳥
①https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c10509/より引用の「源平壇ノ浦の戦い」絵図
今回に登場致します鳥は『アビ』と呼ばれる海鳥で、古名を「潜鳥(かずくとり)」地方名「平家鳥」とも「へいけだおしとも」称されて、総称の『フクロウ』と同じように、呼称フクロウでもありますように、呼称アビもありますが、ややこしいことに『アビ』の名前の由来が①のタイトル日本絵図が示します「源平壇ノ浦の戦い」がその鳴き声が、壇ノ浦の戦いによる平家の滅亡を悲しむ声とされたことによります。水掻きをもつ趾より「足広」または「足鰭(あしひれ)」などから転訛したものとも考えられます。しかしながら、これらは瀬戸内海に多数渡来したオオハムと、多くシロエリオオハムの『アビ』の仲間であったようです。また水掻きの撲足の趾が身体の後方にあることより地方名として「あとあし」という呼び名もあります。アビという名称については江戸時代の中期よりみられますが、その和名はオオハムのハムと同様、潜水して魚を食(は)む「はみ(食み)」が変化したとする説があります。『アビ』の仲間は海洋に生息し、食性は動物食で、魚類などを食べます。
②-1.http://bird-muromi.sakura.ne.jp/zukan/abi/abi_moku.htmlより引用のアビ(体長約63㌢)
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②-2.https://toritoring.exblog.jp/23535961/より引用の『アビ』三種の上がオオハム(体長約72㌢)、中がシロエリオオハム(体長約65㌢)、下がアビ
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『アビ』と言う②-1.〜2.の写真の水鳥はカモの仲間ではありません。『アビ』という独立した潜水して魚類などを食べる『ウ』のようなものです。日本には冬季に越冬のため九州以北に冬鳥として飛来し、海洋に生息致します。この『アビ』三種がどう共生と関わっているかと言いますと、瀬戸内海の島では、正確にはほとんどがシロエリオオハムを目印にした「鳥持網代(とりもちあじろ)」または「鳥付網代」(とりつきあじろ)[8] と呼ばれる漁場での漁「イカリ漁」が古くから行われていた。アビ漁は江戸時代の元禄あるいは寛永に始まったといわれ、かつては芸予諸島の竹原市忠海沖から防予諸島の屋代島、今の周防大島沖まで広範囲に行われていました。アビの群れが好物のイカナゴを取り囲むようにして攻撃すると、追い込まれたイカナゴの群れは海中に潜り、これを狙ってマダイやスズキがやってきたところを一本釣りするというものでした。と過去形ですのは、限度を越えた大量の海砂採取で海底が荒れ、イカナゴが棲む生態系が破壊されたこと、高速船の運行でアビ類の生息が脅かされたことが、減少の原因と考えられていまして、1986年を最後にアビ漁は途絶え、今ではチラホラしかありません。
③https://blog.goo.ne.jp/sugi713/e/2ee6a69124fd4733be5261befec82f6bより引用の漁船を取り巻くカモメの群れ
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②の『アビ』は人にイカナゴの在り方を教え、そのイカナゴを狙って、マダイなどの大物の魚を人が網で掬い上げ、その時に網からはみ出したイカナゴを捕食することが出来ることの共生です。この③の写真は漁港でよく見かけます。カモメの群れがおびただしい数集まっているのには当然ながら理由があります。もちろん餌を求めている以外の理由は無いのですが、イカナゴ漁で出てくる大量のイカナゴの積み残しの部分を狙っているわけです。イカナゴ新子は大変小さい魚ですし、すべての魚が完璧に生簀に入っているかといいますとそうでもありません。網の目から溢れでているものや床に散らばっている魚、さらには陸揚げしたあとの残りの魚などが漁船から落ちてくるのを狙っているわけです。これは共生ではありません。
④https://switch-news.com/nature/post-61819/より引用のマンボウの寄生虫を食べるカモメ
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カモメはひとではなく、魚のマンボウと共生を致します。身体の後ろ半分を切ってしまったような、変わった姿が人気のマンボウ。見かけによらず、実はフグの仲間です。フグと言えば、体を風船のようにふくらませるイメージですが、体をふくらませることはできません。また、成長すると全長約3㍍にもなり、フグの仲間で一番大きくなる種類です。アメリカにおいて、まるでヒッチハイクをしているかのように、マンボウの上に乗っているカモメがいました。これはマンボウに付いた寄生虫を摂って欲しくて、マンボウが身体を傾けて、他の魚やこのカモメに身体を綺麗に掃除して貰います。カモメとマンボウの共生と言えます。
⑤https://www.google.co.jp/amp/s/www.yomiuri.co.jp/national/20220618-OYT1T50263/amp/より引用の合鴨農法
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⑤の写真は田んぼにアイガモが田んぼの中にいる害虫を食べてくれています。日本各地で1990年頃から、害虫や雑草を食べるアイガモを放し飼いにして、完全無農薬で米を栽培しています。この世間では合鴨農法と言われる農法の正式な名称は「 合鴨あいがも 水稲同時作」と言うようです。有機農業の一種でもあり、アイガモを利用した減農薬もしくは無農薬農でもあります。人間にとっては農薬を使用しないので身体には安心してご飯を食べることができます。カモにとっても人が管理する田んぼですから、⑤の写真のようにヒナから育ち、外敵に襲われることが少なく、早く成鳥になります。稲刈りが近づきますとこの役割から解放されると思いきや、お役御免と共に食肉処理されるみたいです。共生でなく共生労働と思います。