第1083回 野鳥と和歌 ⑵
①https://jp.freepik.com/より引用のイラスト
②https://www.pinterest.jp/pin/472526185888955242/より引用のウグイスの日本画
あ行) ⑴アイサ→山の際に 渡る秋沙のゆきてゐむ その河の瀬に波立つなゆめ (万葉集)
⑵ウグイス→心から 花の雫に 濡れちつつ うぐひすとのみ 鳥の鳴くらん (古今和歌集)
※ウグイスは、自分の名前を「ウグイス」と名乗って鳴いている。
⑶ウグイス→むめの花 見にこそ来つれ 鶯の ひとくひとくと 厭ひしもをる (古今和歌集)
『私はただ梅の花を見に来ただけなのに鶯は「人が来る、人が来る」と嫌がっているのはどうしてでしょうか』
※谷渡りのケキョケキョを、「人来、人来(ヒトクヒトク)」と聞きなした。
⑷ウトウ(よな鳥)→ますらをのえむひな鳥をうらふれて 涙をあかく落すよな鳥 (秘蔵抄)
③https://blog.goo.ne.jp/katodesuryoheidesu/e/2e619222f5bd3a78c7a33f54eda9dbdcより引用のカササギの日本画
か行) ⑸カササギ→かささぎのわたせる橋におく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける (大伴家持)
※カササギは七夕の夜、織姫が彦星に会うための橋をかけたとされる。
⑹カラス(おほをそ鳥)→からすとふ おほをそどりの まさでにも きまさぬきみを ころくとぞなく (万葉集)
※カラスは「ころく」と鳴く
⑺コチョウゲンボウ→手に据ゑて いでしさしばも それぬれば 野辺の花にや 乱れあひなむ (夫木和歌抄)
※現在のサシバではなく、コチョウゲンボウ
⑻コノハズク→我が国は 法いかめしき所とて 鳥も仏法僧とこそ鳴け (後鳥羽天皇)
我が国は御法の道のひろければ鳥もとなふる仏法僧かな (夫木和歌抄) 平安時代の僧、慈円
④https://imagenavi.jp/search/detail.asp?id=31041455より引用の鶴の日本画
さ〜は行) ⑼サシバ→渋渓の二上山に鷲ぞ子産とふ翳(指羽)にも君がみために鷲ぞ子生とふ (万葉集)
⑽鶴→鳴くこゑによりて名としたる物こそおほけれ。中にも鶴のこゑは都々留々、といふやに聞ゆるより、その名にもおひ・・・
※鳴き声の都々留々(ツルツル)からツルと名付けられた。
(11)ハイタカ→はし鷹の野守の鏡えてしかな思ひ思はず余所ながら見ん (古今和歌集)
忘るとは怨みざらなんはし鷹のとかへる山の椎は紅葉ず (後撰集)
我がために招き難かりしはし鷹の人の手にありと聞くはまことか (後撰集)
(12)ホトトギス→暁に 名告り鳴くなる ほととぎす いやめづらしく 思ほゆるかも (万葉集)
※ホトトギスは、自分の名をホトトギスと名乗って鳴いている。
⑤https://item.rakuten.co.jp/antique-otakaraya/41880/より引用のホトトギスの日本画
は〜ら行) (13)ホトトギス→うぐひすの 生卵の中に ほととぎす ひとり生まれて 己が父に 似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず、、、 (万葉集)
※奈良時代から、ホトトギスがウグイスに托卵することが知られていた。
(14)百千鳥→わが門の榎の実もり喫む百千鳥 千鳥は来れど君そ来まさぬ (万葉集)
※エノキの実を食べにムクドリ?が来る。
(15)ヤマドリ→足ひきの山鳥の尾のしだり尾の長長し夜を独りかも寝む (万葉集)
※ヤマドリの雄の長い尾は、長いことの代名詞。
(16)雷鳥→しら山の松の木陰にかくろひて、やすらにすめるらいの鳥かな (後鳥羽院)