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第669回 野鳥のクチバシの役割(前編)

①http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/animal/animalwatching-2.htmlより引用のイラスト

   以前にも野鳥のクチバシのことを語らしていただきましたが、皆さんもご存知のようにその野鳥の生活環境によって色や形がさまざまにあります。普通のクチバシの野鳥と言ってしまえば、何が普通で、何がそうでないのか。私たちが思っている普通のクチバシを持つ野鳥というのは、おそらく私たちの身近にいる野鳥のことだと思います。まず思い浮かべてみますと、私の場合は地理的にいうと、やや山沿いの街に住んでいますので、それを基準にしても、まずはスズメです。

スズメのクチバシ

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   ②の写真のスズメはどんな方にとっても身近な野鳥であることに違いありません。スズメの食性は皆さんもご存知のように、普段では植物の実や種子を食べていて、繁殖期になると子育てのために昆虫などの肉食を食べます。しかし主には種子を食べているのです。クチバシの形は太くて短い円錐形をしています。エサをついばむのに適した形になっています。また幼鳥はクチバシが黄色味がかっていますので、それを人間の若者に例えで「まだクチバシの黄色い若造が」となります。

シメのペンチのように頑丈なクチバシ

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   この③の写真のいかつい、怒った顔の野鳥はシメです。シメはそんなに身近な野鳥ではありませんが、イカルウソといったアトリの仲間です。イカルは新春早々に幹の新芽を頑丈なクチバシで剥ぎ取ります。そんな頑丈なクチバシを持つ野鳥の仲間です。シメの漢字表記は「鴲」と「蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)」です。「シー」と聞こえる鳴き声と、鳥を意味する接尾語である「メ」が和名の由来です。ムクノキ、エノキ、カエデなどの種子を主食なので強力なクチバシが必要です。

ハシボソガラスのクチバシ

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   日本でカラスといえば、街中でゴミを漁るハシブトガラスと山の麓や畑で見かけるハシボソガラスの二種です。④の写真はハシボソガラスのクチバシです。よくカラスの巣に近づいてしまうと、カラスはその黒いクチバシで、パコパコとかカチカチとか明らかにクチバシで威嚇します。時々ハトやスズメを襲い身を切り裂く鋭いクチバシ。胡桃を車でひかせて殻を割って食べるのも、そんなにクチバシが硬くない証拠です。クチバシは小さい骨がある角質の塊、爪のようなものです。

⑤ピンセットのようなハクセキレイのクチバシ

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   身近な野鳥として最近ぐんぐん見かける回数が増えてきたハクセキレイ。以前は川沿いの道にはセグロセキレイがいて、清流のところにはキセキレイがいて、という感じでしたが最近ではめっきり街中にハクセキレイは進出して来ました。コンビニやスーパーの駐車場にはハクセキレイの姿があります。そのクチバシが⑤の写真です。細長い身体に細くて、ピンセットのようなクチバシです。駐車場では何か地面を突いていますが、本領発揮は土中の虫をピンセットで挟みます。

⑥http://www.hokusetsu-ikimono.com/iki-h/inagawa-tori/mozu/mozu-2018-2019/index.htmより引用のちいさな猛禽類のモズのクチバシ

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   ⑥は私が好きな野鳥のひとつにあげるモズのクチバシの写真です。もう何回もモズのことは語っていますが、モズという漢字表記は「百舌鳥」で大阪府の県鳥にも指定されています。またモズといえば「早贄(はやにえ)」で、色んな獲物を捕獲して、縄張り争いの一環か冬への貯食かは判明していませんが、この写真のような「鉤型クチバシ」で獲物を切り裂いたり、この鋭いクチバシで咥えて、元いた枝へと飛び上がります。小さくても猛禽類の端くれであることを証明いたします。

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