第1226回 鳥の川柳 ⑴
①https://birdstory.net/illust/6042より引用のイラスト
②アオサギ(体長約93㌢)
あ〜う) ⑴ 青鷺(アオサギ)
❶ 青鷺の 茶碗で化す 料理茶屋
(鷺料理は少量でも高価)
❷ 青鷺と 化すは五位の 安茶碗
(料理は高価なのに、一位ではなく五位の安茶碗=五位鷺にかける)
❸ 青さぎを おつかなそうに さげて行き
(素人には扱いかねる食材)
⑵ 家鴨(アヒル)
❶ 羽根の有る いひわけ程は あひるとぶ
(あまり飛ばない)
❷ あひるでも 追えと黒鴨 ※1. 弐朱もらい
(あひる=深川の※2. 岡場所)(黒鴨=供男や下男) ※1. 弐朱 お金の単位 弐朱金や弐朱銀 ※2. 幕府公認の遊郭
❸ 黒鴨は 家鴨のやうな 下女と逃げ
(似た者同士)
❹ ガアガアと いう筈女房 元家鴨
❺ あひる住む 所も泥の 流れなり
❻ 泥水で 白く育った ※ 鶩の子 ※ 鶩→アヒル
❼ 安い鳶 あひるふさがり 鷹へそれ
(鳶=火消し)(鷹=夜鷹)
⑶ 鵜(ウ)
❶ 鵜の面は ※ 凡慮の外な 所へ出し ※ 凡慮(ぼんりょ)→凡人の考え
③ウグイス(オス、体長約16㌢)
う) ⑷ ウグイス
❶ 鶯と 梅は鳴ひたり 笑ったり
(笑う=花のつぼみが開く)
❷ 鶯の 片言梅は 笑ひ出し
❸ 鶯を 逃がして屋根の 谷渡り
(篭から逃げた鶯を追って屋根の上を追いかける)
❹ 南無阿弥陀仏 法華経を 猫が取り
(飼っていたウグイスが猫に取られた)
❺ 鶯は昔のままの感応寺
(鶯=法華経=日蓮宗 感応寺は日蓮宗から 天台宗に改宗)
❻ 鶯の 歌は春の序 古今の序
(古今集の仮名序に「花に鳴く鶯、水にすむ蛙の・・・」)
❼ 鶯も 蛙も泣かぬ 小倉山
(古今集には鶯と蛙の歌があるが、小倉百人一首には無い)
❽ 定家の 門に鶯 ないて居る
(藤原定家が編集した百人一首に、鶯は一首もない)
❾ 鳥飼の 鶯餅に 茶の初音
(鳥飼和泉は名代饅頭屋)
➓ 鶯や 鶉をつかむ 鷹の爪
(鶯餅) (鶉餅) (鷹の爪は銘茶)
11. 鶯を ききながらくう 藪のそば
④オシドリのつがい(左側がオス、右側がメス体長約45㌢)
う〜お) ⑸ ウズラ ❶ 化したての ※1. 鶉鷹より 猫に怖ぢ
(七十二候 「※2. 田鼡化して鶉となる」)
(モグラの天敵は鷹だが、ウズラの天敵は猫) ※1. 鶉鷹 タカを使ったウズラ狩り ※2. 田鼡(たねずみ) 野ネズミ
❷ 鶉でも 能(よ)いと藪入 よわく出る
(鶉=芝居小屋の後方の安い席が鶉座敷)
(安い席でも構わないから芝居を観たいとねだる)
❸ おだやかさ 鶉を敵に 八萬騎
(鶉狩りに旗本が集まる。徳川幕府には旗本八萬騎いたとされる。)
❹ 浅草に鳩 深草に鶉鳴く
(深草は京都の鶉の名所。「浅」と「深」の掛詞)
⑹ 鷽(ウソ)
❶ 鷽替の 神事と誘ふ 息子連
(鷽替の神事を口実に、※ 遊里へ行こうと示し合わせる) ※ 遊里(ゆうり) 遊郭
❷ 亀井戸と 号し息子は うそ祭り
⑺ オウム
❶ 異国から 来ても鸚鵡は 江戸言葉
⑻ オオバン
❶ 武の誉れ 小判の親を 御拝領
(オオバンも狩猟の対象)
⑼ オシドリ
❶ 鴛に 小袖を懸る 霜の夜
(鴛=オシドリのオス)(亭主に小袖を掛けてやるおしどり夫婦の女房)
❷ 三羽でも 一羽でも鴛鴦 あわれ也
❸ 春秋は 池へ鴛鴦 下りるなり
(上野不忍池に出会茶屋があった)
⑤ハシブトガラス(体長約56㌢)
か) ⑽ 鴨(かも)
❶ 芹の上 鴨昼寝して うなされる
(江戸の庶民は、セリと鴨を一緒に煮る)
❷ 伊勢屋から 又外へ飛ぶ 暮の鴨
(お歳暮用に鴨肉を購入)
❸ 寒見舞い 鴨は先から 先へ飛び
(お歳暮の鴨肉を、たらい回し)
❹ 日の足も 短く成って 鴨雑煮
(冬は日が短い。鴨も短足)
❺ 類は友 歯白が寄って 鴨の鍋
(羽白は鴨の一種、歯白は歯を染めていない女で、娘)
❻ いい鴨を網で捕らずに駕籠(かご)で捕り
(井伊掃部、桜田門外の変)
(11) カラス
❶ 悪だくみ している様に カラス群れ
❷ あれ烏め という振で 一つもぎ
(柿泥棒)
❸ 元朝の 烏鶴にも まさる声
(元旦の烏は神の使い、めでたいとされる)
❹ 鷺と烏と泊まっている 馬喰町
(馬喰町には公事宿があり、訴訟手続きができた)
⑥キジ(左側がオス体長約80㌢、右側がメス体長約60㌢)
か〜せ) (12) 雁(かり)
❶ 風呂を焚く 薪の中から 雁の糞
(雁が残していった木片で風呂を焚くことを雁風呂といった)
❷ 雁風呂の 長湯は後が 先になり
(雁の編隊は、後から来た雁が先頭になる)
❸ 雁は減り 乙鳥はふへて 国へ行
(雁鍋にされた分、減る)
❹ 琴柱(ことじ)ほど 霞の中を 帰る雁
(琴柱=人という字に似た形をしている)
(13) キジ
❶ 雉子橋で けんもほろろに 叱られる
(江戸城の橋、警護が厳しい)
(14) ジュウイチ
❶ 鳥に慈悲 滝に裏有 お山也
(ジュウイチの別称は慈悲心鳥、日光に棲む霊鳥)(日光の裏見の滝)
(15) ジョウビタキ
❶ 夜は衛士の 庭にきて啼 火焚鳥
(火焚鳥=ジョウビタキ)(衛士の焚火にかける)
(16) 白鷺(しらさぎ)
❶ 白鷺の 田をきたながる 足づかひ (武玉川より) →コサギ
❷ 白鷺は 首を畳んで 飛び支度
(17) スズメ
❶ お隣の 梯子を借りる 雀の巣
(18) セキレイ
❶ 鶺鴒は 一度教えて あきれはて
(セキレイは恋教え鳥)
❷ 芝居にて 見合い濡れ場が 教え鳥
❸ も一つの 伝授鶺鴒 泣いてみせ