第2103回 子育てのヘルパー
①https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32060000107より引用の幼い兄弟のヒナに給餌する兄さんのバンの若鳥
①のタイトル写真は題名のように、親の子育てをヘルプする鳥とネットで検索致しましたら一番多く現れたのが、写真のバンの幼鳥が自分の兄弟にあたるヒナに親に代わって給餌しているところです。人間社会的でも、兄や姉が忙しい母親を手助けして、幼い弟や妹の子守りをしたり、食事を食べさせたり致しますのと同じことを鳥でも行うわけです。バンは春から秋にかけて2~3回繁殖する事もあります。2回目以降の繁殖では、前回の繁殖で生まれた若鳥が、親鳥の縄張りに残り、ヘルパーとして子育てを手伝う習性が知られています。
②https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E5%AD%90%E5%AE%88より引用の鳥のヘルパーさんのイラスト
ヘルパーの定義とは、自分では繁殖せずに、他の巣の繁殖を手伝う個体のことをいい、協同繁殖ともいいます。場所的には寒い極地や温帯域に少なく、熱帯域に多いようです。また北半球より赤道直下の南半球に多く、オーストラリアは特に多いようです。性別ではオスに多く、死亡率の低い種に多いらしいです。低い死亡率では個体群の転換速度を低くなっています。そのため、独立繁殖の機会が減少し、分散独立を遅らせます。ヘルパーは性的に未成熟な若鳥の場合が多いと思います。
③https://www.demachi.ne.jp/gakko/shogakko/RKB-0014462-C.htmlより引用の弟妹の面倒を見る兄姉の鳥のイラスト
また、自分の縄張や、繁殖相手を得られなかった個体とか、巣作りに利用できる場所や餌の不足。
親の子育てを手伝うヘルパーの場合、自分と共通の遺伝子を多く持つ個体を残せることが出来ます。子育てを手伝うことによって、繁殖の経験を積み、自分の子育てに役立てることができるのです。また、繁殖していた個体が死んだ場合、よく知り尽くしたテリトリーを手に入れる機会が増えます。ヘルパーが多いほどなわばり面積が広くなり、ヒナへの給餌回数が増し、次の繁殖に移るまでの期間が短くなるという利点があり、ヘルパーの存在により子育ての成功率が高まり、こうした性質も高い割合で遺伝していく効果があります。
④http://mukudori-bird.com/archives/42より引用のヘルパーの多い集団生活の高いムクドリのヒナ
ヘルパーを行う種は世界では358種(3.9%)に登り、日本国内だけでも①の項のバンをはじめ、オオバンに、やはり水辺の鳥のカワウやカワセミ、この④の写真のヒナの集団性の高いムクドリややはり大家族で繁殖致しますスズメ、子沢山のエナガ団子のエナガ、カイツブリ、カラスの仲間のオナガとカケス、ルリカケス、夏鳥のツバメやイワツバメ、漂鳥のホオアカ、混群でお馴染みのシジュウカラやコゲラ、ウグイスの仲間の夏鳥のヤブサメ、一夫二妻のカヤクグリ、多夫多妻のイワヒバリなどの水辺や樹上の鳥で観察されています。
⑤-1.http://sankoujin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-22ab.htmlより引用の天敵のカラスから親鳥や兄弟をヘルプする若鳥のミサゴ
⑤-2.https://www.asahi.com/eco/column/wild/TKY201101070105.htmlより引用の魚を捕獲したミサゴ
イワツバメは一回目の繁殖で巣立った個体が、その年二回目の繁殖で雛に給餌が確認されました。子だくさんのエナガは六羽で育雛した記録あるようです。オナガのヘルパーはすべてオスで、その群れで前年に生まれた独身のオスがヘルパーになるようです。繁殖の終えたオスが再びヘルパーになることも。面白いのはヤブサメでやはりヘルパーは全てオス。あまり手伝わず、さえずっている
ヒナが巣立つとつがいのオスが世話をし、メスは離れた別の巣で、ヘルパーだったオスと二回目の繁殖をするという共同繁殖であると共に、時間をずらした一妻二夫でもあります。また猛禽類にもハヤブサやミサゴにヘルパーはいます。⑤-1.の写真だけご覧になってもどんな鳥かはわかりませんし、また、何故巣の周りに三羽いるのかもわからないと思います。⑤-2.の写真で猛禽類なのに、魚類を狩る鷹として有名ですが、川沿いにはハシボソガラスが縄張りを形成していて、子育て中でせっかく獲物をヒナに与えようとする親鳥から、獲物を奪います。それではと、前年に育った若鳥が兄弟のためにハシボソガラスを迎撃するという役割のヘルプをします。珍しい鳥のヘルパーです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?