第1159回 鳥の口
①https://oekaki-zukan.com/articles/9184より引用の鳥の口のイラスト
一般的に言いますと、鳥類の口腔は人で言う唇のような柔らかい口蓋を欠き、密閉出来ません。そのため、頭を下げたままでは吸水できない仕組みです。普通の鳥は水を含むと一々頭を上げ、重力で流し込みます。人なら口腔における消化は、消化酵素である唾液の中のアミラーゼがあり、少しは消化の助けになりますが、鳥にはほとんど含まれていないことから、飲み込むだけ。また、鳥類のアゴは人と違い、上下に開くことが出来ますので、多少の大きなものも口に入れられる筈です。
②http://nazenazemonoshiri.seesaa.net/article/439564097.htmlより引用のスズメの口
②の写真は身近な野鳥のスズメです。鳥には歯がありません。その理由として、重い歯や重いアゴは軽量化の妨げとなるからです。先端が角質化し、厚い角化重層扁平上皮で覆われて硬く、舌筋の発達が悪いので、運動性に乏しいです。哺乳類ほどには動かないですが、前後によく動き、嚥下を助けます。舌の中心部には舌骨という骨が入り込み中軸をなします。餌を丸呑みするサギ仲間の舌は非常に小さくかつ単純な形で、ウやカツオドリ、ペリカンでは小さく退化し、機能しません。
③https://ハト.xyz/archives/804より引用の給水できる鳩(写真はドバト)
冒頭に一般の鳥である、スズメやカラスは下を向いて給水することができませんが、③の鳩の仲間であるドバトやキジバト、アオバトは写真のように、水を吸い上げて飲むことができます。ハチドリは舌が細長く、縁は内側に巻いたチューブ状で先端は羽状になっています。このため舌が蜜に触れると、毛細管現象で蜜が吸い込まれます。メジロは花の蜜を吸いやすいように舌の先は筆状で、二つに分かれています。どちらかというと、吸い込むというより、筆に浸して食します。
④https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/vani-lla/entry-12431147931.htmlより引用のカラスの舌(写真はハシブトガラス)
昆虫食の鳥は裂状、肉食は滑らかですが中央が凹んでいます。濾食のカモでは肉質で両側が櫛状です。穀食では硬い円錐形。サギは鈎状。オオタカ
は先端からオレンジ、黒、ピンクと三色続いて、中央に溝があります。雑食のハシブトガラスは
舌の先は尖っていて、左右に分離。舌の表面には細かい多数の糸状隆起。舌の根本の表面全体には渦状の分泌腺の開口部があります。フラミンゴは舌を膨らませたり、縮めたり出来る特殊な舌で、クチバシを開くとプランクトンを吸い込みます。
⑤http://おなやみ.com/どうぶつ/13274/より引用のコキンチョウのヒナの口の中
変わった舌の使い方では、ツカツクリは地中に埋めた卵が、地熱で孵化するか温度を確認できます。キツツキは舌の先端に後ろ向きのとげがあって、表面は粘着性があります。またその長い舌で木の中にいる虫を引きずり出せるほど、舌はよく動きます。鶴は舌の付け根に返しが付いていて、奥に送り込むことができます。また、コキンチョウのヒナは、⑤の写真のように私たちにとっては不気味ですが、こうすることによって、親鳥の関心を引きつけて、給餌の催促を促すみたいです。