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第1689回 俳句の中の鳥

①https://www.google.co.jp/amp/s/jinpei.exblog.jp/amp/21835529/より引用の鳥の俳句のイラスト

   和歌と同じように、三省堂の『名歌名句辞典』から、室町時代から現代までの二六三二句の俳句の中で、鳥が読まれた句を探してみましたら、圧倒的にホトトギスが多いのですが、江戸時代までに二十二句詠まれ、現代は三句しかなく、合計二十五句でした。第二位はウグイスの十四句、第三位スズメの十三句、第四位カリの十二句、第五位ヒバリの八句の順になっており、三十三種類の鳥が詠われ、百五十二句が収録されていました。カラス七句、ツバメ六句、雉、千鳥、鶏の五句です。

②https://www.birdfan.net/2012/07/06/19205/より引用のホトトギス(体長約28㌢)

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   「テッペンカケタカ」や「特許許可局」などの聞きなしや托卵が有名なホトトギス。「鳴かぬなら~ホトトギス」という俳句が戦国~江戸時代に活躍した武将の性格をよく表現しているという話は有名です。しかし、このホトトギスの時世の俳句は作者とされる織田信長や豊臣秀吉、徳川家康が実際に詠んではいませ。それだけホトトギスがこの戦国三武将の性格を言い当てているということです。寛永19年〜享保元年の山口素堂は江戸時代の俳人「目には青葉山ほととぎす初鰹」は有名。

③https://www.birdfan.net/2020/06/26/79133/より引用のオスのウグイス(体長約16㌢)

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   鳥のことをあんまり知らない方も春先になり、「ホーホケキョ」の鳴き声を聴かれるとウグイスであると答えるはずです。それほど知名度が抜群なウグイスです。その別名も春告鳥や歌詠鳥など数え上げれば十八くらいになります。別名の春告鳥が示すようにウグイスは俳句において春の季語として扱われます。有名な俳句は、老鶯  若時鳥  今年竹  (正岡子規)、鶯や  餅に糞する  緑の先  (松尾芭蕉)  来るも来るも  下手鶯の  窓の梅  (小林一茶)  鶯の 啼くやあち向き  こちら向き (与謝野蕪村)

④https://www.birdfan.net/2020/01/17/76430/より引用のスズメ(体長約15㌢)

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   第三位のスズメは北海道から沖縄まで見られる私たちにとって一番身近な野鳥といえます。残念ながら別名はありません。いつの時代もスズメスズメです。非常に人懐こく賢いことで、あの清少納言も飼っていました。平安時代の枕草子にも源氏物語にも雀の子飼いについて記述があり、江戸時代の俳人小林一茶の一連の俳句作品にもあります。有名な俳句は、雀の子  そこのけそこのけ  御馬が通る  (小林一茶)   飛びかはす  やたけ心や  親すずめ  (与謝野蕪村)と昔から身近な存在です。

⑤https://www.birdfan.net/2021/01/15/80854/より引用のマガン(体長約72㌢)

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   和歌の部門では堂々の一位であったカモ科の鳥のうち、大型で首が長く、雌雄同色のもので、ハクチョウより小さい一群の総称の雁(⑤の写真はマガン)は、俳句でも第四位です。マガンカリガネヒシクイなどが生息し、北海道宮島沼や宮城県伊豆沼などに冬鳥として飛来します。漢字表記は雁及び鴈で、呼称はガンかカリです。有名な俳句はうつくしや  雲一つなき  土用空  (小林一茶)   ふり売の  雁ン哀れなり  夷講  (松尾芭蕉)   母恋ひの  若狭は遠し  雁の旅  (水上勉)と近代まで詠われます。

⑥https://www.birdfan.net/2017/06/09/53355/より引用のヒバリ(体長約17㌢)

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   五位のヒバリは二位のウグイスと同じく周年生息する留鳥で、春を告げる鳥としての認識は高いです。上空を長時間停空飛翔し、高らかにさえずります。漢字表記も雲雀、鸙、告天子で、別名も告天子(こうてんし)、叫天子(きょうてんし)、天雀(てんじゃく)、姫雛鳥(ひめひなどり)、噪天(そうてん)、日晴鳥(ひばり)などままだあります。雲雀として、草も木も  離れ切たる  ひばりかな  (松尾芭蕉)  揚雲雀では、物草の  太郎の上や  揚雲雀 (夏目漱石)  青空は 神のてのひら 揚ひばり(黛まどか)


             

                  

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