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第986回 カワガラスの水遁の術

①YouTubeより引用のイラスト

   忍者の水遁の術は「水を利用して逃れる術で、泳ぎ、水に潜り、あるいは水中に没して全身を隠す水に大石を投げ込むことで川に飛び込んだと追手に勘違いさせて欺くことも水遁の術に含まれる」と本当の忍者はこの術を敵から逃れるための手立てとして、この術を使いますが『忍者鳥』カワガラスは採餌のためにこの「水遁の術」を使っているのです。遁術は、忍術のうち、敵から隠れたり逃げたりするための術で隠形術ともいい「木遁」「火遁」「土遁」「金遁」の五つがあります。

カワガラス(体長約22㌢)

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   野鳥としてのカワガラスの漢字表記は「河烏」「川鴉」です。日本では留鳥として、河川の上流から中流域にかけてと山地の渓流に生息しています。全身が濃い茶色で、光の具合により赤茶色に見えることもあります。黒っぽい羽毛に覆われているのが名前の由来ですが、カラスの仲間ではありません。尾羽は短めで黒味の強い焦茶色で、目は茶色く、目を閉じると白い瞼が目立ち、クチバシは黒いです。雌雄同色でいつも単独行動か、つがいとの行動です。集団では行動しません。

③https://www.birdfan.net/2012/05/18/18745/より引用のよく似ているミソサザイ(体長約10㌢)

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   ③の写真はミソサザイです。この写真のこの鳥の姿勢を見ると、②の写真のカワガラスとよく似ています。趾は灰色でがっちりして、ミソサザイを大きくしたような体形で、短めの尾羽を立てた独特の姿勢を取ります。カワガラスの生息は平地から亜高山帯の川の上流から中流の岩石の多い沢に生息します。冬期の積雪時には下流側に生息場所を移動することもあります。またミソサザイは茂った薄暗い森林の中に生息し、特に渓流の近辺に多く、単独か番いで生活し、群れを形成します。

④https://note.com/hiho2351/n/nf48218433658より引用のカワガラス

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   こういうところも、カワガラスミソサザイは単独行動中心というところも似ています。つがい時には、一月頃から産卵しますから、一夫二妻になることもあります。ピッピッと鳴きながら、速い羽ばたきで川面の上を一直線に飛翔したり、跳び越えたり、頑丈な脚で岩をつかみ、水流の圧力を利用して川底を歩きながら水中で捕食を行ないます。尾羽を上下に動かしたり、風切羽を半開きにしたり、まばたきし、白いまぶたで、縄張りの侵入者を威嚇したり、また求愛行動に使います。

⑤https://blog.goo.ne.jp/chobin_0129/e/e32c96062c2f293d35ec5e686e467b28より引用の水中を歩くカワガラス

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  カワガラスには、足裏にスポンジのような指だこがあるようで、それで滑らず、川の中を水没したまま歩けます。尾腺が発達していて、そこから脂質の分泌物を出し、羽毛をコーティングした密な綿羽に包まれた体周りで水を弾き、翼は短いです。また他の陸生鳥類よりヘモグロビン濃度が高いので、潜水時間も最高23秒も息継ぎなしで大丈夫です。そして、開閉する鼻孔により、水中での水の浸入を防ぎ、川の流れに逆らって歩く事ができます。これぞカワガラスの「水遁の術」です。




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