第937回 オシドリ(8回目)の真実
①https://www.sankeibiz.jp/smp/express/news/150403/exh1504031120001-s.htmより引用のオシドリの交尾(体長約45㌢)
オシドリといえば、鴛鴦夫婦と言われる言葉があり、②の写真のように、オシドリはつがいになると何時もオスの後ろから影を踏まないようにメスが三歩下がって付いて行く印象です。しかし、仲が良いからぴったり寄り添うのではなく、他のオスに横取りされないようにつがい相手から離れず結果的に寄り添っています。メスが猟師に撃たれてもオスが逃げないこともあり、オスはメスに対して執着心が強いとされます。しかし、メスが抱卵、孵化した後にオスは別のメスとつがいます。
②夫婦の鑑とされるオシドリのつがい(左がオス、右がオス)
オシドリは1925年の狩猟法改正では、カモで唯一の狩猟鳥から外れています。また種内托卵の例も知られています。托卵というとカッコウやホトトギスが浮かびますが、オシドリは同種内で托卵しますから、今までの托卵とは違い、育て親の卵や雛を排除することはありません。托卵するオシドリは血縁が強いメスの巣に托卵している事を示しています。つまり、オシドリのメスは何らかの方法で血縁度を認識して、ムクドリの集団子育てのように、血縁者が助け合う托卵と言えます。
③https://blog.goo.ne.jp/siawase12345/e/c21d48c45d9afbdf3c485fdf6eee66f9より木の枝に止まるオシドリ
繁殖は多くは樹洞で営巣します。稀に地上の場合もあります。巣の選定はメスが行い、常にオスがついてまわります。産座にはメスの綿羽を敷き、10m以上の高さの樹の洞に営巣するので、孵化したヒナはそこからダイビングしなければなりません。樹洞は巣の底から入り口の穴まで深いものでは1m以上ありますが、雛は爪が発達しているので巣穴まで登れる。五月上中旬に産卵し抱卵はメスのみで、オスは雛の孵化後、つがいは解消です。
④https://www.pref.aichi.jp/mizushigen/mizu/toyogawa/touch/oshidori.htmlより引用のオシドリの銀杏羽のイラスト
その行動をオシドリは浮気ものと言われますが、オシドリの婚姻関係は一繁殖期が終わった時点で解消されますから、オシドリのオスからしたら言われのないことだと思います。野鳥界のプレーボーイかも知れません。その美しさの一つに、銀杏羽(④のイラスト参照)があり、三列風切の最も内側にある扇状の羽で第一三列風切といいます。内弁の羽枝を長くして飾り羽を形成し、飛ぶと水平になり、目立たなくなります。想羽(おもいばね)とも言われ、オシドリのオスの魅力のひとつです。
⑤https://pukapuka-note.blogspot.com/2018/06/blog-post_8.html?m=1より引用のオシドリの綺麗なメス
またオシドリはメスも⑤の写真のように美人です。ほかのカモの仲間と同じく、マガモの雌雄と同じく、オスが派手ないでたちで、メスは地味とされていますが、このオシドリのメスだけは、控えめですが非常に、他のカモの仲間のメスと比べると美人なように思えます。雌雄揃って目立つ体色なので、常に湖畔などの目立つ場所で泳がず、木陰ができる樹木が差し掛かる木陰に滞在します。またカモには珍しく、長い爪を活かして、木の枝に止まって天敵の来襲を見守ります。