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第1688回 和歌の中の鳥

①https://twoucan.com/search?q=和歌&id=3より引用の鳥の和歌のイラスト

   和歌・短歌は約千三百年の歴史があり、俳句も六百年の歴史があり、日本が世界に誇る文学です。日本の詩歌の本流をたどれる『名歌・名句辞典』(三省堂出版)という大辞典に和歌の中に鳥はどのくらい登場するのかと調べてみますと、和歌3221首のうち176回で35種の鳥が詠われています。鴨が意外に少なく、たった3回。ヒバリ(雲雀)は万葉に一首あり、室町に2首、合計3首。スズメ(雀)は室町と明治の合計で3首あります。鳥は明治以降はあまり詠まれません。昔の方が圧倒的に多いです。

②https://www.birdfan.net/2015/12/25/39469/より引用のカリガネ(体長約58.5㌢)

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   カリガネは日本に冬季に飛来する島根県の宍道湖や宮城県の伊豆沼、長沼などで越冬する冬鳥です。カモ目の鳥のうちで大形の水鳥の総称。稲負鳥(いなおおせどり)、雁(かり)、雁が音=雁金(かりがね)→雁そのものを指す場合と、雁の鳴き声を指す場合があり  つつなはせ鳥=つつなわせ鳥(つつなわせどり)→セキレイの異称も  二季鳥(にきどり)、二季鳥(ふたきどり)で、殆ど室町時代まで最高登場数の27回が登場しています。燕来る時になりぬと雁がねは国偲ひつつ雲隠り鳴く  (万葉集)

③https://www.birdfan.net/2017/10/27/56374/より引用のホトトギス(体長約28㌢)

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   二番目は托卵のホトトギスで、繁殖の為に飛来する夏鳥です。「特許許可局」の聞きなしも有名。計26回登場。網(あみ)鳥、あやなしどり、菖蒲鳥、妹背鳥(いもせどり)、歌い鳥、卯月鳥、沓手鳥(くつてどり)、早苗鳥、死出の田長(しでのたおさ)、黄昏鳥(たそがれどり)、たまむかえどり、綱(つな)鳥、時つ鳥、無常鳥(むじょうどり)、夕影鳥(ゆうかげどり)、夜直鳥(よただどり)などで、五月山 こずゑをたかみ  時鳥  なくね空なる 恋もするかな  (古今和歌集  紀貫之)と凄く有名な詩です。

④https://www.birdfan.net/2020/04/03/78618/より引用のオスのウグイス(体長約16㌢)

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   三番目は日本三鳴鳥の春の風物詩のウグイスです。「ホーホケキョ」で有名です。室町時代までで、さえずりの帝王の登場回数は22回です。呼び名も歌詠鳥=歌詠み鳥、黄粉鳥(きなこどり)、経読鳥(きょうよみどり)、金衣鳥(きんいちょう=きんえちょうは高麗ウグイスの呼び名で金衣公子とも)、禁め鳥(とどめどり)、香鳥=匂鳥(においどり)、花見草(女房詞)、花見鳥、春知らせ鳥、春告鳥、春鳥、春の使(はるのつかい)、人来鳥(ひとくどり)、法吉鳥(ほうきちどり=ほほきどりは古称)、耳目鳥(みみめどり)、百千鳥(ももちどり)。鶯のなけども いまだふる雪に  杉の葉しろき逢坂(あふさか)の山 (新古今・春上・一八・後鳥羽院)

⑤https://www.birdfan.net/2008/03/21/2323/より引用のつがいのタンチョウ(左がメス体長約130㌢、右がオス体長約140㌢)

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   総称の四番目の鶴は19回ですが、現代でも6回詠われており、明治時代を除くと万葉の時代から受け継がれてきていることがわかります。亀と並んで長寿の象徴の吉兆の代表的な野鳥の実際の寿命は長くて六十年ほどだといいます。別名は葦田鶴(あしたず)、仙客(せんかく→雅称)、仙禽(せんきん→仙界に住む霊鳥の意)、田鶴(たず)、千歳鳥(ちとせどり)です。正月の「松に鶴」はコウノトリとの勘違いです。妹に恋ひ  和歌の松原みわたせば  潮干の潟に  鶴鳴きわたる  (聖武天皇 新古今和歌集)

⑥https://www.birdfan.net/2021/04/09/81869/より引用のコチドリ(体長約16㌢)

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   シギチの仲間の千鳥とは総称で、その中の代表的なコチドリは本州、四国、九州で繁殖する夏鳥です。西日本以南の暖地では少数が越冬する留鳥で南西諸島では冬鳥です。チドリはチドリ(千鳥、鵆、鴴)、百千鳥(ももちどり)。五番目は千鳥で十回。鶴と同じく明治時代を除いて万葉の時代より詠い継がれています。古来日本では、野山や水辺に群れる小鳥たちを千鳥と呼び親しんできました。淡海の海(み) 夕波千鳥 汝(な)が鳴けば心もしのに古(いにしへ)思ほゆ  —柿本人麻呂『万葉集』

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