第834回 親しいがゆえのヤマガラ(7回目)
①https://ganref.jp/m/toru123456/portfolios/photo_detail/1220932より引用の大好きなエゴの木の実を食べるヤマガラ(体長約14㌢)
ヤマガラといえば、この野鳥に会いたいならエゴの木に行けば会えるというくらいに、①のタイトル写真にもあるように、この木の実が大好物です。エゴの木の実はその名が示す通りに「エゴい」味がして、ヤマガラや一部のヒヨドリを抜きにすれば、寄生樹のヤドリギと並んで、不人気の木の実といえます。なぜその実が「エゴい」のかと言うと、エゴの木の実にはサポニンという石鹸の材料の一部になるものが含まれているからです。その「エゴい」実をヤマガラは好みます。
②人懐っこいヤマガラ
でもその「エゴい」味の実を食べるのには訳があるはずです。ヤマガラの仕草のなかに、硬い木の実や種子を前趾(まえあし)でしっかり抱え込み、ヤマガラはさもキツツキでもあるかのように、その硬い木の実や種子を突き始めます。硬い殻はどんな野鳥も食べないにしろ、ヤマガラは殻と実の間の薄皮を丁寧にクチバシと前趾を使って取り除き、サポニンの含まれない実の部分だけを好んで食べるのです。基本的には木の実や種子をヤマガラは好み、人の手に乗った餌も頂きます。
③https://blog.goo.ne.jp/longq/e/1004a2df48feb196396f7110d6d536e2より引用のヤマガラとよく似た?ジョウビタキ(体長約15㌢)
またヤマガラは秋冬になると、カラ類の混群に参加して、リーダー格のシジュウカラの右手となり、群れを引っ張ります。シジュウカラの「ツーツーピー、ジュク、ジュク」などの単語の語りかけに対しても、ヤマガラは「ツーツーピー、ツーツーピー、ニー、ニー」とどことなく波長のあった言葉を返し、コガラ、ヒガラ、ハシブトガラ、ゴジュウカラのカラ類は勿論、普段から生息地が同じなキツツキのコゲラや、スズメの仲間のエナガまでも、シジュウカラの指示に従わせます。
④単語を使って言葉を交わすシジュウカラ(体長約14㌢)
ヤマガラはカラ類の仲間に間違いはありませんが、不思議なことに④の写真のシジュウカラやコガラ、ヒガラなどをご覧頂いてもお分かりになると思いますが、身体の色は基本的には黒と白と灰色が多いです。しかし、ヤマガラは黒と白と茶色の身体の色です。なんとはなしに③のヤマガラ側の顔と④のシジュウカラの顔は似通ってはいますが…③ではジョウビタキの身体もアップしましたが、顔の部分の黒と白の位置は違っていますが、体長もよく似通っていて、間違われやすいです。
⑤ヤマガラの幼鳥
ヤマガラの巣にシジュウカラが間違えて卵を生んだ話が報告されています。これはホトトギスやカッコウのような托卵とは厳密には違いますが、他の種の巣に卵を生む、という意味で「托卵」状態です。また反対にシジュウカラの巣にヤマガラの卵を産んで、シジュウカラが卵を孵化させた例もあるように、何か密接な親近感を感じます。カッコウやホトトギスのように敵対心剥き出しの托卵ではなく、相手が混群で行動を共にする相手だからと言うような。でも育ったヒナは大変です。
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