第770回 鶏は飛べる?
①https://sachianimal.com/sekisyokuyakei/より引用のセキショクヤケイ
誰もが知っている鶏が空を飛べるなんて、思っても見ないことだと思います。その昔は鶏も野生種しか存在せず、キジのように飛んでいました。ただよく伊勢神宮の内宮に放し飼いされている尾長鶏と尾鷲鳥、小国鳥の三種ですが、放し飼い故に夜になって寝るときは鶏が飛べる高さの木の枝の上に止まって寝るわけです。しかしこれらは改良種の家禽で、飛ぶというかそのねぐらとなる木の枝に飛び上がるという感じです。ここで語ろうとしている鶏は野生種の「野鶏」です。
②https://livedoor.blogimg.jp/maranda/imgs/8/4/844e9a23.jpgより引用の飛行中のセキショクヤケイ
①の写真のセキショクヤケイという野生種の鶏を見れば、ああこれが今いる⑤の写真のハクショクレグホンやナゴヤコーチンといった養鶏の鶏を生み出した鶏の原型の「野鶏」だとわかります。これらの「野鶏」は森林や林縁、農地周辺などに生息します。「野鶏」と辞書を引けばキジと出て来ますが、言うなれば現在のヤマドリやコジュケイも「野鶏」のひとつでこの種たちも長距離の飛行は苦手です。形態や生態、からセキショクヤケイが家禽化されニワトリになったとする説が有力。
③https://jp.depositphotos.com/237269694/stock-photo-grey-junglefowl-sonnerat-junglefowl-gallus.htmlより引用のハイイロヤケイ
野鶏には③の写真のハイイロヤケイと④の写真のスリランカセイロンヤケイの計三種が家禽や養鶏の原形である「野鶏」と言われています。また有史以前には、「野鶏」はユーラシア大陸全体に分布していたが、東南アジアで進化したようです。いくつかの化石種について記述されていますが、種間の差異については確立されていないようです。今では東南アジアに広く分布していて、特にスリランカセイロンヤケイはスリランカの国鳥にもなっています。
④https://www.pinterest.jp/pin/222576406564369893/より引用のスリランカセイロンヤケイ
飛ぶことを忘れていない「野鶏」とは、鶏はこれを家禽化したものと現在では考えられています。近年では人間に飼われている鶏との交雑(遺伝子汚染)が進み、純粋な野生種は絶滅の危機があるともいわれています。なお、日本の地鶏などはこのセキショクヤケイの特徴を残しているものが多いです。このセキショクヤケイも飛べるには飛べますが、キジと同じく短距離しか飛べません。胸の筋肉が長距離を飛べる構造にはなっていないため、また地上採餌なので筋肉が衰えました。
⑤http://takakis.la.coocan.jp/keisyu.htmより引用のハクショクレグホン
その「野鶏」を基にして、肉の味が美味しくて「野鶏」は年間にして、卵を十個程度しか産まなかったものを年間三百個まで産ませるいわゆる改良種を生み出しました。当然に野鳥であった時のように、外敵のイタチやキツネに襲われることなく、また少し離れたところまで飛んで行って採餌する必要すらなくなり、安全な鶏小屋に入れられて、餌と水を配給されていましたら当然、胸にある羽ばたく筋肉が衰えて、飛行出来なくなるのは自然の理です。それが飛べない理由なのです。
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