#12 2人1組

私は、学校では口数が少なく(というよりも無口で)、他の人と一緒に行動するというよりも一人で行動するタイプの人間である。一人で飲食店に入れないという恥ずかしがり屋もいるらしいが、一人で入ってはいけないというルールがない限り、なぜ入ることができないのかわからない。それほど私は一人で行動することが多い。

一人で行った事のある場所としては、映画館やファミレス、野球観戦、お台場(レインボーブリッジからの散歩)、昼間の学食、ラジオイベントなど、今思いつく限りこんな感じである。一人カラオケや一人焼肉、一人旅行などもあるだろうが、そもそも私はカラオケや焼肉にあまり行く人間ではないため未経験である。旅行もそこまで好きではない。(大学生は海外旅行に行くというような流れがあるが、私は東京を散歩するので十分楽しいのであまり行く気になれない。)

だから、学生時代に体育の授業やグループワークで一回は聞いたことがあるだろうワードである、先生が「二人一組組んでください」というようなかんじの指示に対して拒否反応を示してしまう。

普段から一人で行動しているから、気軽に話せる人がクラスの中にほとんどいない(皆無の時期もあり)。この状況で2人1組などと言われたらどうしてよいかわからなくなる。こんな自分が声を掛けたら不思議がられるだろう、なんでこいつとなんて思われていそうで申し訳ない気持ちになってしまいどうにも動けない状況になってしまう。または、自分が困ったときにだけ都合よく声をかけてくる奴なんだなとも思われてしまうことにないして嫌になってしまうが、それは実際そうなので仕方がない。

そんなことを思いながら周りを見渡すと、他の人が私から遠ざかっていくようにペアが組まれていくため、余りものになることが頻繁にある。体育の授業であれば、たまに先生とペアになることもある。そうすると、先生にも自分には友達がいないという印象を抱かれてしまい、いっそどこかに逃げてしまいたくなる。しかも2人1組が複数の授業であろうものなら、職員室で「○○は友達が少ない」といった旨の会話が交わされている可能性があると思うと羞恥心が込み上げてくる。

普段一人に慣れているとはいえ、2人1組という形で自分がどれだけ周囲の人と触れ合っていないかがクラス中に露呈されるのはきついものがある。一人でいること自体はよいが、遊園地やお祭りの中で一人だと相対的にしんどくなるのと同じ構造である。

だから、2人1組の授業の前は気が重くなってしまう。そのため、そのときその場にいる人数が奇数か偶数かを把握する癖がついてしまった。こういうことが影響してかわからないが、数学の中でも整数問題は得意だった。

2人1組の他にも、自分たちでグループを組んで課題に取り組み最終的に発表する授業なんかもある。

それだけでも私にとってきついのだが、さらに「一人で取り組むのもOK」というのがある場合、他の人がグループを組む中、一人でグループ課題に取り組まなければならないため、かなりの地獄である。

実際、そういう授業が高校1年の3学期にあった。動画を撮影・編集してCMを制作するという課題である。

私は色々あって一人で取り組むことになった。大してパソコンでの動画編集が得意なわけではないため、技術的にも企画考案の面でも困難を極めた。

企画は一人で考え、動画撮影には他クラスで同じ部活の同期に協力してもらった。そして音声・動画編集は一人で行った。放課後や昼休みにパソコン室が開放されているので、部活後の時間を使って一人編集を進めて課題を制作し終えた。

課題作成自体も大変だが、なんといっても発表を一人で行うというのが最上級の拷問であった。人前に一人で立つのがというよりは、自分のセンスで企画・編集した内容が他のクラスメイト40名弱に見られ、点数として評価されるのが耐えがたかった。

他のグループが面白い発表をする中、私の企画は大して面白いわけでもないので、40人の前でスベって終わった。

発表まで終わったとき、過去最大の羞恥心が残ったのと同時に、仕事分担が偏りあまり制作に携わっていないメンバーが出るような他グループもある中で、一人でやり切ったという自信も得ることができた。

一人で行動しているために余計に味わったこういう苦しい体験は、普段から周りの人とコミュニケーションをとっていればなかっただろうに。多くの人にとってコミュニケーションをとるという普通のことができないから余計な負担が増える。これは即刻改善したい。この授業から早7年たっているが、まだ治っていない。。。直す気はあるのだろうか。。。


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