#36 ハガキ職人という言葉

ラジオ番組内でのメールコーナーで頻繁に採用されるために馴染みのあるラジオネームの人がいるが、そういった人々は「ハガキ職人」と呼ばれる。

昔はハガキにネタを書いて番組に数多く投稿していたことからそのように呼ばれるようになったのは理解できるが、現在では、ハガキではなくメールによる投稿がメインとなっている。そういった時代の変化にも関わらず、ずっと「ハガキ職人」という呼び方が変わらないことに私は興味を持った。

例えば、近年でいえば、ツイッターの名称がエックスに変更されたが、人々は即座に新しい呼び方に対応したように感じられた。従来使われていた「ツイート」や「リツイート」という言葉から、「ポスト」「リポスト」と変更されたことについても今までの使っていた言葉がまるでなかったかのように何の違和感もなく社会が進んでいるようにみえる。社会は、特にSNS世界では、新しいことにすぐ順応するようにできているのだろう。

少し話は逸れるが、数年前にあんなにブームだったタピオカジュースもブームが去るときは一気に去ってしまうのだと感じたのを思い出した。

この流れに倣えば、今やラジオ番組への投稿がメールメインになっていることから「メール職人」となるばずだが結果そのようにはなっていない。そうすると、ラジオの世界というものは一般社会とは異なり、新しいことについて順応するという流れがあまり強くないということになるのであろうか。

「ハガキ職人」という言葉の方が、ハガキという物質によるアナログな雰囲気があり、その雰囲気に従って何通も投稿する姿勢から感じられる一種の泥臭さのような意味を内包できるような感じがするように私は解釈した。

とはいえ、現在ではラジコなどスマホのアプリから簡単にラジオが聞けるようになったためラジオの世界はデジタルになっている。さらに、タイムフリーで聞くことができるため、生放送だけのときよりも多くの人に届きやすくなると同時にコンプライアンスの要求が高まる原因にもなっただろう。実際、私もタイムフリーがある時代からラジオを聴くようになった。

ただ、音声のみのラジオの雰囲気には、たしかに他のコンテンツよりはアナログに近く安心感のある空間が広がっているように私は感じる。そういった雰囲気ゆえに「ハガキ職人」という言葉は死語にならず今もなお生き続けているのだろうと考えられた。

ハガキ職人以外にも、新しい呼び方や流れが誕生したものの昔からの言葉を使う場合は何個か思い当たるだろう。

私が小学3年生くらいの頃に、近所のジャスコやサティが「イオン」という名称に変更になったが、ジャスコについてはイオンと呼ばず昔の呼び方を使っている。現在の大学受験で課される「共通テスト」のことは、一旦「センター試験」から置き換えて考える。私より年上の人なら「共通一次」から「センター試験」、そこから「共通テスト」につなげていく必要がある。

他にも思いつきそうだが、すぐには思いつかなかったのでこの程度にすることにする。


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