0930週 マットをみんなで運ぶとき
0930 月
一緒に働いている先輩が休暇中だからか、やたら慌ただしい。先週受け取った上司からの助言を心に留めて労働してみると、こういう職能なのか、というのが腑に落ちてきた。腑に落ちたとはいっても、身に染みて納得しているというわけではないのだが、頭で理解できているのとわけもわからず手を動かしているのとではかなり精神的なダメージが変わってくる。
帰宅して米を炊こうとしたら、炊飯器の液晶が反応しない。困ったなあ、と思いつつも、中島浮世さんの記事を思い出してルクルーゼ炊飯にチャレンジしたところ、かなり上出来な仕上がりになって嬉しい。夫も「鍋でこんなうまく炊けるんだ」と喜んでくれたので、たまにはいいかも。炊飯器は、帰宅した夫がコンセントを抜き差しして直してくれた。電化製品に弱すぎて、コンセントを抜いてみるということを思いつけなかった己を恥じる。
1001 火
在宅勤務。朝の始業前に朝井リョウさんの新刊発売サイン会申込のため、丸の内丸善に600回くらい電話をかける(600回は誇張なしのリダイヤル回数)。なんとか整理券を得る。店頭か電話取り置きでしか整理券を得られないシステム、何か事情があるのだろうけれど、オペレーションに携わる方々が大変そうすぎるよ……!
労働ではよくわからないことばかり発生する。前部署では自分で手を動かして解決するものごとが多かったけれど、現部署で求められているのはそういうことではなく、「チームで動く」タイプの労働はまだうまくできない。いつか勘所を掴める日がくるのだろうか。
退勤し、近所の書店で朝井リョウさんの新刊をゲットし、早速読む。これが小説というジャンルの文章なのかわたしにはわからないけれど、朝井作品特有の容赦ない構造化と言語化を堪能できて嬉しい。人は誰しも共同体の「外部」にいる部分をもっていて、社会生活に不都合だから視界に入れないようにしているそれを眼前に突きつけられるような読書体験だった。最近、所属している共同体(会社)で求められる人間性を自分が持ち合わせていないのではないかと感じる機会が多くて、いま読めてよかった。作中で何度か比喩的に用いられる「マットをみんなで運ぶとき、手を添えるだけで力を入れない」という感覚、最近になって理解しはじめたように思う。ずっと疑問なくマットを前に運び続けられていたことは幸運だったんだな。
昨日のルクルーゼ炊飯に味を占めて、今日はタコ飯を炊いた。これまで我が家の炊き込みご飯は夫の専売特許だったが、彼も気に入って大量に食べてくれたので、今後はわたしも積極チャレンジしていきたい。
1002 水
10月とは思えない暑さ。しまいかけた半袖を慌てて取り出した。午後から仕事で外出。打ち合わせの途中で昨日読んだ朝井リョウ最新刊のことを思い出して、労働の場から精神的な距離を取ってしまった。反省である。
わりとしっかり働いて退勤。夫が明日から出張なので、実質今日が華金だよね♡ということで、職場近くの駅で待ち合わせる。最初に入ったオイスターバーがかなり微妙で、仕切り直して神田に移動し、「タンだけ」という焼肉店へ。その名の通りタンの専門店なのだが、サイドメニューも含めてかなり美味しいしエンタメ性も高く、すばらしいお店だった。タンという食材の幅をあまり考えたことがなかったので、こんな感じになるのね!といちいち楽しい。満腹になりすぎて数駅歩いてから最寄り駅でカラオケに行って帰宅。完全に金曜日の精神だけど、まだ2日もあるんだよな。
1003 木
在宅勤務。ふと思い立って昼休みにジムに行ってみる。空いてるし、30分走ってシャワー浴びるくらいならぜんぜん間に合う。ありかもしれない。二回化粧するのが面倒なので、午前中に打ち合わせがない日に限るけれど。
最近食べ過ぎという自覚があったので、夜はシンプルにしてお酒もやめておく。夫が数日不在だというだけで激しく手持ち無沙汰になってしまい、来月の香港旅行の飛行機を予約し、インターネットで関連情報を漁りまくる。暇が不安なので週末用のタスクリストもつくる。ひとりの時間を楽しむことができない。
1004 金
出社して打ち合わせ。仕事でかかわる人から、自分の感覚では到底ありえない内容の台詞をサラッと言われて、怒りや呆れを通り越しておもしろくなってしまった。わたしもこれくらい自分の都合だけで物事を考えていきたいわ。粛々と働いてから職場の飲み会。若手中心の会で楽しくはあったが、男性主体の部署特有のトークテーマが多くて若干しんどさもあった。などと言いつつ、2軒目のカラオケまで行って終電を逃し、タクシーで帰宅。謎にお腹が空いてコンビニラーメンを食べた。たぶん2年ぶりくらい。
1005 土
なんとか午前のうちに起床してジムへ行く。身体がお昼ごはんを欲していなかったので、フルーツヨーグルト。少し作業をしてから、ずっと欲しかった指輪を見せてもらいに表参道へ。かなり理想的な指輪だったので、来週あらためて来店予約を入れた。買っちゃいそう。
ひとりの休日はなにか意味のあることをしなければと焦りがちで、友人の結婚式に着ていくドレスを決めたり、蔦屋書店で香港のガイドブックを眺めたりした。ついでに香港が舞台の書籍も買う。
夕方、麻布十番で友人とごはん。参鶏湯の専門店ということで、あえてノンアルコールで健康的な気分に浸る。とってもおいしかった!友人とは結婚した時期やキャリアの志向性が近く、お互いがいま考えていることを共有する。女の人生、どう生きても誰かのことは失望させちゃう気がするよね、などと。
ヘルシーな夜だったな~と帰路についていたら後輩に呼び出され、カラオケバーで2時まで飲んでから帰った。一転して不健康。
1006 日
昨日の深夜に夫が帰宅してきたので、出張の話を聞いたり旅行の話をしたり。しかし彼は昼飲みに出かけてしまった。さみしい!!!自分がこんなにさみしさに弱い人間だとは。大学生のときのひとり暮らしもまじで楽しめなかったので、そういうことに向いていないのかもしれない。気を抜くとすぐ誰かに依存したくなってしまう。
昨日友人との会話のなかで「住環境を整えられる人は本当にえらい」という話が出て、ふと、そういえば自室にある本が完全に本棚のキャパシティを超過して久しいことを思い出した。ラックを本棚として使っているのだが、完全に埋まりきっており、横倒しにした本を隙間に詰め、さらに仕事用のデスクの壁際も本で埋めつくされ、最近それでも収まらなくなってきている。本棚購入が火急のタスクであるように思えてきたので、家具屋さんへ。いくつか見て回ったけれども、結局IKEAの本棚がよさそうだなあという結論に至る。なんといっても安いので……。
夫とコミュニケーションがうまくいかず、都心での合流に失敗したので21時過ぎに家で再集合して晩ごはんを食べた。
写真はタン。ひとつの食材の専門店、いろいろ行ってみたくなった。