湯治宿デビューは完璧すぎて君が怖い小谷温泉 大元湯 山田旅館
そもそも我々素人温泉探泉隊はまだ誕生2年ほどのひよっこ組織である。
我々そろそろ死期も近い。残りの人生どういきるべきか?と思案している時に出会った高橋一喜さんの著書、日本一周3016湯にインスパイヤーされる。もとより、道の駅スタンプラリーや100名城スタンプなど、なにかを制覇していくのが好きなのであるが、この人が1年でやったのであれば、我々は残りの人生10年でできるのではないか?という軽い思いつきであった。
なになに、彼の著書を読むと、ほぼペーパードライバーであた著者が車を買うところからスタートしたと・・・。
ということで、私も車を購入。え! ハスラーGターボだ。ナンバーを1126には流石にしなかったところで、覚悟がないとは言うなかれ。
半年待って納車。納車1週間で、我々がまずどこに行くべきであるのかと慎重に検討を重ねて参りました結果、本命は、小谷温泉山田旅館、穴馬はあっと驚く奥蓼科渋御殿という結論に達しましたのであります(わかる人にはわかる)。
少し懸念はあった。温泉ど素人の我々にしては、山田旅館と渋御殿は荷が重すぎるのではないか???敷居が高すぎるのではないか?と。
山田旅館2泊、渋御殿1泊では、精神的にきつすぎるのではないか?と言うことで、最後の1泊4泊目は、蓼科温泉の瀧の湯をスケジュールに組み入れてみる。いやはや、瀧の湯さんを軽んじているわけでは全くない。誤解なきよう。あくまで最後の1泊は大規模温泉で一般温泉客に紛れて肩の力抜いてゆっくりしようね・・・というくらい、我々は湯治温泉素人であるということだ。
2022年6月吉日、いざ小谷温泉へ。ハスラーGターボは快調に、舞鶴道から北陸道を駆け抜けてくれる。今時の軽はすごいなあ、と感動しつつあっという間に糸井川へ。
舞鶴道と北陸道が繋がったメリットは関西人には計り知れない。名神周りよりちょっと時間かかるけど空いていて快適なのだ。
3時のチェックイン時間の2時間近く前に、道の駅小谷に到着。信州に来たら蕎麦だもんねという定番路線を進もうと思いきや、なんと、なんと、かまどで炊いたご飯お代わり自由なんて言う恐ろしく魅力的なメニューがあるではないか。
おかずも自由に選べて、生卵でタマゴかけご飯もできるという。これは食べるしかない。これ一択。蕎麦は明日戸隠に行くので、そこでしっかり食べるからね、よーしよーしとはやる心を落ち着け竃抱きご飯をいただく。
もちろん、美味い。
ゆるりと昼食をいただいてもそれでもまだ時間があるので、山田旅館のさらにその先にある雨傘荘まで行って見ようと決めてハスラーちゃんを走らせる。
山田旅館を超えたあたりから、道幅も狭くいよいよ山道って感じで少し不安になりながら登っていく。雨傘荘の手前に露天風呂が出現。もちろん雨傘荘の露天なのであろうが、受付もなく寸志を入れるポストが設置されているだけの懐の深さ。(撮禁のため写真はホームページより拝借)
見学だけして入浴はせず。平日の午後一番にも関わらず洗面器抱えた入浴客が次々訪れる。これはただならぬと予感して雨傘荘近辺でターンして山田旅館へ。
到着。駐車場に車を入れる。10台くらいは停められるスペースがある。恐る恐る旅館入り口へ。山田旅館は、江戸時代の建物が残っており、有形文化財に指定されているほどの由緒正しい湯治宿である。我々はその本館(江戸時代建築)に宿泊を頼んでの臨戦(泉)である。
受付で手続きを済ませ案内された部屋は、ギシギシなる階段や廊下を歩いたかなり奥の五番という部屋であった。予約時にうちのツレが、とにかくツレ(私)はいびきが煩いので、皆さまと離れた部屋があれば・・・と宣告していたこともあり、ちょっと先の部屋だ。もちろん和室(広い!10畳くらいあるか)、エアコンなし(扇風機はあった)、扉は障子。当然鍵はなし。古いみずやなども置いてある。「おお、これはよいよい、あぁ、これはたまらぬ、いかぬ、いかぬ」、と急速に江戸の人となっていくのであった。貴重品を保管するミニ金庫のようなものはあったけど、そんなものは、この宿に来たらいらぬ!と財布をその辺りに放り投げ、さっそく浴場に向かう。
昔ながらの浴室棟の内湯と、別館(新館?)に内湯と露天風呂(展望風呂)がある。内湯好きの私は、まずは昔のまんまの本館内湯へ。5~6人も入ればいっぱいの浴室は、ホームページの文言をお借りすれば、「大正ロマンを感じるデザイン」で、2mくらいのところにある湯口からドバドバドバドバと大量のやや黄色のナトリウムー炭酸水素塩泉が大量にかけ流されている。湯口は堆積物がびっしりで、この宿の歴史を感じることができる。湯温は43℃〜44℃くらいでちょうど良い。少し硫黄臭がありとろみも感じる、つまり完璧だ。のちに別館の檜風呂(内湯)と展望風呂に入ってみたが、湯質は(多分)同じで大正ロマン内湯より若干ぬる目であった。
数組の宿泊客がいたが、ロマン内湯ではほぼ独泉、宿泊客しか入れない別館の展望風呂では一人先客がおられた。
男子展望風呂は、3面が贅沢に解放された東屋風の造りで妙高戸隠連山が目の前に見渡せる。冠雪したこの風景を見ながらぜひともここの湯に浸かってみたいものだとしみじみ想う。
食事は、別館で。我々は食事少なめコースを選択していたのだが、いざ運ばれてきたお料理は、これで少なめ?というくらい我々にはちょうど良い分量でメニューもお味も大満足であった。
敷地内を探検すると、湯治客用の広い台所があったり、建物の裏に薬師堂があったり、天然水が湧き出ていたり、頼めば閲覧できる資料館があったりと、ここ山田旅館自体が一つの観光スポットだと感じるくらいな圧倒的存在感である。
翌日は早朝より雨音とツバメの鳴き声で目がさめる。が、それはそれで心地よい。朝出かける時には、すっかり晴れ上がり雨に洗われた戸隠連山を眺めながら本日の目的地、戸隠神社5社めぐりへと向かうのであった。旅の目的の一つ、うまい戸隠蕎麦を食べるミッションも果たせたことは言うまでもない。
以来、我々は岡山、広島、鳥取、京丹後、北海道など数多くの探泉を行ってきたが、ここ小谷温泉山田旅館は、また行きたい温泉宿No.1に堂々と輝き続けている。
ここに2泊のち、奥蓼科渋御殿に参るが、それについては別に記す。
この情報は、2022年6月時点での情報です。
小谷温泉 大湯元 山田旅館