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フォリピン女将が謙虚すぎる川上温泉
北海道を遠征中の我ら素人温泉探泉隊はルスツ温泉に向かっていた。この日は、ルスツ、まっかりと制覇して、最後はニセコの黄金温泉に浸かりに行く予定であったのだ。
京極の噴き出し公園でうまい水をゲットし、意気揚々とルスツ温泉のある方向へ馬(車)進める。
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セコマはこの近くに工場を持っておりうまい水を販売している。
風の強い日で、寒いし早くあったかい温泉に浸かりたいねなどとワクワクしながら到着。国道230号から脇道を50mくらい入ったところに、それらしい建物が見える。ところが、「♫君の心に続く長い一本道は、いつも僕を勇気付けた♫」はずなのに、その日の一本道には無情にも、本日休業の看板が。勇気づけるどころか、出鼻をくじかれ意気消沈。
しかし、さすがは亀の甲より年の功の我々は、別に構わんもんね、ダメージ受けてないもんね、プランBがあるもんね、♫もんね、もんね、もんね、もんね、回って回って回って回る〜♫と急速に円広志化して行くのであった。プランBはマッカリ温泉。ルスツからすぐのところにあるいい湯だった。お湯もいいが、露天に出てみると目の前に壮大な羊蹄山がそびえてる。この日は風はあったが、快晴で綺麗な姿を拝しながらの気持ち良い入浴となる。ま、このあたりについてはまた別の機会に書こうと思う。まっかり温泉
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さて、まっかりを出て、次のプランは、待ちに待った黄金温泉。ここは、札幌の仲間がたまたま見つけた味わいのある温泉とのこと。調べてみると、農家の人がどうやら自費で掘りあてた(ひょっとしたら自噴かも)温泉を解放してくれているようである。よって、札幌の仲間曰く、掘っ建て小屋の温泉らしい。いきなり訪れるのもいいが、ルスツで学んだ年の功の面々(我ら)は電話をして確認するという戦略に出る。
はい、○○です!と実名で電話に出られる。温泉施設ではなく、あくまでご自宅のお庭のお湯に浸からせていただくのであるから、そういう展開が当然である。が、少し驚く。
ごめんなさい、10月末までなんです!なんだとおおおおおおお、今日は11月9日ではないかああああ。あああ。あああ。あああと円広志から母音の人に変身した我らであった。
3軒予定して達成できたのは、まっかり温泉1軒。打率3割3分3厘。阪神タイガースの4番は打てるけど、関西から飛行機のって、レンタカーかりて、100キロ近く運転しての打率としてはトホホである。
当初の予定どおり、ニセコに行こうかということになったが、ニセコは遠い。別の記事に書いたかもだが、この時期北海道の日没は早く4時にはもう暗くなってしまうのだ。まっくらになったら温泉もいいが酒を飲むというのが体に染み付いた習慣なので、うむうむうむと悩みながら、とりあえず腹も減ったしうどんを食べようと京極の名水うどん野々傘へ。
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平日といえ、すぐに満席になる人気店らしいが、ギリギリ滑り込める。断然そば派の私であるが、ここはうどんをいただく。蕎麦にしてもうどんにしても良い水で打ってまずいはずはなく、当然文句なく美味い。うどんも美味いが天ぷらもコスパが高くて美味い。野菜天ぷら4人で2人前注文したら食べきれぬほどの天ぷらまみれ状態となった。店内には寅さん、男はつらいよの音声が始終流れており、外国人の店員さんが、ぶっかけ一丁お待ちどう、と運んで来てくれるという摩訶不思議な空間なのである。店内の水は、もちろん京極のうまい水なのである。満足満足。
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さて、うどん屋を出て、我々は行き場を失った探泉隊であることを思い出す。ニセコまで行くか洞爺湖まで行くかと試算するが、ま、今日のところは札幌に帰って飲もうかということになり、フラフラと馬(車)を走らせていると、ものの1分も走らぬところに、なんだかとっくに廃業しましたウチら的な佇まいの家屋があるではないか。その名も川上温泉。見た感じ営業してない雰囲気。軽自動車が一台止まっていたが、どう見ても営業していない。絶対やっていない。これでやってたら、全く商売っ気ないよなあとおもいつつ、偵察隊が降りて扉を開けると、ガラリと開くではないか。恐る恐る入っていく。なにやら話ているようだ。玄関に戻ってきた隊員がOKサイン!入れます!おおおおお、おおおおお、おおおおお。
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玄関入ってすぐのところに貼ってある温泉分析書を見るとアルカリ性単純温泉、かまわぬかまわぬ、そして、なんと源泉掛け流しと!おおおおお、おおおおお。おおおおお出た出た。出た出た月が。思わぬ拾い物って言っては失礼だが、こんなところに掛け流し温泉があったとは。そうなのである。我々素人探泉隊は、とにかく掛け流しにこだわっていて、できれば掛け流し、硫黄臭、塩素なし、という素人丸出し、温泉にはまった人種特有のこだわりを振りかざす老害チームなのである。
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おおお、ここ掛け流しなんですね、と女将さんに問うと、フィリピン人の女将さん(推測)が、そうなんだけど、沸かしているからねえ・・となんだか申し訳なさそうに謙遜をする。いや、なんのなんのと言いつつ脱衣所へ。
そして、そこで見たものは!
噂には聞いたことがあるが、初めて見た。簡易サウナ、一人用サウナ、見ようによっては縦型棺桶!があるではないか。稼働はしておらず、のちに聞いたら随分前に壊れて今は掃除道具入れに使っていると・・・笑笑
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さて、お湯に浸かる。タイル張りのシンプルな浴槽だが、源泉バルブがあり、ひねるとドバドバとお湯が出てくる。配管をだとってみると、シャワーもカランも全部源泉じゃないの!テンション上げ上げマックス。ああ、快なる哉、快なる哉。(ぜひ、かいなるかや、かいなるかやと読んで頂きたい)
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そして窓の向こうには、さきほど、マッカリでみた羊蹄山が別の角度から迫力もって拝める。最高のビュー。ああ、快やる哉、快なる哉。ふと視線を落とすと、そこには露天風呂の残骸が。後ほど聞くと、虫がねえ・・・と言うことでやめてしまったらしい。
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黄金温泉に行けなかったおかげで発見できた川上温泉、もうすっかりファンになって、女将に良かった良かった!を連発すると、「でも沸かしているから・・・」と同じフレーズを。
これで加温なしだったら、完璧すぎるのだよ、ワトソン君と
ホームズは言うだろうし、世のあまたの温泉宿から怒られるでしょうな。いつからやっているんですか?と聞くと、明治・・・なんちゃらと。め、明治!と聞き返すと、外にそんな石がある・・と意味不明な返答が。びっくりしてすこしだけ敷地周りを探したけど、そういった碑は見つけられなかった。
かくして我々北海道2日目の探泉はイレギュラーではあったものの結果的に大満足の1日を終えたのであった。
明日からすでに書いた帯広、野中、芽登と旅は続くことになる。
この情報は、2022.11月現在のものであります。
川上温泉
〒044-0132 北海道虻田郡京極町字更進
0136-42-2566
ホームページなし
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