Strix. #6
転瞬ー。
「ーヨケロ.」
ヒグチが言葉にすると、ミズキごと水球が右にグンっと引き寄せられるように移動した。
と、同時に大きな塊がアピスらの上空を音も立てずに滑空し、ミズキを襲う。
間一髪ミズキには当たらず、水球にのみかすり水飛沫が撥ね散った。
フクロウだ。
月明かりに照らされて黒黒と大きなシルエットが浮かぶ。ゴーグルのへりが僅かに光り、まだこちらを狙っているようだった。
「.... 野暮なぁ。。」
一瞬ニヤリ、、とした後、ヒグチは左足首に出現させた雷太鼓をフクロウがいる方向目掛けてひとつ、打った。
「ドンッッッ!」
あまりの衝撃音にアピスは思わず伏せる。
途端にフクロウが上空から地へ急落下した。
獲物の行動音で輪郭を感知するほど高機能の耳を持つフクロウにとって、ヒリィッ、と夜を裂くほどの轟音はたまったものではない。
痙攣しつつ、早くもこちらに臨戦態勢を整えるフクロウに、ヒグチは二の鼓を浴びせようとしている。
アピスは立ち上がり、すぅ、と息を吸った。
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ヒグチヨハクです。小説「planktos」連載中。よろしくおねがいします。