俺が選ばれないのはわかってるけどそれでも君が好き14
「シュウ、フラれたんだって」
「そりゃ、ね。あの子って誰とも付き合わないっていう子でしょ?」
聞きたくないのに耳に届く噂話。
断られるってみんなが言ってるんだから、わざわざ告白しなきゃいいのに。
それで機嫌が悪くなって俺にあたりにくるんだろう、どうせ。
「お前、本当にゆきちゃんと付き合ってないんだろうな?」
「付き合ってるわけないよ」
「じゃあ近づくなって言ってるだろ、なんでお前ばっかりゆきちゃんと関わることが多いんだよ」
「それは担任が・・・」
「担任が何か言っても無視してろよ、そもそも席決めの時から不満だったんだよ、俺と代われよ、お前の視力ならどの席でもいいんだろ?」
確かに、授業を受けるのに席にこだわりはない。
前でも後ろでもボードの文字は読めるし特定の場所に思い入れもない。
だけど、大義名分もなく、好きな女子の隣になりたいから席を代われって横暴すぎるだろ。
「俺じゃなくて担任に言ってよ」
「言ったんだよ、でも今のままで問題があるわけじゃないのに変える理由がないってさ。ついでに、ゆきちゃんもお前のままがいいんだと。これってなんでだろうな?何の関係もないのに、ゆきちゃんがそんなこと言う理由ってなんだよ」
そんなの、知らない・・・。
というか、本当に彼女がそんな事を言ったのか?どうして?
俺はあえて、彼女との関わりを拒むこともあるし、必要以上に話をしない時も多いのに。
ただ、目立つのが嫌だという情けない理由だけで。