俺が選ばれないのはわかってるけどそれでも君が好き18
ゆきside
大切になりそうだから嫌だった。
そばにいたら、優しく守られたら、きっとこの人を大切に思ってしまいそうだと思ったから。
大切な人とのお別れを、私はもう知っている。
怖くて苦しくて、夜中に何度も目が覚めて、驚くくらいの涙が出る。
息が詰まって、喉が締まって、でも声を出したら、外に気付かれる。
怖い。
怖かったの。
だから、大切な人は、増えない方がいい。
好きでも嫌いでもない、普通の周りの人がたくさんいればいいと思った。
「わたしは、司くんを、特別にはしない」
真っ直ぐに向けられた目だったから、私も真っ直ぐに見つめて言った。