令【2】
フラれるのは構わないんだけど、こんな往来はやめてほしい。
人の目がどうとかじゃなくて、シンプルに通行人の邪魔だろうし。
LINEで罵って終わりにしてくれればいいのに。
『私ならあとくされないよ』って、あれ幻聴だったっぽい。
あと、5分・・・10分かな、気が済むまで。
まぁ、今日はこの後の予定もないし、不幸中の幸いって思えなくもないか。
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「司、傘。置いていって」
「すぐ戻るよ?」
「雨が降りそうだから」
「・・・?、じゃあ、はい、」
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(あー、例の・・・。相変わらず2人揃って仲の良い。俺には無理だけど)
「どこ見てるの!ちゃんと聞いてるの?」
「あー、うん、聞いてるって」
「そういうところが嫌だって言ってるの!私の事なんて最初から興味なかったんでしょ!?」
「あっ、ちょっ・・・!」
(手に持ったコーヒーを投げつけられる)
(令の顔と服に見事にかかる)
「げ・・・、っと、やべ、この距離だと・・・」
振り返ると開いた傘で飛沫をよけているゆき
こちらを見てもいない
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「おまたせ、行こう、ゆき。傘、開いてどうしたの?」
「通り雨」
「・・・?」
(はいはい、俺なんて眼中なしですよね、そうですよね。これだから気に入らないんだよ、お嬢様たちは)