司【3】
「ゆきと別れてほしい」
何回も言われすぎて、10人より先はどんな順番だったか、もう覚えてもいない。
誰に言われなくても、時がきたら離れる。
だからそれまでは、放っておいてほしい。
自分が強くなれば、ある程度の人間からは守れると思ってたけど、そんなこともなかった。
次から次へと新しいキャストが出てきて、新しい物語を作ろうとするのを、細かく根気よく防衛していくしかなかった。
「もう少し、控えてくれない?」
「何を?」
「“可愛い“を」
「何、それ?」
「俺だけに可愛くうつる女の子だったら良かったってこと」
「ふふ、おつかれさま」
(・・・可愛いんだよ、本当に)