俺が選ばれないのはわかってるけどそれでも君が好き12
司 中1 春
進級と同時に転入生が2人、クラスにきた。
珍しいことじゃなかったし、むしろ最近はよくあることだった。
中途半端な時期にゴリ押しで入ってくるよりも区切りがいい時にきただけまともだ。
ただし、仲の良さそうな女子2人が同じクラスに同時にっていうのには、少し違和感。
なんらかの配慮があったんだろう。
寄付金絡みとか。
名前はすぐにはおぼえなかったけれど(興味がなかったから)男たちがうわついてて女子たちがギスギスしてたからそれなりに目立つ容姿だったってことだ。
俺とは違う人種。
関わることもない。
関わりたくもない。
俺の希望は平和にこの1年を過ごすことだから、極力クラスの男たちの機嫌は損ねたくないし、口うるさい女子になんかもっと関与したくない。
・・・それなのに。
席が隣っていうだけで(俺の隣の席を希望する生徒がいないため空いていた)、プリントやら実験やら器楽のペアを組ませてくる空気を読めない担任。
最悪だった。
やたらとでかい黒目でこっちを見てくるし、本を渡してくるし、話しかけてくるし(全て授業に必要な所作だってことはわかってる!)、
近付かれるといいにおいがするし無自覚にたまにみせる笑顔は反則級に可愛く見えるしそもそも俺は女子が苦手であえていつも距離をとって過ごしてるのに、そんなの一切考えもしないだろう接し方で俺に向き合ってくれる。
勘違いしたって、これは仕方がないだろ、
そのくらい俺には免疫がなかった。
今季、クラスで1番可愛いと男女ともに認められていたであろう女の子の1番近くにいた男が俺だった。