俺が選ばれないのは分かってるけどそれでも君が好き31
令「ゆきちゃん、今帰り?お迎えもう来てる?」
「…うん。」
「その顔、嘘じゃん。まだなんでしょ?今日ちょっと授業の変更あったしね。ね、ちょっとこっち来て」
「……。」
「司くんがいなくなるタイミング、地味に狙ってたんだよねー。今日のこの時間は無理だったでしょ?」
「やっぱり。花北くんがそうしたんでしょ。」
「うん、バレてた?直に司くんにアポ取っちゃうと警戒されちゃうからさー、あえて最初は神山さんを呼んどいて、わざと別件とダブルブッキングさせてみたわけ。神山さんの代打となるとそっちも適当な人は寄越さないだろうなーと思って。確証はなかったけど、確率的にはいけるんじゃないかなって思ってた」
「性格…」
「司くんと比べたら俺の方がややマイルドくらいじゃない?」
「…どこ行くの?」
「こっち。そんなに時間はかからないから」
「…図書館棟?の、裏?」
「裏っていうか、職員用の通用口になってて、ここ。はい、どうぞ、中に入って。」
「……(嫌そうな顔で立ち止まり)」
「いや、別にここで俺が何かするわけじゃなくて。見せたいものがあってさ、ちょっと入って」
「……だめ。司がいないから」
「司くんがいたらそもそもここまでも連れて来れてないって。手すら繋げてないだろうし。…って、いや、そうじゃなくて。ミッシェルだよ、覚えてる?ミッシェル。犬の。コリーの。ここで一時的に預かって貰ってんの。ゆきちゃんに合わせたくて!」
「……!!ミッシェル、いるの?」