俺が選ばれないのはわかってるけどそれでも君が好き13
「席が隣ってだけで勘違いしてそうな奴が一番気持ち悪い」
わざと聞こえるように言うクラスの男にドキリとさせられる。
好きで隣にいるわけじゃない。
俺が望んだわけじゃない。
やっぱり出来るだけ距離を取ろうと思って、関わりを必要最小限におさえても、隣の席に座る女の子が気になってしまうのは確かだった。
艶のある髪に、色白の肌に、長いまつ毛に、まとわりつく甘い香りに、何度もクラクラした。
ありがたいことに、空気を読んでくれる子でもあったから、俺が避け始めると、向こうからの接触を減らしてくれたりもした。
お互いにわかっている。
この環境下で、この教室の中で、人目を寄せて目立つ立場にいることがどれだけわずらわしいことかを。
必要があれば会話をして、それ以上は関わり合わないのが一番だった。
少なくとも、学校という環境の中で、誰よりも平和に過ごしたい俺にとっては。