文化が人間性をつくる
千利休が侘び茶を大成させる前、茶の湯は下品なものだった。人をもてなすことは一切せず、お茶を飲んで勝敗を競い合い金品を賭ける。くだらないゲームこそが茶道の起源である。
銀閣寺の書院造りが出来上がり、畳が敷かれ和室が完成すると、人々は和室の中で空間と精神が一体化するのを感じた。自然がそれに呼応する。虫の声や風の音、鳥の鳴き声に耳を澄ますように、私たちは静寂さを求めはじめた。
いつしか勝った負けたの笑い声より、時間を共にする相客を愛し、不器用なほどに美しい自然の営みを愛するようになった。
茶湯は現代に至るまで、少しずつ形を変えながらも、それが脈々と受け継がれている。
人間が文化をつくる?人はそう言うが逆だ。文化が人間性をつくったんだ。欲望のままに生きる下品な人間を文化が正したのだ。
日本を含め世界中にある全ての文化が正しいとは思わないが、文化には人間性をつくる側面があるのは間違いない。
とはいえ残念なことに、私のまわり(20代)には自国の文化を軽視する人が多い。興味ない、古くさいと思っている人が多い。
色々な意味でもったいない。
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