ホワイトカメリア/MIYAMU
「恋に落ちる音がした。この人に巡り会うための、今までの道程だったのではないかと、くだらない過去を肯定するほどの救いだった。」(p.8)
「帰り道はイヤホンで耳を塞ぎ、外の世界とは断絶した時間を過ごした。音楽は聞かない。聞き馴染んだ芸人の漫才を流す。今日もいろいろな人と上手く関われた。誰との軋轢も生じさせず、何の問題もなく一日を締め括れたらそれでいい。」(p.26)
「何事にも大きな期待を抱いてはいけない。いつか失ったときに大切にしていたことを後悔してしまう。」(p.45)
「世界が幸せに回り続けるたったひとつの条件は、余計なことを知らないままでいることだ。」(p.69)
「わかってる、わかってはいるけれど、多分、恋は素数だ。当事者同士でしか感情を割り切れない。外野がずかずかと入り込んできたとして、綺麗に解決などできはしない。」(p.103)
「東京の夜景を作っているのは、遅くまで働いてデスクでカップ麺を啜るサラリーマンたちなのかもしれない。」(p.121)
「期待と絶望は箸のようなもので、ふたつでひとつなのだ。絶望したくなければ期待も捨てるべきだ。」(p.144)
「人は永遠を願うとき、同時に、自分の弱さを認める責任を伴う。」(p.151)
「デートしている相手が一緒にいるのにスマホを触る人間は、こめかみに拳銃を突きつけられたとしても文句は言えない。殺されてもしょうがない。」(p.168)
「紫葵さんが会いたいときに連絡して。寂しくて眠れないときには真っ先に連絡して。今日は夜が長くて耐えられそうにないなと思ったとき、まず僕に連絡して。」(p.185)
「誰にでも惚れていいんですけど、誰かと離れるにはちゃんと説明が必要ですからね。」(p.200)
「知らなくていいことを知らないままでいる努力ができる人が大人なのだろう。」(p.234)
「出会いたくなかった、は結婚しようよりも愛の深い言葉です。」(p.251)
「相手が望んでいるだろう言葉を差し出すのは容易い。けれど自分の考えを口にすることは、出口の見えない黒い濃霧の中で、とりあえず一歩を踏み出すくらいに勇気のいることだ。」(p.267)
「可哀想って思う気持ちは、人が持ち得る一番残酷な気持ちだよ。」(p.269)
「止まない雨には傘がほしい、明けない夜には睡眠薬がほしい。」(p.272)
「全ての物事には適したタイミングがあって、それを人は運命と呼んでいるらしい。」(p.276)
「得意なことを知ることは容易いが、苦手なことを知るのは難しい。得意なことを知れるのは嬉しいが、苦手なことを知れるのはもっと嬉しい。」(p.277)
「忘れられない人っていますか?」(p.278)