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影響力の武器/ロバート・B・チャルディーニ

第1章 影響力の武器
「よく知られた人間行動の原理の一つに、理由を添えると頼み事が成功しやすくなる、というのがあります。人間というのは、自分がすることに対して理由を欲しがるものです。」(p.8)
「しかし、過去から将来にいたるすべての状況について考えてみれば、こうしたてっとり早い方法、つまり思考の近道に沿って行動するのが、結局は最も合理的なやり方かもしれません。」(p.12)
「最近では、日常の判断を行うときに私たちが使う心理的な思考の近道がたくさん明らかになっています。判断のヒューリスティックと名付けられているこれらの簡便法は、ちょうど「高価なもの=良質なもの」というルールと同じように作用します。」(p.13)
「人間の知覚にはコントラストの原理というものが働いており、順番に提示されるものの差異を私たちがどのように認めるかに影響を与えます。簡単に言うと、私たちには、二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。」(p.22)
第2章 返報性
「著名な考古学者リチャード・リーキーは、私たちを人間たらしめているものの神髄は返報性のシステムであると述べています。」(p.36)
「返報性のルールにより、私たちが行動という形で撒いた種は、その味が甘くても苦くても、必ずや私たちのところに戻ってくるのです。」(p.40.41)
「私たちは本当に寛大な人々や、返報性のルールを悪用するのではなく、それにフェアに従おうとする多くの人びとに常に出会うのです。」(p.86)
「結局のところ、返報性のルールは、それで正義がなされるのだとすれば、搾取の試みには搾取でお返しすべきだと主張しているのです。」(p.89)
第3章 コミットメントと一貫性
「ひと言で言えば、それは自分がすでにしてしまったことと一貫していたいという欲求です。ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットする)と、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかります。」(p.97)
「一貫性こそ、論理性、合理性、安定性、そして誠実さの核心をなすものなのです。」(p.100)
「ジョシュア・レノルズ卿が述べたように、「考えるという本当の労働を避けるためなら、人はどんな手段にも訴える」のです。」(p.102)
「コミットメントが効果的に影響を及ぼすためには、いくつかの条件がそろっていなければなりません。行動を含むこと、公表されること、努力を要すること、自分の意志で選ぶこと、です。」(p.124)
「人の本当の感情や信念は、言葉よりも行動によく表われます。他者がどのような人なのかを判断するときには、その人の行動をよく見るものです。」(p.125)
第4章 社会的証明
「社会的証明の原理です。これは、人は他の人たちが何を正しいと考えているかを基準にして物事を判断する、というものです。この原理が特に適用されるのは、どう行動するのが正しいかを決めるときです。特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断します。」(p.189)
「一般に、自分自身に確信がもてないとき、状況の意味が不明確あるいは曖昧なとき、そして不確かさが蔓延しているときに、私たちは他者の行動を正しいものと期待し、またそれを受け入れるようです。」(p.208)
「したがって、最も影響力のあるリーダーというのは、集団の状況をどう整えれば、社会的証明の原理が自分に有利に働くようになるかを知っている人なのです。」(p.248)
「ここに一つの教訓があります。社会的証明のような自動操縦装置を完全に信頼してはいけないということです。この装置に間違った情報を忍び込ませるような、悪意のある人がいなかったとしても、装置自体が勝手に故障してしまうこともあり得ます。」(p.258)
第5章 好意
「それは、人が人を好きになる原因は何かということです。…。幸い、社会科学者は数十年にわたって、この問題に対する答えを求め続けてきました。それらの研究で得られた証拠から、人びとに好意を抱かせる多くの要因がいくつも確認されています。」(p.275)
第6章 権威
「人は権威者の命令にはとにかく従おうとするということが、この研究の主たる知見である。」(p.339.340)
「権威と認められた人からの情報は、ある状況でどのように行動すべきかを決定するための思考の近道を提供してくれるからです。」(p.343)
「権威は私たちに有無を言わせず作用するだけでなく、私たちの予測を超えて作用するのです。」(p.362)
第7章 希少性
「ほとんどすべての人が、なんらかの形で希少性の原理に支配されています。」(p.378)
「手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる、という希少性の原理に遭遇して以来、それが私のさまざまな行動に影響を及ぼしていると気がつくようになりました。」(p.379)
「人は、あるものが失われてしまうと考えるときの方が、同じくらいの価値のものが手に入ることを考える時よりも、強く刺激されるようです。」(p.379)
「そして人は、すでにもっている自由を失うことが、どうにも我慢なりません。すでにある特権を保持しようとするこの欲求こそ、自らの自由の減少に対する人びとの反応を説明するために心理学者ジャック・ブレームが提唱した、心理的リアクタンス理論の中核となるものです。」(p.388)
「ひとたび認められた自由は、戦いなくして手放されることは絶対にないのです。」(p.410)
「必要なのは、自分自身を落ち着かせ、理性的なものの見方を取り戻すことです。」(p.422)
第8章 てっとり早い影響力
「戦うことなしに、ただ指をくわえて見ているわけにはいきません。失うものはあまりにも大きいのです。」(p.442)

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