僕以外億万長者の国
時は202X年
後沢U作によるリツイートキャンペーンは膨張に膨張を重ね、ハイパーインフレばら撒きが発生していた。
気が触れた後沢U作は、遂に1京円配布キャンペーンをブチ上げる。
キャンペーン内容は以下の通りである。
「壮大な社会実験を行います」
「ベーシックインカムとして全日本人に一億円を配布します。
但し抽選で1名のみ一億円を配布しません。
1億円を配布された人間か、一億円を貰えなかったかわいそうな人かどちらが幸せになれるかの比較を行います。」
そして主人公ひごろのはクダを巻いていた。
金持ちが気に食わねえ、だけどお金は欲しい。
アンチ後沢としてツイッターで愚痴をひたすら垂れ流していた。
あまりにゲスで下らないツイートに、一部界隈では有名なアンチ後沢となっていた。
後沢U作は遂に抽選結果を発表する。
相変わらずキャンペーンページの作成に手間をとって発表は2週間程度遅れていた。
「厳選な抽選の結果…ひごろのさんに決定いたしましたー!おめでとうございます!日本で1億円を貰えていないのはなんとあなただけです!選ばれし人間ですよ」
ひごろのは怒った。
ひごろのは後沢殺害の計画を立てる。
しかし、後沢の陰謀により物価は上昇、電車に乗ることすらできない。
ひごろのは遂に後沢をぶっ殺す為に走ってチーバー県の後沢豪邸に行くことを決める。
しかしそれすら後沢の陰謀。
後沢を殺す為に走っている様を各種ユーチューバーが笑いながら配信したのである。
疲れ果て惨めに路上で転げ回るひごろの。
滑稽で笑う民衆。
ここで民衆の間であるムーブメントがおきていた。
配布された一億円の中からいかにひごろに面白おかしくお金を投げつけるか、と言う遊びである。
みじめにもがくひごろのに百万円の束を投げつける者、釣竿に100万円を付け「ひごろの釣り」をする者。純粋な同情心からポケットに100万円の札束を突っ込むものもいた。
ここでひごろのは気付く。
俺はボーナスステージにいる。
周りの人間は1億円を持っている。
俺だけ持っていない。
間違いなく俺は日本一有名なみじめなゴミ屑である。
ひごろのはいかに惨めに転げ回るか、いかに面白おかしく金を受け取れるかを考え実践した。
お金を投げつけるものの靴を舐めた。
投げられたお金はおもちゃを投げられた犬のように走ってキャッチした。
明らかに暴投されたお金もキャッチすべく全力疾走でとりに行った。
惨めなひごろのにお金を投げつけるクラファンが自然発生的に建てられ、みんながそこに投げ入れるのがブームとなっていた。
一口100万円からのキャンペーンに応募が殺到した。みんな持ったこともない1億円を渡されているのだから100万円なんて端金だと思い込んでいたからだ。
あまりに惨めに転げ回るひごろのは最高のコンテンツだった。
寄付が寄付を呼び、1000億円の資産が築かれていた。
惨めに寄付を募った金で億万長者となったひごろのだが、後沢が1京円を配ったことによりハイパーインフレが発生しており、お金の価値は著しく毀損されていた。
誰もが日本円を信用せず、末期のジンバブエドルの様相を呈していた。
集めたお金では何一つ物を買うことはできない。ひごろのは集めた大好きなお金に囲まれながら、穏やかに命を引き取ったとさ。
めでたしめでたし。
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