製薬業界の転職体験記
30代で二度目の転職をすることになりました。知財部から研究への転職、からの知財部への転職。短い期間で二度も転職を行うことになり、ジョブホッパーなんて言われてしまうかもしれませんが、自身のキャリアの振り返りのためにも転職の体験談をnoteに記しておこうと思います。これから転職活動を始める方の参考になれば嬉しく思います。
はじめに
最初にお伝えしておくと、決して転職を勧めているわけではありません。キャリアアップと言われることもありますが、転職は大変な労力を使いますので、転職しないで良いならそれが一番です。もちろんジョブチェンジなど目的あって転職する場合は別ですが、他人の芝生はなんとやら、外部環境に漠然と何かを求める転職は辞めておいた方が良いのではと思います。
転職にはいろんな考え方があると思いますが、私は以下の3点が重要だと考えています。
①やりたい仕事ができるか
②待遇は良くなるか
③勤務地は希望通りか
製薬業界どこの会社も将来のことはよく分かりませんので、経営や環境への不満はさほど大きなファクターにしなくても良いのかなというのが筆者の個人的な見解です。ただ激務な労働環境やパワハラ上司に遭遇した時は転職は救いの道を与えてくれると思います。
私のキャリア
私は大学で有機化学を専攻し天然物の全合成研究を行っていました。修士で大学院を出て内資系の製薬会社に研究職で入社し、メディナルケミストとして研究を行ってきました。
幸いにも開発化合物の創出に携わることができまして、hit to lead、lead optimization、candidate創出からのNOM、INDまでをひと通り経験することができました。IND対応になるとケミストの役割はかなり少なくなるのですが、特許の明細書作成やFTO調査といった知財関連の業務も経験することができました。
会社での研究生活を振り返ると自身が発明者である特許出願は10報になっていましたので、特許に触れる機会も多かったと思います。それもあってか、突然、知財部への異動を告げられます。モノづくりがしたくて研究職で入社したのに、もう研究ができないという強い喪失感があったのを今でも覚えています。
希望したわけではなく、本当に突然の異動でした。なんで成果を出している自分が?と思いましたが、新卒で一定数が入社する研究所は他部門のための人材のプールという役割があるのだと思います。おそらく製薬会社の研究所はこういう考えのところが多いんだろうなと感じています。
知財部に異動してというもの、1ヶ月ほどは研究ができない喪失感に苛まれていた気がします。ただそんなことは言ってられず、右も左も分からない知財部の業務に慣れるのに必死になり、いつしか知財の業務に没頭する日々を過ごしていました。
知財部では各研究プロジェクトにおける出願戦略の策定、知財リスクの提案、特許出願、中間処理、維持管理などの特許の権利化に関する業務、共同研究やライセンスに関する契約チェックなど、多岐に渡る業務を行っておりました。
知財部はかなり忙しく、非常に業務過多な状態が続いていましたが、得られることも大きいと業務に前向きだったのを覚えています。毎月60〜80時間、多い月は100時間以上は時間外労働を行っていましたが、今思うと異常な労働環境であったと思います。
家に持ち帰りで仕事をする人が多い環境でしたので、私も平日の深夜や土日に家で明細書を書いたりしていました。「こんな生活があと20年は続くのかぁ」と考えると先が見えなくなり、「研究にいた時はこんなことはなかったなぁ」と徐々にやる気を失っていくのが分かりました。家族から「夜中に仕事するぐらいなら仕事を辞めても良い」と背中を押され、この環境から脱するためにも転職活動をすることに決めました。
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