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シン・仮面ライダー 各話フォーマット版
恥ずかしいことにショッカー幸福Tシャツを着ていった。
劇場鑑賞◯回で貰えて懸賞としつつ送料着払いで1000円持ってかれたアレです。
感想としては、大まかな部分は変わっていない。
もっと頭のいい人のレビューなども沢山あるだろうと思うので、そちらを参照して頂きたい。
個人的にはTV番組風に区切られた事で見やすさがグッと上がったように思う。
庵野監督曰く、邦画の形式には合わせたが本来の形式はこのフォーマット版という事で、5話構成で30分番組のようにアイキャッチで区切られ、話の間にはオープニングやエンディング、次回予告が流れる。
そこまでするならナレーションも入れてしまえばいいと思うのだが、作中の雰囲気を尊重したのだろうか。
ベースが旧1号編で2号が味方になったらもういきなり最終回という構成なので主題歌やアイキャッチの再現映像にも限度はあったが
横向きでビルを飛び上がるサイクロン号を再現したりなど、2号編の要素もできるだけいれようとしていた。
ほいでま、この主題歌の映像は現物を見て楽しんでいただきたいのだが
驚くべきはその字幕テロップだ。
大まかに言って原典の『仮面ライダー』の主題歌テロップは3パターンに分類されており
・1話〜39話(旧1号〜2号ゾル大佐)が先っちょが細っこい明朝体みたいなフォント
・40話〜52話(死神博士期)が石井太ゴシックの写植(ザンジオー劇場版でも使われた)
・53話以降 なんか手書きのかわいらしい丸っこい文字(藤岡の岡の字のカーブの仕方などが特徴的)
なのだが、今回の各話フォーマット版はそれぞれ
1〜3話(旧1号編)→明朝体
4話(2号登場)→石井太ゴシック
5話(最終回)→手書き丸文字
という3パターンでそれぞれに対応してそれっぽい字体を再現しているのだ。
トークショー曰く詳しく再現が上手いスタッフの方がいて、その手腕によるものだそうである。
恐るべき拘りである。
本編が旧1号編まわりで終わっているのでやや強引なスライドになっているのが惜しい。
仮面の世界2号編が出て、あるいは更にその後の続きもあれば、このフォント芸ももっと有効に活用できるに違いないのに。
そして、最終回。
「辛い」という字に「一文字」が足され「幸せ」となり、第2号の太い一本線が互いに助け合うかのように細い二本線に別れる、あのエンディング。
劇場仕様では『Where you go (End Roll ver.)』のどこか切なくも爽やかなメロディーで2人の未来を祝福するかのように物語は締められる。
が、各話フォーマットではもういきなり「レッツゴー!ライダーキック!!」が走行シーンから流れ出す。
…それも、"2番”からだ。
もはや説明することすら野暮ではあるが
この2番から流れる始まり方は要するにザンジオーが登場し、ダブルライダーが大暴れする劇場版『仮面ライダー対ショッカー』のエンディング映像のそっくり再現である。
ダブルライダーの駆る2台の改造サイクロンを、どこまでも無邪気に少年が追いかけてくる、あの情景だ。
どうせ主題歌映像を再現するなら最後にやってくれないかな、と実は密かに期待していたのだが、釈迦の掌を這い回る孫悟空が如く、そんな浅慮な考えは見透かされていたのである。
どうも勝手に耳がデュエットだと思いこんでいたのだが
1番(オープニング)が池松ソロ
2番(各話版ラスト)が柄本ソロ
という分け方らしい
旧1号編のオープニングは藤岡版で
本家劇場版エンディングはシモンズという名の藤浩一になった後たから
そういう分け方なのかな
CD出してお早く。
新しいサイクロン号に乗って走る第2+1号の隣に、蜃気楼のように揺らめき浮かび上がる第1号とサイクロン号。
それは幻のようだが、この物語を見届けた観客には、ダブルライダーの姿が克明に浮かび上がったはずだ。
本郷猛と一文字隼人、2人の仮面ライダーがいてこその物語なのである。
そしてラストのラスト。
円盤の特典として記載され俄かに注目されていた「仮面の世界」の予告篇が流れる。
もうぶっちゃけ一文書き添えるだけでネタバレもへったくれもなく映像の全貌なのだが、要するに本家13話のラストに流れた「仮面ライダー、新シリーズ!」のパロディ。(なんか冒頭に頭の良さそうな哲学っぽい英文が流れたが、完全に見逃した)
道長さまの合間の撮影のせいでモジャ毛の一文字隼人が笑顔を浮かべ、車内での滝和也が映り、テロップつきで表示される。(流石に山本リンダとかはないけどね)
もはや語るまでもないことだが、本家『仮面ライダー』は不慮の事故により本郷猛から一文字隼人へとバトンタッチし、滝和也とのバディや、後ろを支える立花のおやっさんを中心とした熱血で陽性の物語へと転じた事により大ヒットした番組だ。
ぶっちゃけ筆者も2号編の4クール目あたりが大好きである。
現状では映像化の見通しはないそうだが、「装いも新たに、興味抜群」なスリルとアクションを見てみたい。これは劇場にいた誰もが思ったはずだ。
そして願わくば、一文字隼人の持つ陽気な性格の中に悪への強い怒りを秘め、時に敗れても不屈の心で立ち上がり、滝和也と軽口を叩きつつもタフに立ち向かい、時に少年を優しく励ますあの物語を、僅かでもよいので令和の現代にリファインさせてほしいものである。
時代柄、嘲笑されがちではあるが、『仮面ライダー』を王座たらしめたのはそうした「時代劇」のような「勧善懲悪」なのだ。
一文字隼人の登場によって物語が盛り上がり、そしてラストには新1号編の明るくヒロイックな変遷をも内包し、「優しいマスク」として肯定し、旧1号編→2号編→新1号編の三部構成を擬似的に再現してみせた本作には、決して不可能ではないと信じている。
そして「左足の怪我」の故事を再現するなら
「諸君は、この青年を記憶してるだろうか」までセットにするのが自然の成り行きではないだろうか?
文字通り一心同体になったとはいえ、やはりダブルライダーという構造の喪失は惜しい。
桜島とか桜島とかあと桜島とか。
ありがとうシン・仮面ライダー。
あなたに出会えた事はきっと幸福です。
Be Happy
トークショーで気になった事
・屋外のショッカーライダー戦は6人から11人に増やそうと決め、おまけに雨天でサイクロンが動かせなかったのでああなったらしい。あそこで相変異オーグの皆様が乗ってた改造サイクロンっぽい機体、楽しみにしてたのにな…
・それっぽいロケ地の捜索とか、危険アクションの許可とか、やはり令和の現代では諸々のクリアが難しいようだ。
・強引にジャンプさせたらマフラーがもげ落ちたという、変な所で原典再現のサイクロン号。
・左足にボルトを入れ、もうお約束というか藤岡弘の左足と絡めてネタにする庵野監督。
杖をついた様子にモロボシ隊長とか坂田さんとか、色々危ないネタも飛びだした。