見出し画像

回復期リハビリテーション病院はキマる

今時、FAXでやりとりすることがあるんだー、というのが、まず最初にわたしが思ったことだった。

「急なご連絡ですみませんでした。これなんですけど…。」

Tさんは ”病室の空きを知らせるFAX” をわたしに見せながらこう言った。

「Oリハビリテーション病院に空きが出ることって、実は、なかなかないことなんです。空いてもすぐに埋まってしまいますし。」

そうなんだ。
っていうか、えええぇぇっーーーそうなのーーー??!!!

じゃあ、Oリハビリテーション病院に決めていたとしても、実際には転院できなかったかもしれないんだ…。

いや、ちがう、転院できなかったに違いない。


Oリハビリテーション病院はこのわたしだって名前くらいは聞いたことがあるかなり有名な病院だった。このあたりに住む人だけじゃなくても知っている病院じゃないだろうか。

有名な病院なんだから、人気があって、入院したい患者さんがたくさんいて、入院したくてもできないであろうことは、当然と言えば当然の話だった。
でも、わたしの頭はそこまでまったくまわっていなかった。


「それにご主人と同じ左片麻痺のお部屋だっだので、これはもうすっごくラッキーだと思って、急いでご連絡したんです。」

「あの…  ”左片麻痺のお部屋” って、どういうことなんですか?」

「主にお手洗いでの話になりますが、左片麻痺の場合、主に右手で何かを持ったり使ったり、身体を支えたり、体勢を整えたりするでしょう? ですから、右側に手すりなんかがついていて、麻痺のある ”側” に対応した造りになっているんです。」

「なるほど。Oリハビリテーション病院は有名だし、こんなこと滅多にない、本当にラッキーなお話なんですね!」

「はい、左片麻痺の方は右片麻痺用のお部屋には入れませんし、それに男性、女性でお部屋も分かれていますから、左片麻痺用であっても女性用のお部屋には当然ご主人は入れないわけで…。本当に本当にラッキーです!」


ラッキーって言葉、久々に聞いたな。

あの日以来、ラッキーだって思えたことなんて一度もなかったし、きっと誰かにラッキーって思われたこともなかった。
少し風向きが変わったような気がして、急にものすごくうれしくなった。
久々にニコニコできた。


やっぱり、わたしは回復期リハビリテーション病院の決め方が分からなかったけど、でも、この ”ラッキーな” 話にのることを、キメた。


いや、自然にキマってしまったのだった。




最後まで読んでくださってありがとうございます💗 まだまだ書き始めたばかりの初心者ですが、これからの歩みを見守っていただけるとはげみになります。