娘との対面
わたしはほとんど気にしていなかった。
まだ小さな娘にとって主人の姿は衝撃的だろうとは思っていたけど、娘にお父さんが頑張っている姿を見せたかったし、”お父さん”が娘の声を聴き、その気配を感じて、回復するための力を絞り出してくれることをなによりも願っていた。
お父さんの姿にショックを受けるといけないので…ということで、娘が主人と対面する前に、チャイルド・サポートを名乗るコメディカルさんが介入してくださることになった。
わたしもやっと冷静になる。そうだよね、びっくりしちゃうよね。
わたしがICUで主人と対面している間に、お絵描きや折り紙などで楽しく遊んでくださって、そのあと、紙芝居を使って主人の状況を説明してもらっていたらしかった。
娘と一緒にIUCに入りながら、わたしもどきどきする。
泣いてしまうのではないか。こころにひびが入るのではないか。
娘は初めてのICUにちょっと緊張した様子だったけれど、たくさんの管に繋がれたお父さんを見ても、なんだか不思議なくらいいつもの娘だった。
「お父さん、ちーちゃんが来てくれたよー。」
主人が「おー、ちーちゃんか!」とばかりに右手をゆっくりゆらゆらと揺らす。
「ちょっと手を触ってみてあげてくれない?」
「うん!」
娘が主人の手を両手でぎゅっとしてくれた。
”お父さん”も娘の手をぎゅっと握り返す。
それからはお父さんを応援するために、保育園で作った等身大の”自分の絵”や折り紙を、間仕切りのカーテンに飾り付けたりして、忙しい。かいがいしい。
「お父さん、ちーちゃんの絵、あるからね!」
お父さん、頑張って!絶対に負けないで。
最後まで読んでくださってありがとうございます💗 まだまだ書き始めたばかりの初心者ですが、これからの歩みを見守っていただけるとはげみになります。