見に行った大学の試合があまりにも一般ウケしないだろうということで、それらをまとめて書いてみました!というお話
最近、書くネタが社会人のサッカーばかりなので、大学のサッカーは見に行ってないんでしょうね?と思われてる方もおられるかと思います。いや、合間合間にそこそこ見に入ってるんですが、それだけで書くには少し足りないんですよね、実のところ…。ということで、そろそろネタが貯まってきた頃なので、順を追って(記憶を辿りながら…汗)いくつか書いていこうと思います。
5/27 関東大学リーグ3部@共栄大学グラウンド 共栄大学 0-0 東京経済大学
今年から関東大学リーグのチーム数が増えて、新しく3部が設けられました。まあ関東、特に東京の大学の数を考えるとそれくらいあっても不思議ではないのですが、さすがに36チームに増えると関東レベルでやるには怪しいチームも出てくるんじゃないかな?というのが実際のところです。もっと言うと、本来はこのレベルのカテゴリーにいてはいけないだろうというチームもちらほら見受けられるのもまた事実で…。早稲田とか順天堂が2部とか、慶應や学芸大か3部とかがそれに当たるのですが…。順天堂に関しては去年のいろいろなゴタゴタを考えると、まあ致し方ないのかな?などとちょっと思ったりしますが…。そして今回の目的は、関東ではちょっと敷居の高いのではないか?と思われるチームを見に行って、関東3部の有用性について考えてみます(そんな高尚な目的ではない笑)
今年、都府県リーグから関東リーグに昇格したチームは12。そのうち山梨学院大学、立教大学、作新学院大学、亜細亜大学の4つは一気に2部まで昇格し、残りの8つ、神奈川大学、中央学院大学、専修大学、平成国際大学、東京経済大学、國學院大学、東京農業大学、共栄大学と2部から降格した東京学芸大学、明治学院大学、城西大学、慶応義塾大学を加えた12チームで初年度の3部リーグが構成されています。城西と慶應はプレーオフで負けて(慶應は亜細亜に90分からの数分での大逆転負けでしたね…)の参戦なので、ホントはここにいてはいけないはずなのになぜか慶應はすでに馴染んだ感さえあります…汗(9節終了時で勝ち点15の5位)
このメンバーの中で、当社が勝手に「敷居が高そう」だと思われるチームを事前にピックアップし、各方面のスケジュールを調整した結果、タイトルにあるこの日の試合に白羽の矢が当たったのです(笑)。ということて、まずは開催される共栄大学のグラウンドに行くとします。
まずは共栄大学って何?ってところから説明していきます。学校は埼玉県春日部市にあり、高校野球で有名な春日部共栄と同じ学校法人の大学です。ということもあり、高校の野球部も大学の敷地に隣接するサッカーグラウンドの隣にある野球場で練習したりするそうです。ちなみにサッカーグラウンドは大学の敷地に隣接しているものの、住所は春日部市ではなく宮代町らしいです。最寄りの駅は東部伊勢崎線春日部駅の一つ先、西春日部駅。スクールバスも運行されているようですが、この日の運行はなし。ということで、歩いて行くことにします。駅から少し歩くとのどかな田園地帯といかにも「田舎」といった風景の中を歩くこと約15分くらいで共栄大学が見えてきました。
元々は短期大学として設立されたが2001年に四年制大学に格上げ、共栄大学となったそうです。国際経営学部と教育学部があり、この規模の大学としては珍しく定員割れを起こしていない、学校経営的には実に優秀な大学です。少し学内を歩くと、事務室前の掲示板にサッカー部の関東リーグ昇格の学内ニュースが貼り出されてました。他にも女子のバスケットボール部の活躍も目覚ましいようで、いかにもスポーツに力を入れた学校というのが伝わってきます。
さて、試合の話に移りましょう。昨年、関東大学リーグNorteで2位。プレーオフを経て関東大学リーグ3部に昇格した共栄大学ですが、この試合までの5試合で勝点0、得点もわずか1と想像以上に「敷居の高さ」に直面しています。今日の相手、東京経済大学は昨年の東京都大学リーグで3位。勝点は9で前節では東京学芸大学に勝利するなど好調です。
そんな好調さを示すかのように、東京経済大学が序盤から共栄大学陣内でのハーフコートゲームの如く、攻撃を展開します。しかし共栄大学のキーパー髙木の高セーブに加えて、東京経済大学のシュートの精度が非常に悪く、なかなかゴールを破ることができない。
対する共栄大学はというと、全体的に下がってのディフェンスのため、ボールを奪ってもとりあえず縦に蹴るのみ。チャンスはほぼ皆無でした。
後半も東京経済大学が攻めるも、徐々に攻め疲れなのか攻撃が空回りしていきます。対する共栄大学は交代で入った選手がチャンスを作り出します。しかしシュートの精度は悪く、得点を奪うまではいきません。東経大も押されながらもチャンスを作り、あと一歩のところまでは行くがゴールネットを揺らすまではいきません。そのままズルズルと時間だけが過ぎ、結局0-0のスコアレスドローに終わりました。共栄大学の関東リーグ初勝点という記念すべきものを見させていただきました。と同時に、東経大にとっては落とした勝点2が今後響かなければいいのに、と思えた試合でした。
まずは東経大。前半の失攻が全てな試合でした。悪くはなかったのですが、点の取れるタイミングで取れてないとこうなりますよね?というお手本のような試合でした。今回関東リーグの枠が増えたことで昇格できた東経大。都からは上位6チームが昇格と、都リーグでもそこそこ強いところがほぼ全部抜けた感はありますが、それでも一度都に落ちると沼から抜けだけなくなる可能性もあります。まずはしっかりと残留して、3部でもいいから関東に定着することが大事。で、たまに2部に上がれそうな戦力が整った時にチャレンジする。そんなシナリオが理想的ですね。
一方の共栄大。やはり3部とはいえ、今のチームレベルでの関東は敷居があまりにも高すぎましたね。7月の後半の時点で未だ勝ち試合がないこと考えると、来年はまたNorteでやり直すしかないでしょう。個々の選手の能力はそんなに悪くはないと思うのです。でも、現代サッカーは能力は高くてもそれ以上に頭脳、高いサッカーIQが求められます。それに対応できる子とそうでない子との差が激しくなっています。その壁と必死に戦ってる最中なんだろうと推測しています。高いレベルのサッカーを目の当たりにして意識が変わるかどうか。そこが今後の共栄大が強くなるか、それとも一発屋で終わってしまうのかの分かれ道になりそうです。
でも悲観することはないです。一度上のカテゴリーにいた実績があると、その後何年かは今まででは想像しなかったようなレベルの選手が集まってきます。その間にまた関東リーグに戻ってくればいいんです。そうすれば徐々にいい選手が入ってくるようになり、自ずとチームのレベルも上がっていくのです。昔、全国大会に初めて出た頃の静岡産業大学を見たことがありますし、あるいは関東に上がってない頃の流通経済大学も天皇杯で見ています。今や強豪といわれるチームも、そんな時代があったのです。それと同じで、少しずつでもそれに倣って強化していけばいいのです。幸いなことに、特にスポーツに力を入れている学校なのでノウハウはちゃんと持ってるはずでしょうから、数年もしたら関東の2部くらいに定着してるかもしれませんね。そうなることを期待しています。
6/3 九州大学リーグ1部@佐賀市健康運動センター 佐賀大学 0-0 西南学院大学
ちょっと昔は東海学生より九州大学の人だったんですがここ最近、九州に行くだけのモチベーションがなかなか保てないですね。というのも、東海に比べて九州の方がやはりコストが高いんですよね。コストと言っても単に交通費だけでなく、ほぼ1会場1試合開催ですし、また試合自体のレベルの問題もあったりするのです。特にコロナ後の東海と九州とのチーム間格差があまりにも激しすぎるので、そう簡単に九州まで見に行くということがなくなりました。さらにコロナ後は「有観客開催か、あるいは無観客開催(非公開)」をハッキリと発表してくれた東海と比べて、九州はいつどの試合が見に行けるかが分からなかったので、そもそも予定すら立てることすら出来ず、さすがに見ることができるか分からない、そんなリスクを負ってまで見に行くだけのものなのか?と思うとやはり自重してしましますよね。去年、唯一見に行った九州の試合も「ここがダメでもこっちがある」という保険を掛けた上で行ったんですよね(でも行った試合は実は無観客だったが「グラウンドの裏からならOK!」と控え部員に教えてもらって見ることができたというオチがありましたが…(笑)(その時の話は下の写真とリンクに書いています)
今年になってようやく「普通に」サッカーを見に行ける環境になってきたので、いつものように日程と睨めっこしながら見に行くタイミングを計ったところ、この日のこのカードに辿り着いたのです。なぜこのカードに辿り着いたのかというと…
単に佐賀県で大学の試合を見たかっただけ!
なんです(笑)。実は九州で佐賀県だけ、大学サッカーの観戦歴がなかったのです。コロナ前から佐賀県での大学サッカー観戦を試みてはいたのですがそれも出来ず、コロナ禍に至っては見に行くことすら出来ない状態でした。ということもあって、ほぼ即決で予定が埋まりました(笑)
朝1番の飛行機で福岡空港に。そこから直接佐賀市内にバスで行けるところを、今回は博多駅まで行ってJRで佐賀に向かいました。
なぜ、わざわざ博多駅まで出たのかというと、博多駅構内に期間限定で出店しているめんたい重のお店に寄るため。お昼ご飯はちょっと豪勢に、元祖博多めんたい重でした(試合後の移動の車内で美味しくいただきました)
佐賀駅からバスで会場の佐賀市健康運動センターに。そういえば今年の全国社会人サッカー大会は佐賀開催。ここも開催会場の一つなので、個人的にはリハーサル大会のリハーサルということになりますかね?(笑)
試合はというと、正直なところ語るべき内容に乏しいものでした。
それも無理はなく、ホームの佐賀大学はここまで勝点0、得点すら1点と先ほどの共栄大学とほぼ同じような状態。対する西南学院大学。も勝ち点は多少挙げてはいるものの、上位との対戦でチーム状態は良くない。6月に入り気温も上がり、共に動きも鈍くチャンスを作ったとしても得点の気配すら感じない、極めて残念な展開。それでも西南学院大学はシュートを19本も放ったが、佐賀大学はわずか4本。そんなこんなで試合は、これといった見せ場もない0-0のスコアレスドローで終わりました。
でもね、この両チーム。去年は前期終了時の上位下位リーグ組分けのプレーオフにまで出場したチームなのです。1年でここまでガクッと戦力が落ちるものなのか、と思うと学生サッカーのおもしろいところでもあり、また怖いところでもあります。それでも西南学院大学は7月の総理大臣杯トーナメントで準決勝まで勝ち上がったので、ますます分からないですよね…(もし3位決定戦にも勝っていれば19年ぶりの出場だったようです)
そして帰りは、去年部分開通した西九州新幹線に乗って長崎に向かい、長崎から空路で帰ってきました。もう一つの目的は西九州新幹線に乗ることでした(笑)
6/24 総理大臣杯北信越予選@富山南総合公園球技場
3位決定戦 新潟産業大学 2-1 金沢星稜大学
決勝 金沢学院大学 0-3 新潟医療福祉大学
最後は北信越大学リーグの総理大臣杯予選。実はこれも富山県開催ということで、カード関係なしに行くことに決めました。理由はさっきと同じです(笑)
それに加えて、実は今年の予選は例年になく波乱含みでして…。決勝に進み、総理大臣杯出場を決めた金沢学院大学は初出場。準々決勝で松本大学に、準決勝では新潟産業大学に勝って決勝進出です。3位決定戦に進んだ新潟産業大学も1部と2部とを行ったり来たりするくらいのレベルですが、同じく準々決勝で北陸大学に勝利し、準決勝では金沢学院大学に負けて3位決定戦に回ることになりました。結果的には実にレアなものを見ることになったのですがそれはそれとして、去年のインカレで新潟医療福祉大学が決勝まで進んだことで北信越の大学サッカーが気になる方もいるでしょうから、現状をちょっとだけご紹介できればな、などと思っております。
まずは1試合目の3位決定戦。3位とはいえタイトルのかかった試合というプレッシャーもあったのか、新潟産業大学は前半ほぼ守り一辺倒。でも、対する金沢星稜大学もそれほど動きがよくなく、チャンスはたくさんあったものの決まったのは遠目から放った13番井上のミドルシュートのみ。前半は1-0で金沢星稜大学のリードで折り返します。
後半に入ると相手の攻撃をしっかり跳ね返し、攻撃に転じられるようになった新潟産業大学がリズムを掴み出します。そしてセットプレーから同点に追いつくと、流れは一気に新潟産業大学に傾きます。そして右の深い位置から放ったシュートが決まり、ついに新潟産業大学が逆転します。
その後、必死の反撃を試みる金沢星稜大学の攻撃を凌いだ新潟産業大学が逃げ切り2-1で勝利。チーム史上初の北信越3位という称号を獲得しました。
負けた金沢星稜大学ですが、新潟医療福祉大学が全国の常連になる以前はここが全国の常連だったことを考えると、今回のこの敗戦は一時代の終焉とも言えるかもしれません。図らずも同じタイミングでやはり全国常連だった北陸大学の初戦敗退(準々決勝シードのため)も重なったので、新潟医福の一強と言う流れがより際立ったようにも思えます。また、全国大会の常連で同じ学園内の星稜高校も、近年では石川県で優勝するのですら難しい状況になりつつあります。
もともと、内部進学者が少ない金沢星稜大学には高校の弱体化はあまり関係ないかもしれませんが、これらがどことなくシンクロしているところがやや気になります。この試合が再び全国で金沢星稜大学の姿を見ることが出来るのか、そのターニングポイントになるのでなるかもしれません。
勝った新潟産業大学。前半こそは苦戦したものの、追いついてからはのびのびとしたプレーで北信越3位という称号を獲得。チームの新しい歴史を刻んだ試合となりました。登録メンバーは多くはないものの、個々の能力は悪くなかったです。そして、同点ゴールの壬生や再三サイドからいい突破を見せていた岡崎は大体大浪商、1対1に強かったCBの5番永松はアサンプション国際高校といったように大阪出身の選手が多かったのが意外でした。
とはいえ、チームとしての実力はまだまだです。まずは1部に定着すること。大会前は勝点0で降格の危機にあったチームも、大会後は好調を維持し3試合で2勝1分と負けなし。順位も5位と上がってきました。このままの状態を維持できれば1部残留も十分見えてくるでしょう。準優勝の金沢学院大学も数年前までは同じく1部と2部とを行き来していたチーム。1部に定着できてこその今回の結果とも言えるので、新潟産業大学にもまずは1部定着が必須課題と言えるでしょう。そして、今年のこのチームなら十分可能だとそう思いました。
そして余談ですが、新潟産業大学のある柏崎市。実は「水球の街」としてアピールしているようで、地元に本社のあるお菓子メーカーのブルボンが特に力を入れているようです。(写真は2019年にに新潟経営大学まで北信越リーグを見に行った際に立ち寄ったものです)
続いて決勝。昨年のインカレファイナリストである新潟医療福祉大学と金沢学院大学の試合。この両チームが北信越代表として総理大臣杯に出場します。
試合は90分通じて新潟医福がペースをにぎるという、まあ予想通りの展開。しかし前半はシュートが枠を捉えるシーンはなく、対する金沢学院大学はシュートまで持っていく場面もほぼないという「ほぼハーフコートゲーム」のような内容で終了。後半開始から交代で悪い流れを変えに行った新潟医福が先制すると、ゲームは完全に新潟医福の流れとなり、追加点を重ねて終わってみれば3-0の妥当なスコアで終了。新潟医療福祉大学が優勝。今大会快進撃を遂げた金沢学院大学は準優勝に終わりました。
まずは金沢学院大学から。近年、1部残留は出来つつあるものの、上位とはまだ水を開けられている感がありますが、やはりこの試合を見てもそれは否めないですね。そんな金沢学院大学ですが、実は今年から監督はFC東京や町田ゼルビアなどで活躍した元Jリーガーの太田康介になり、本格的にサッカー部の強化を計りつつあるのです。ツエーゲン金沢で引退をした彼はそのまま金沢に残ってコーチライセンスを取り、金沢学院大学サッカー部のコーチを経て今年から監督になりました。
しかし、監督がJで実績を残した選手だとしても、チームが強くなるかはまた別の話ですが、それでも監督のネームバリューでいい選手が集まることは十分考えられます。さらに今年総理大臣杯に出ることで全国的な知名度も上がることでしょう。来年以降、新潟医福を含めた上位チームとどこまで戦えるか、それ次第では北信越の勢力図が大きく変わる時が近い将来やって来るかもしれません。
優勝した新潟医療福祉大学ですが…。去年までのチームがあまりにもスーパー過ぎたので比較するのか可哀想なくらいですが、この相手に対して後半ギアを上げ直してようやくの3ゴールというのは厳しいと言えるでしょう。去年のインカレ準優勝メンバーの沼田や坂岸は今年4年生。そんなやや停滞感のあるチームに活気を与えたのは、後半から入って2点目のゴールを決めた磐田U-18出身、2年生の上之平でした。最高学年となった沼田や坂岸の活躍は当然ながら、彼や1点目をアシストした2年生の吉田、何本もロングスローを見せた2年の細井、さらには3年生の松本や大塚亮介の働きも重要になってくるでしょう。去年のチームは小森、オナイウの個人能力が目立ったチーム。しかし今年は、爆発的は個の能力がない分、個々の能力を結集させることで先輩の成し遂げられなかった全国制覇を達成する。そのためにも、彼ら一人ひとりのさらなる進化が求められる、そんな印象を受けた試合でした。
以上、取るに足らないといっては失礼ですが、やや一般ウケしない大学サッカーばかりを集めた今回のお話。うまく纏まったかどうかは分かりませんが、これに懲りずに各地の大学サッカー見ていきたいと思いますので、乞うご期待!