たとえ武蔵野を離れてもサッカーを続ける限り、どこまでも彼らを見続けていこうと思った、というお話(武蔵野に限らず…笑)
今年の夏は、暑いってもんじゃないですね!連日のように「屋外での激しい運動はさけてください」というアラームが出されても、アマチュアサッカー界では昼の時間帯に試合が組まれています。やってる選手たちはもちろん、見ている私たちも身体の心配をしないといけないようなそんな中、今回は武蔵野にいた選手がチームから離れてもサッカーを続けているということで、そんな彼らをそっと見に行って来ましたよ!というお話です。
8/25 The KSLアストエンジ関西リーグDivision2@いぶきの森 神戸FC1970 1-2 A.S.Laranja KYOTO
8月の終わりの日曜日、しかも14時キックオフという、一番暑いであろう時間帯にポツッと組まれた1試合。会場はヴィッセル神戸の練習場のあるいぶきの森です。とはいっても、ヴィッセル神戸が練習するグラウンドは当然使わせてもらえるわけもなく(笑)、その下にあるユースやアカデミーが主に使う人工芝のグラウンドです。まあここは、関西リーグ以外にも兵庫県リーグや県の主な大会もやっているので、私にとっては「庭」みたいなもんです(笑)
「庭」というからにはすぐ近くなんでしょう?と思われるでしょうが、確かに近くではあるんです。あるんですが…、なぜか試合の2時間前に家を出ないと試合開始ギリギリになるのです。なんででしょうかね?(笑)気候がいいと地下鉄の学園都市駅というところから4キロくらい、散歩がてら歩いて行くのですが、今この気候でそれをやると間違いなく死ねるので、残念ながらそれはやめておきます(笑)でも、夕方歩くとなかなかいい景色が見られるんです。
Division2首位のA.S.Laranja KYOTOは以前から知ってる選手がいるので、普段からよく見に行ってるのですが、この日の目当ては対戦相手の神戸FC1970でした。まあ、神戸FCも県リーグ時代からよ〜く見てるチームなので、暑い中でも全然見に行く価値のある試合ではありました。
日陰のほとんどないグラウンド。試合前、クラブハウスのそばのわずかな日陰に佇んでいたら、ピッチ内練習を終えた知り合いの選手が「暑いから気をつけてね!」って。いやいや、客の心配より君たちの方がむしろ心配じゃ!(笑)などと思いながら、日差しが燦々と降り注ぐアルミの仮設スタンドへ…。幸いだったのは、アルミのスタンドがそんなに熱を帯びてなかったことでした(笑)
この日の目当ては、7月に神戸FC1970に移籍した時里選手でした。実は彼、ついこの前まで横河武蔵野FCの選手として登録されており、4月に見たヴィアティン三重戦にもスタメン出場していた選手です。7月から転勤で関西に移ったらしく、横河武蔵野を離れて神戸FC1970に移籍したということです。先月の全社予選から出場していたらしいのですが、まだ見れていなかったので彼の勇姿を見に来ました。ちなみにこの日はベンチスタートでした。
試合は開始9分、カウンターから神戸FCがCKを獲得。小幡の蹴った精密機械のような正確なボールを、ファーで合わせたのは4番の西岡田。188cmの長身を活かして競り勝ち、先制ゴールを決めます。神戸FCには詳しい私ですが、全く見たことない選手だったので慌てて調べてみたところ、前所属はKUFC南国とのこと。しかも、この試合の直前にKUFC南国を退団したばかりで、移籍直後でのゴールでした。前のチームでも点取り屋だったらしいですし、なによりU-15の日本代表候補としてキャンプにも参加したことのある選手のようです。恐ろしい選手がまた神戸FCに入って来ましたね。(追記:ちなみに神戸FCは来年、Division1への昇格が確定しております。来年も楽しみですね…)
ここから神戸FCのペースになるかと言うとそうではなく、Laranjaが落ち着いてボールをキープしつつパスを回しながら、神戸FC陣内でプレーする時間が長くなります。それでも神戸FCは、冷静な対応で守り続けてゴールを割らせません。首位Laranjaからすると実に嫌な展開で前半を1-0で神戸FCリードで終わります。
真夏の日中の試合で体力勝負になる中、早く追いつきたいLaranjaは50分に23番山田からのパスが出ると、DFの後ろに回って抜けた西川がキーパーとの1対1を冷静に決めて、Laranjaが追いつきます。それでもしばらくは神戸FCもLaranjaのパス回しに必死に食らいついていましたが、体力勝負になると前半から走り回された神戸FCの足が徐々に止まりだし、防戦一方になります。そして、クーリングブレイクが明けた78分、DFの裏を抜けたLaranjaの絶対的エース、磯部が冷静にゴールに流し込みます。頼れるゴールハンターが活躍したLaranjaが勝ち越します。
反撃を試みたい神戸FCは82分に、武蔵野から移籍した時里が交代で入ります。入った位置はなんとボランチ。サイドの選手のイメージだったので正直びっくりしました。しかもコンビを組んだのは、私が神戸FCで一番大好きで、尚且つ飛び抜けて上手いであろう7番の小幡。もう、誰得以外の何物でもない組み合わせ!(笑)ボランチに入った時里は冷静にボールをキープしながら、絶妙なタイミングで前線にいいボールを供給します。4月のヴィアティン三重戦ではプレーに迷いがあるのか、あまり良い動きができずに前半で交代してしまいました。以前から武蔵野のサポの中ではあまり評価の良くなかった彼ですが、JFLで試合に出られるということは、このカテゴリーにくればやはりレベルは違うのですね。そのことを存分に発揮したプレーを見せてくれました。個人的にはそれでもう十分でした。
残り10分は神戸FCが怒涛の反撃を仕掛けますが、冷静に対応したLaranjaが逃げ切り2-1で勝利。今年のLaranjaは本当に強いです。そんなことを改めて感じた試合でした。そして、神戸FCは次から次へと良い選手が入ってくる「魔境」のようなチームになってきた(笑)、関西リーグの曲者になりつつあります。
今回、時里が関西に転勤になって神戸FCに入った訳ですが、どうして彼が神戸FCに入ることになったのか?実は過去に、関西転勤になって神戸FCでプレーしたことのある選手がいたのです。横河武蔵野の強化部長なった村山浩史さんです。どうやら、彼の勧めで神戸FCに入ることを決めたそうです。そういや、神戸FC時代に村山選手のプレーを見たことありますね、しかも、同じいぶきの森でした(笑)その時はまだ県リーグ時代でしたし、しかも同じいぶきの森でも今ヴィッセル神戸が練習で使用している一般に開放していない方のピッチでの試合でしたね。懐かしい話です…。
いつも思うのですが、サッカー選手が「選手」として続けられるというのは、人と人との縁によるところが大きいと思うのです。関西に全く縁のないであろう時里が、転勤後すぐにサッカーの出来る環境が見つかったというのも、そうした人と人との縁によるところが大きいでしょう。これから彼が何年このチームでプレーするかは分かりませんが、プレーし続ける限りは引き続き見守っていきたいと思います。まあ、近くでプレーしているというのが一番大きいですけどね(笑)
9/8 四国リーグ@高知県立青少年センター陸上競技場 KUFC南国 4-0 レベニロッソNC
この日は(も?)早朝から移動。珍しく西方面に向かいました。新幹線で岡山まで向かい、そこから海を渡ります。いわゆる海外渡航ですね…(笑)。岡山から南風に乗るのって、もしかしたら初かもしれないです。自由席でいいだろうと思って押さえたのですが、3両編成のうち自由席は1両のみ。後は指定席と、いつのまにかJR四国も指定席を増やしていてびっくりしました。それでも目的地まで隣の席が埋まることはなかったので、まあそれくらいの需要なのか?それとも指定席を押さえる人が増えたのか?次からはちゃんと指定席を押さえて、JR四国の赤字の補填に貢献します…(笑)
高知ってやっぱり遠く感じるのです。山陰みたいにJALが飛んでいればいいんですが、高知便はANAのみなのでどうしても陸路になってしまいます。新幹線+南風でも高知に着くのが10時前なので、大学リーグは場所によってはキックオフに間に合わない、プリンスリーグはほぼアウト。そうなると夜行バスか、高松まで夜中のフェリーで行って高松始発の南風で向かうしかないのです。ただ、ANAの1便なら高知駅に9時くらいには着くので「ANAの乗り方がわからな〜い」なんてふざけたこと言わずに、ANAにも乗った方がいいんでしょうね…笑(と言いつつ、ANAとコードシェアのエアドゥやソラシドには乗ってる…)。
この日の会場のある旧野市町へは、高知の手前の後免で土佐くろしお鉄道に乗り換えとなります。この後免駅のある南国市に高知空港があるので、今回は本当に空港からタクシーで行ったら一番早く会場に着いたんだよなと思うと、選り好みせず空路も視野に入れるべきですね…。
後免から土佐くろしお鉄道に乗り換えて3駅、約10分。最寄駅ののいちに到着。駅前にはフジグランがあり、家もそこそこある。高知市内に勤めているのなら十分に通勤圏内だから、住環境としてはかなりいいところっぽいという印象です。世の中、地図上では計り知れないことがいっぱいなので、やっぱり実際に行ってみないと分からないことだらけでおもしろいですね…
ここから歩いて約25分くらいで、今日の会場の高知県立青少年センターに到着です。野球場と体育館、そして陸上競技場とテニスコートがあるしっかりとした運動施設です。
この日のカード、ホームのKUFC南国は高知大学のOBが多く所属しているチーム。しかも、高知大学がインカレや総理大臣杯で活躍していた頃の選手たちが、まだ現役でプレーしています。個人的によく見ていた頃の高知大学の選手がまだ何人もいるので、来る前からワクワクしていました(笑)。アウェイのレベニロッソNCは愛媛の新居浜をホームタウンとするチーム。このチームに今回の目当てである、元武蔵野戦士だった佐藤稜大がいます。以前から見に行きたかったのですがなかなか行けず、ようやく今回初めて見に行くことになりました。
とはいえ、武蔵野時代に彼のプレーはほとんど見た記憶がないんですよね。というのも2014年、まだ大学生だった頃に横河武蔵野FCに入ったものの、なかなか試合に出られる機会がなく、私もその頃はあまり見に行く機会もなかったのでおそらく彼のプレーは見ていないはずです。そして大学卒業年に、今の実力ではこのチームに残れないと悟っていた彼は、就職活動の末に横河電機への内定を獲得。横河電機の社員として、晴れて東京武蔵野シティFCに戻って来たのです。
しかし世の中とは皮肉なもので、入社2年目にして愛媛に転勤になってしまいました。そこでサッカーを諦めてしまいがちなんですが、彼はそれでもサッカーを続けたいと思い、愛媛でサッカーの出来るクラブを探したのです。そのチームが新商クラブ、今のレベニロッソNCだったのです。それから今年で6年目、チームでもベテランの域に達した彼の姿を見ておきたい。そういう思いで今回、高知までやってきたのでした。
前半は全体的におとなしい展開でした。縦へのスピードからチャンスを作ろうとするレベニロッソに対し、フィジカルと個人の能力の高いKUFC南国は老獪に攻めながらゴールを狙いに行きます。しかし、どちらも決め手がなくそのまま終わると思われた45+3分。KUFC南国のFW9番松本のゴールが決まり、1-0とリードして前半を終えます。
前半のATに先制したKUFC南国は、後半開始すぐの47分に22番の田中雄斗が放ったシュートがゴールの隅に決まり、2-0とリードを広げます。失点後しばらくはレベニロッソも反撃を試みましたが、南国の老獪な戦い方に徐々にそのパワーを削がれていき、攻撃も単調になっていきます。そうして迎えた80分、レベニロッソ佐藤のファールでもらったFKを後藤が合わせて勝負を決める3点目。一気に足の止まったレベニロッソは84分にも失点、最終的には4-0の大差で負けてしまいました。
勝ったKUFC南国。順位こそ振るわないものの、各個人のポテンシャルはやはり高いです。高知大学がまだ全国でそれなりに戦えていた頃の選手も、年齢は重ねましたが十分に通用していました。そして何よりもフィジカルが強いので、レベニロッソの選手がボールを取りに行っても簡単には奪えず、上手く交わされるシーンがよく見られました。
ただ、今では高知大学は四国でも高松大学、四国学院大学に押されて全国にすら出場できない状態です。将来的にどこまでのレベルの選手が集まってくるのかが不透明なところが気掛かりです。今後、早ければ来年にもJに参入する高知ユナイテッドにいた選手などが入ってくるような、そんな流れになればいいですね。
そして、今回のお目当てのレベニロッソと佐藤稜大くん。試合中はずっと声を出して味方に指示を出し、いいプレーには褒めてあげ、拙いプレーには叱咤激励を飛ばす。そんなレベニロッソを牽引するプレイヤーとしてしっかりと活躍していました。でも、さすがに自らのファールで与えたFKから3失点目を喫した直後は、声を出せなかった様でしたね。そして、レベニロッソの中ではやはり、ずば抜けて上手かったです。特に先輩の選手に対して「今の、戻りながらスライドできないっスか?僕はできますけどね!」とやや皮肉を言いながらも、ちゃんとこうして欲しいというアピールをするところを見ると、おそらく彼がそれを言っても、みんなが納得するくらいの存在なんでしょう。
そして何より一番感じたのは、彼よりもプレーの質はやや劣っていたとしても、そんなチームメイトと一緒にサッカーをやって、少しでもみんながサッカーが上手くなって、少しでも高いレベルでプレー出来ることを彼が一番望んでるのではないか、ということです。高いレベルでプレーしていた選手が下のカテゴリーでプレーすると、なかには周りのレベルの低さに耐えかねて周りに当たり散らしたり、プレーが雑になったりする選手がいますし、嫌気が刺してサッカー自体を辞めてしまう選手もいます。でも彼は一切そんなことはなく純粋にボールを追いかけ、今いるチームメイトと純粋にサッカーを楽しんでいるように見えました。彼のプレーがほぼ初見の私でもそれが分かるくらい、彼は純粋に「今のサッカー、今の現場」を楽しんでいました。その姿を見られただけで、この日ここまでやって来て正解でした。また来年も、彼の姿を見ることが出来れば良いですね。そして、そんな彼のいるレベニロッソNC。来年は新居浜で見てみたいな、と思ったのでした。
サポーター人生の後半をどう過ごすか…
武蔵野から去った選手たちを見てきたわけですが、長い間サポーターを続けているとチームから離れた選手たちにも愛着を持つ人も多いかと思います。そんな彼らの活躍を見て「また戻ってこないかな?」と思うのも良いでしょうし、逆に「そこで活躍してくれればそれで良い」と思うのもありでしょう。チームよりも上のカテゴリで活躍しているのであれば、なおそう思うことでしょう。また、行った先のチームで起用されずにいる彼らを目にすることもあるでしょう。見ていて辛い気分になることもあるでしょうし、怒りや憤りを感じることもあると思います。でも、彼らには彼らの立場や思いもあり、それに対しサポーターは、その思いを受け止めることや寄り添うことはできてもそれ以上は何も出来ないのです。彼らに代わって何かできるという立場ではないのです。それがサポーターというものです。
活躍していようがいまいが、昔いたチームのサポーターが見に来るというのはそんなに悪い気はしないと思います。むしろ、嬉しいことではないかと思います。自分たちのチームの試合で忙しいでしょうが、見に行けるならそんな彼らの姿を見に行くのもサポーターとしてありなんじゃないでしょうか。
私の中には、昔から「サポーターのライフサイクル」という考え方があって、それは…
①試合を見に行ってチーム(選手)を好きになる
②そのチーム(選手)を見るために試合に通うようになる
③ホーム(あるいは近く)の試合に飽き足らず、遠くのアウェイ(あるいはホーム)の試合にまで足を運ぶようになる
④ゴール裏に入って熱狂的に応援するようになる
⑤そんな生活を何シーズンも繰り返すことで、徐々にサポーターとして「成熟」していく
⑥やがて熱狂的に応援する立場から、チーム(選手)を見守る側に立ち位置が変わる
⑦そして試合を見る位置も、ゴール裏からバックスタンドやメインスタンド、テレビやネットでの観戦へと移る
上のように、サポーター個人の見方や立ち位置が徐々に変わっていき、ゴール裏のサポーターもそれに伴い入れ替わっていくのが、サポーターの正しいサイクルだと考えるのです。そうしたサイクルで考えると、他のチームに移った選手を見にいくようになるというのは、⑤以降に差し掛かったサポーターが圧倒的に多いのではないかと思うのです。いわば、サポーター人生の後半を迎えたサポーターです。そして、⑥から⑦に差し掛かるとJサポだとユースサポに転身するケースが増えてくるのです。そうしてみんな、長いサポーター人生を謳歌していくのです。
私自身は札幌で1回転、佐川大阪・滋賀で2回転目、そして今は武蔵野で3回転目のおそらく後半に差し掛かっているのではないかと自覚しています。サポーターも3回転目の後半になった今、武蔵野の試合を楽しむと同時に、武蔵野を去った選手たちのプレーも楽しむという、これまであまり出来なかった新たな楽しみが増えたことはありがたいです。
そして、私のようにサポートしていたチームがなくってしまうと、もはやそこにいたかつての選手を追いかけていくしか、チームへの愛情を注ぐ手段がないのです。さらにチームが無くなると新しい選手が増えなくなるので、年々引退などでサッカーから離れる選手を見送るだけになってしまうのです。悲しいですがこれが現実です。だからこそ、まだプレーを続ける選手を見届けていくことは、サポーターとしての一つの使命だと思っています。
まあ、ここまでの強い思いや使命感はなくても、チームを辞めた選手のその後を探っていくのも、また楽しいのではないでしょうか。そうして見えてきた「何か」が、それからのサポーターとしての立ち位置や在り方について考えるいいきっかけになるかもしれません。何かの参考にでもなれば幸いです。
海外に渡った選手との偶然の遭遇。それもまたあり…
その翌々週の平日、今年から再編されたアジアチャンピオンリーグのACL2の試合を見に、5月に行ったエディオンピースウイング広島に行って来ました。せっかくのピースウイング広島でのサンフレッチェの試合、ここで紹介した特徴的なシートのうち、コーナーにあるハイカウンターシートがアウェイ側だけほぼ空いていたので、そこからゆっくりと観戦することにしました。
普段のリーグ戦ではほぼ満員のスタンドも、この日は6800人程度と空席が目立つスタンド。スタジアム内はノエビアスタジアム同様、キャッシュレス決済のみで、ビールを売る売り子たちもキャッシュレス対応の端末を持って売り歩いていました。売り子の子からビールを買うと「今日はお客さんいないんで、久しぶりに買ってもらいました〜」などと感謝されるくらいでした。国際試合ってなかなか見られる機会がないから楽しいと思うのは、私だけでしょうか?
実は、対戦相手のフィリピンのカヤFCイロイロの監督が元YKKにいた星出悠さんで、そのせいなのか日本人選手が4人登録されていました。その中で気になる名前を見つけました。その選手の名前は駒木秀人。一昨年まで九州産業大学にいた選手で、リーグ戦でもインカレでも見たことある選手です。あの年は4年よりも下級生にいい選手がいたのであまり目立たなかったでしたが、なんか聞いたことある名前だったので確認したら「あ〜、九産の駒木くんじゃん!今、そっち(海外)でプレーしてるんだね!」ってなりました。伊達に見境なく見に行っていると、こういうことが起こるんですよ(笑)そんな駒木くんはベンチスタートでした。
今年の広島としては珍しくターンオーバーを採用、大幅にメンバーを変えたとはいえ前半から実力差は明らかでした。広島としてはそれでもなかなかゴールを決められない嫌な流れでしたが、37分に満田の折り返しからドウグラス・ヴィエイラがゴールに流し込み、広島が先制して前半を終えます。
なんとか食らいつきたいカヤFCでしたが、後半開始から先制ゴールを決めたドウグラス・ヴィエイラに代わって入ったゴンサロ・パシエンシアが54分に豪快なゴールを決められ厳しい展開となりました。そんな悪い流れを高いすべく、その5分後にようやく駒木くんの出番が回って来ました。
大学時代から捌きは上手く、走りながらボールを貰いたいプレースタイルだった彼ですが、まだチームにフィットしていないのか、パスを叩いてもなかなかリターンでボールが来ずにややもどかしい場面も見られました。それでも、ボールを持てばどんどんドリブルで前へと進む姿は九産大時代とそんなに変わってなかったです。広島の選手との1対1も、互角とは言わないもそこそこ対応できていたように見えました。
試合はさらに追加点を決めた広島が3-0と勝利。グループステージ初戦に快勝、幸先のいいスタートを切りました。その一方でカヤFCの駒木くんは、チームメイトとの連携の悪さはやや否めず、それでも今出来ることを精一杯やったという印象でした。
Jクラブが60あったとしても、毎年それらのクラブに入ることの出来る選手はせいぜい200人から250人程度。それ以下のカテゴリーを含めても全体で多くて500人いるかどうかだと思います。そこから溢れたプロ指向の選手たちは、国外のクラブに行ってサッカーを続けるしかないのです。以前ならシンガポールのアルビレックス新潟シンガポールに行くという手もありましたが、2024年シーズンからシンガポール人中心のクラブへと移行。それまでも日本人選手はU-23までという独自のルールでクラブ運営をしていましたが、いよいよ日本人、特に大卒選手が国内に戻ってくるという「武者修行」という場ではなくなってしまいました。海外での武者修行をやるには自らで契約するか、海外のクラブのクラブとコネクトのある代理人と契約して、プレーするクラブを探さないといけない、というこれまで以上にハードルの高い選択肢となるのです。
それでも夢を追い続けて東南アジアや欧州に渡ってサッカーを続ける選手たち。彼らが何年か経って日本のどこかのクラブに戻って来れるかは分かりませんが、そういう彼らが日本に戻ってどこかのチームでサッカーを続けることが出来るのであれば、そんな彼らを追い続けるのもまたありなのではないか。そんなことを、この日見た駒木くんの姿を見て改めて感じさせられました。彼が近い将来、日本のどこかのクラブに戻って来れることを期待しつつ…、でも今のレベルでもJFL、J3レベルなら十分にやれるのではないかと、素人ながらそう思ったことを最後に付け足しておきます(笑)
最後に、彼が4年の時に出場したインカレの時の写真(2022/12/8@三ツ沢陸上、vs仙台大学)を載せておきます。