例年以上に壮絶だった地域CLと入替戦を見ながら、勝ったチームにも負けたチームにもそれぞれエールを贈ってみた、というお話
この世で一番儚いものって、実は入替戦だと思うのです。なぜかというと、だった1試合(あるいはホームアンドアウェーなどの2試合)だけでこの1年(あるいは1シーズン)の結果が全て無駄になってしまう可能性のある、選手にとってもサポーターにとっても、全てもクラブ関係者にとっても残酷な結果を招きかねないからです。まあ、自動降格のように一切の逆転不可能ではないだけまだマシという見方もありますが、その試合「だけ」に焦点を当てれば極めて残酷なものです。
Jリーグでも入替戦が行われることがありました。一番波紋を呼んだのは2019年のJ1参入プレーオフではなかったでしょうか。J2同士のプレーオフで勝ち上がった4位の徳島ヴォルティスとJ1リーグ16位の湘南ベルマーレとのワンマッチ。勝てばJ1、ドローなら上位リーグの湘南が残留という試合。前半に先制した徳島でしたが、64分に湘南に追いつかれます。その後、湘南はなりふり構わないベタ引き戦術を取ってドローに持ち込み、J1残留を決めました。負けた徳島のリカルド・ロドリゲス監督の口からはレギュレーションに関する不満も述べられた、そんな入替戦だったと記憶しています。その1戦に勝つか負けるかで、天国と地獄を味わってしまうというのが入替戦の恐ろしいところです。当事者として関わりたくはないものですね…
今年からは、いよいよJ3とJFLとの間で入替戦が開催されます。Jクラブにとっては地獄のような入替戦です。そのことは前回お話ししましたが、そんな地獄のような入替戦がもう一つ、同時期に行われています。それは、JFLと地域リーグとの入替戦です。こちらも迎え撃つJFLクラブにとっては地獄のようなものです。もし仮に敗れて地域リーグに降格したら、今度はこれまた地獄のような地域チャンピオンズリーグで勝ち抜けないといけないからです。こちらの方がJFLからJに行くよりもっと過酷かもしれません。今回は、そんな「日本一過酷」と言われる地域チャンピオンズリーグの決勝ラウンドと、その後行われたJFL地域リーグ入替戦のお話です。
11/22 地域チャンピオンズリーグ決勝ラウンド@たけびしスタジアム京都 飛鳥FC 0-3 福井ユナイテッド、VONDS市原 0-0 ジェイリースFC
もう1ヶ月以上前の話なので、試合内容についてはザッとだけにしておきます。
1試合目の飛鳥FCvs福井ユナイテッド。初戦勝利した飛鳥FCと終了間際に追いついてのドローだった福井ユナイテッド。この試合に絶対勝たないといけない福井ユナイテッドの本気度が極まった試合だったかと思います。
前半からラッシュをかける福井ユナイテッドに対し、ワントップの清川にボールがなかなか入らない飛鳥。さらに、サイドを徹底的に封じ込めることで飛鳥の攻撃を完全にシャットアウトした福井ユナイテッドが、前後半通じてゲームを支配。それでも前半は何とか無失点で凌いだ飛鳥FCでしたが、後半開始すぐの46分に先制点を奪われると、ますます劣勢に立たされます。70分にクリアボールを拾われて市川に2点目を決められると、さらに終了間際の86分に交代で入った大石にダメ押しの3点目を取られ、飛鳥FCは完敗。勝った福井ユナイテッドは最終戦に優勝含めて望みを繋いだ、そんな試合でした。
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70分に市川がゴール前でのキープから…
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貴重な2点目を決めた市川は渾身のガッツポーズ!
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ボランチの榎本からのクロスは…
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これで飛鳥FCを抜いて暫定首位になりました。
2試合目は初戦で守備の要である渡辺の退場、そのうえ90+4分に決勝ゴールを決められ、早くも崖っぷちに追いやられたVONDS市原と、初戦は終了間際に追いつかれてのドローに加え、同じく初戦で1人退場と警告累積でボランチの今吉を欠くジェイリースFCとの一戦。こちらはどちらもチームの軸となる選手がいない影響がモロに出た試合となりました。VONDS市原は守備の要以上に精神的な柱でもある渡辺がいないことでゲーム運びがやや稚拙になり、対するジェイリースFCは中盤からいいボールを供給する今吉がいないのでロングボール主体の攻撃と、90分通じて落ち着かない展開となりました。どちらもチャンスは作るも、守備も徹底していて得点を許しません。「勝ったほうがいいけど負けるよりかは引き分けの方がいい」という両チームの思惑も渦巻く中、結果的には0-0のスコアレスドロー。VONDS市原は渡邉が、ジェイリースFCは今吉がいればどう転んでいたかわからない試合でしたが、両チームとも最終戦の結果次第では優勝、もしくは2位が狙える、そんな結末で終わりました。
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エリア内に持ち込んだ島津は…
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共に前半は決定機を逃して終えました。
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攻撃の要、延がキーパーと接触するも…
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どちらもゴールマウスに嫌われていた試合でした。
この日で何も決まらなかったのはある意味良かった反面、2日後の壮絶な結末を招く最大の要因だったかと思います。負けた後、飛鳥FCサポのお兄さんが「今日で決まったらおもんないやろ!」と言っていたのが、今から思うと何かの伏線だったのかな?とまで思ってしまいます。また、試合前に福井ユナイテッドサポの知り合いに挨拶に行くと松江の時同様、ものすごく歓迎されてこっちが恐縮してしまうほどでした(笑)。勝った後も「ウチらも頑張るからね!そっちも頑張ってね!」と励まされながら心の中で「最終戦は都田に行かないんだよな…汗」と少し後ろめたく感じつつ「いやいや、先週現地組には『サポーターとしての魂』を預けてきたから大丈夫!」という訳のわからない理屈をこねながら自分なりに咀嚼してました(笑)。その時はまだ「来年、武蔵野戦でテクノポート行くとすると、どうやって行こうかな?ま、残留できればの話だけどね(汗)」などと呑気なことを思ってたのですが…
その2日後、仙台の少し北に位置する利府町の宮城県サッカー場(あえてこの名前で呼びます…笑)で全ての結果がどうなったかを知ることとなりました。その日の試合中は、目の前の試合に集中する意味でも一切の外部情報をシャットアウトしていました。がしかし、都田にいるサポの知り合いからLINEで「石原のPKで先制」という通知を見ながら「いや、気持ちはわかるけど今じゃなくてもいいのに…」と思いつつも、ちょっとだけ安堵したり…(笑)
目の前の試合が終わってとり急ぎSNSに速報を流して、さらに写真データを落とし終わって、まだセレモニーまで少し時間がある。と、そこまで済ませてようやく、恐る恐るJFLの結果を確認。武蔵野はその後、Hondaに追いつかれて1-1のドローで終了。「いやいや、ドローじゃダメなんだよ!ドローじゃ…」と思いながら先に目をやる。勝点で並ぶミネベアミツミの結果を見ると、ブリオベッカ浦安に0-1で負けている!しかも、決勝点は後半AT!後で現地にいた知り合いが「90分まで降格を覚悟した」というのがまさにリアルな感想でしょう。横河武蔵野FCは最終戦でかろうじてJFL残留を決めました。そして入替戦回りとなったのは、最終戦で敗れたミネベアミツミとなりました。
次は地域CLです。こちらは2試合目が30分遅いキックオフなので、まずは1試合目の結果から。飛鳥FCが2-1で勝利。逆転勝ちの上に、この大会ずっとブレーキだった井口の決勝ゴール。この結果、飛鳥FCが1位となり、JFL自動昇格を決めました。久しぶりの関西からのJFL昇格。これで、Divishon1で7位だったFC AWJとDivision2の7位の京都紫光クラブの残留と、Division2最下位だったACミドルレンジの自動降格が回避され、府県決勝大会2位との入替戦に臨むことが決まりました。関西リーグ的にはめでたしめでたしという結果となりました。そして2位を争うのは今行われているカードのどちらか、勝点と得失点差で圧倒的に優位に立っている福井ユナイテッドと、勝つしかないうえに3点差以上つけないと2位にはなれないVONDS市原となりました。
JFLの結果を見終わって、地域CLの中継に切り替えた時はたしかまだ、VONDSが3-2でリードしていたかと思います。やはり福井相手に3点差勝利ってのは難しいよね…、などと思ってしばらく経って再び画面を開くと、スコアは4-3になっている。リードはしていてもそれではまだダメなVONDS。「やっぱり今年は福井かな…」と思いながら、再び画面を閉じる。セレモニーが始まり、しばらく経って再び中継を見ると90分過ぎのアディショナルタイム。スコアは5-3、VONDSが2点差でリード。とはいえ、あと数分守り切ればいい福井。「まだ福井だよね」と思ってしばらく目を離していたら、なんとVONDSが追加点!そのシーンが目に飛び込んだ瞬間、この試合に遅れて見にきた、佐川時代から苦楽を共にしてきた知り合いの元に行き「宮崎ですね…」と互いに確認し合いました。
現場にいなくても、リアタイで中継だけでも壮絶だったこの試合。現場にいた人たちはどういう心境だったのでしょうか?そして、現場にいた当事者、サポーターの心境はいかがなものだったのだろうか?特に大逆転負けを扮した福井ユナイテッドのサポーターの人たちに、そんなことを聞くのは酷というものでしょう。そんなことを思うと、その場にいなかったことが不幸中の幸いだったとしか思えない…。そんな残酷な結末でした。
そんな感じで、JFL地域リーグ入替戦はミネベアミツミvs VONDS市原に決まりました。宮城県サッカー場からの帰りがけ、一緒に帰った知り合いは入替戦の日程と会場を確認、即決で翌週の宮崎行きのチケットを押さえていました。しかし私はまだ迷っていました。すでにアラフォーの域に達している清原は、いつ現役最後の試合になってもおかしくない状態。ましてや、入替戦の結果次第では今年で引退ということも十分考えられる状況。しかしながら、もし見に行ったとして去年のように負ける試合を見るのも辛い。去年は行こうにも行けなかった沖縄での入替戦。行けなかったことでやや悔いが残ったのも事実でした。
丸一日悩んで出した結論は、宮崎に行くことでした。お金の面はマイル切ったり、緊急事態用に持っているJALの株優を使いながら工面。あとは気持ちの面だけ。しかしこれがなかなか整理がつかないまま1週間が過ぎ、試合当日になってしまいました。
12/1 JFL地域リーグ入替戦@ひなた宮崎県総合運動公園ひなた陸上競技場 ミネベアミツミFC 1-0 VONDS市原
朝一の便で宮崎空港に降り立つ。13時開始とはいえ、アクセスがあまり良くないのであまりふらふらも出来ず、それまでの予定が立てづらいのが宮崎遠征のネックなところ。それでも気分的に動ける状態ならば、すぐに空港からJRに乗って飫肥に行き、そこからタクシーを使って、まるでプリンのような食感と味のする飫肥名物の玉子焼きを買ってダッシュで戻って会場にギリギリ間に合う、という無謀なチャレンジも出来たのですが、さっきも書いたようにこの場に及んでもまだ気持ちの整理ができていないという事態。結局何もする気が起きず、なんとなく空港の中をフラフラするのが精一杯の状態でした。
それでも空港にずっといても仕方ないのでとりあえず宮崎駅に向かうも、やはり何もやる気が起きず、駅構内のシアトルズベストで列車の時間までそこで過ごすことにしました。ここまでメンタルやられてるのって、佐川滋賀の最後の年の天皇杯、ノエスタでのジェフ戦くらいしか思いつかないでした。その日は仕事を休んだはいいものこ、気持ちの整理がなかなかつかないまま、昼間から神戸の海沿いにある美術館の外から海をボーッと眺めて過ごしていましたね。その時と同じくらいヤバい状態のまま、会場に向かいました。
駅を降りてしばらく心を落ち着けて、ようやく会場に向かいます。そういえば去年もここにVONDS市原を見に来てましたよね…、などと思いながら会場のひなた陸上競技場に到着。
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そして、1年前もVONDS市原の試合でしたね…
実はこの日、VONDS市原が会場でタオルマフラーの販売をやっているらしく、こういう機会じゃないとなかなか買えないので、これも何かの縁ということで買ってみました。まあ、この日使うかどうかは別にしてですがね…(笑)
去年の入替戦で勝てなかったVONDS市原が今年も入替戦に望むというのは、正直ちょっと酷な話のような気もするのです。レギュレーションがそうなってるからといえばそれまでですが、いろんな意味でハードだと思います。それだけに今年、是非ともJFLに上がってもらいたいと、清原うんぬん以前の話としてそう思うのです。対する残留を賭けたミネベアミツミも九州の大学卒の選手が多く、しかも私ががっつりと九州大学リーグを見ていた頃の選手も多いので、こちらも残ってもらいたい。しかしあと3時間もすれば残酷にも、どちらかがJFLでどちらかが地域リーグに決まってしまいます。そんな複雑な思いが募れば募るほど、何もやる気が起きない、吐き気を繰り返すような状態になるわけです。
とはいえ中に入った以上、もうどんな結末になろうともそれを見届ける覚悟を決めて、真ん中よりちょっとアウェイ側、VONDS市原寄りの席に座って「最後の決戦」を見届けることにしました。
2年連続の入替戦にはどうしても負けられないVONDS市原が前半立ち上がりからミネベアミツミゴールに攻め入ります。引き気味に守るミネベアミツミに対して、サイドからクロスをどんどん入れていきますが、中をしっかり固めるミネベアミツミのDFに跳ね返されるシーンが多く見られました。どんどん放り込むことで相手のDFのズレを生じさせようという作戦かもしれませんが、ホンダロック時代からミネベアミツミを見ている立場からすると、その作戦が果たして上手くいくのか、やや疑問ではありました。
それでも前半はかなりいい形を作れていたVONDS市原に対し、有効なカウンターすら打ち出せないミネベアミツミ。この流れでいけば、いずれはVONDSが先制するかな?といった雰囲気がした前半でした。
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後半開始からボランチの縄に代えて牧野を投入。さらに61分には杉田から大脇を入れて攻撃態勢に入るミネベアミツミ。負けじとVONDS市原も、前半から激しいプレスを掛けていた清原とボランチの鬼島に代えて加藤と磐瀬を入れて点を取りに行きます。しかし、ミネベアミツミが徐々にロングボールを多用しつつ押し気味に試合を進めます。VONDSはその攻撃を跳ね返すのが精一杯、なかなかカウンターにまで持って行くことができません。それでもDFの踏ん張りでゴールを割らせることなく時間が過ぎていきます。試合も残りわずか。後半のATに入ってもどんどんボールを放り込んでくるミネベアミツミ、それを跳ね返すVONDS市原。このまま今年も延長戦にもつれ込むのか?と思われた90+2分、ミネベアミツミ25番大塚の右からクロス気味に上げたボールが、キーパーの頭上に。今川が少し触れたものの、そのままボールは無情にもゴールの中に吸い込まれます。ミネベアミツミがJFL残留を決定づけるような先制点を決めます。
VONDS市原に残された時間はあまりにも少な過ぎました。そしてその2分後、試合終了の笛が鳴り、VONDS市原のJFL昇格は今年も入替戦で消えてしまいました。一方、勝ったミネベアミツミは2021年に続いての入替戦勝利によるJFL残留。一時期のジェフ千葉のような驚異的な「残留力」を今回も発揮しました。
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DFのミスから繋がったボールを大塚が折り返します。
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自然と喜びが溢れ出します。
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悔しさより呆然といった様子でした。
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しばらくこのまま動けませんでした…
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来年もよろしくお願いします。お手柔らかに…(笑)
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決して彼だけのミスではないとは思うのですが…辛いですね
残留はできたものの、厳しいシーズンが続きそうなミネベアミツミ
入替戦とはかくも残酷なもので…。それをまざまざと見せつけられたような試合でした。
まずは勝ったミネベアミツミから。まあ、狙い通りの試合展開でしょう。前半はしっかり耐え忍んで、相手の疲れた後半にラッシュを掛けるという戦略は、ホンダロック時代からの伝統芸能とでも言いましょうか。かつて、佐川大阪時代にホンダロックのアウェイで、センターフォワードのはずの水永がその日はなぜかCBにいて「おかしいよな?」と思いつつ、セットプレーでその水永にゴールを決められて、失意のまま宮崎から帰ってきた記憶がありますが(笑)、まさにそんなワンチャンを狙う戦略が見事にハマった試合と言えるでしょう。
ただ、入替戦に勝ってJFL残留を果たしたとはいえ、来年も厳しい戦いが続くでしょう。どれだけの選手を集めて来れるかが、チームの成績の鍵になりそうです。会社としてまだまだしばらくはチームを継続させる意向だと思われるので、現場がどこまでそれに応えられるか注目したいです。そして個人的には、九州の大学生の受け皿になってもらいたいのですが、それと戦力アップが果たしてうまくリンクするかどうか…、特に近年の九州の大学サッカーの状況を見ていると…(汗)。そのあたりも注視したいです。
昇格にはクラブやスポンサーだけでなく、地域とのさらなる一体感が必要かもしれないと思わされた、VONDS市原の敗退
2年連続の入替戦敗退となったVONDS市原。昨年の失敗を活かして、今年の地域CLは1次ラウンドから好調でした。しかし決勝ラウンドの初戦を落としたところから歯車が狂ったように思います。前半の早い時間での渡辺広大の退場というアクシデントが全てという見方もできるでしょうが、それだけではないと思います。それでも、そんな不利な状況から挽回してなんとか入替戦まで持っていったことは評価すべきですし、でもその入替戦でやや相手のペースに合わせたサッカーをやってしまったのではないか?という反省点も残ります。関東リーグではサイドからのクロスやフィジカルで相手を凌駕できるだけの実力はありますが、九州のサッカーは「それが当たり前」なのでそれに真っ向勝負を挑むと自ずと相手のペースにはまっていきます。
よくよく考えると、昨年の全社も初戦でFC延岡AGATAに負け、入替戦も同じ九州の沖縄SVに延長戦の末に敗れました。さらに遡るとその前年の2022年の全社も実はFC延岡AGATAに負けているのです。勝てたのは昨年の地域CLの初戦、ヴェロスクロノス都農戦だけです。しかもその試合も、後半のATのセットプレーでの得点と、とにかくVONDS市原は九州勢にとことん弱いのです。そこを踏まえて、何かしらの「九州対策」を講じることが出来れば良かったのですが、対戦相手が確定したのが直前となるとそれも厳しかったのかもしれませんね。
VONDS市原はこの2年、あと一歩というところでの2度の挫折、それに加えて入替戦の2試合ともどちらも関東から遥か遠い九州に飛ばされるという金銭的なダメージも負いました。今年に至っては、女子のVONDS市原レディースもなでしこリーグ2部入替戦で福岡に行っています。遠征費も半端ないと思います。それでもそちらは勝ってなでしこリーグ入りしましたので良かったものの、クラブとしては1年で2度の九州遠征ダメージはかなりの物だったと思います。それでもまだ、クラブとしてまだまだ高みを目指す意気込みを感じました。どこからそんなパワーが産み出されるのだろうかと思ったのですが、おそらく同じリーグで同じように何年も失敗を積み重ねて、ようやく念願のJリーグ入りを果たしたライバルの栃木シティFCの躍進ぶりがその源ではないでしょうか。
ここでも何度か取り上げていますが、栃木シティFCが全選手プロ契約を打ち出したのが2018年か、その翌年からだと思います。全選手プロ契約ということは、軽く見積もっても人件費だけで1億円くらいは必要でしょう。その他の運営費を足すと、毎年2億円近い額を投資してきたはずです。それを関東リーグでありながらも昨年までの6、7年、ずっと継続してようやくJFLに昇格できたということを踏まえると、果たしてそれだけの投資を他のクラブも真似出来るのか?クラブとしてそれだけの覚悟があるのか?と思うのです。これがJリーグではなく、そのまだ手前のJFLに上がるためだけにこれだけのお金が必要なんだということを思うと、VONDS市原というクラブが栃木シティまでとは言わずとも、それに近い額を毎年捻出し続けている、凄いクラブだと言えるのではないでしょうか。そして他の地域の同様のクラブも、果たしてそこまでの覚悟があるのだろうか?クラブとそうですが、地域もその覚悟があるのだろうか?ということを敢えて問いたいと思います。クラブだけではない、地域全体で支えていくという強い思いと覚悟が必要なんだということを、今回のVONDS市原を見て改めて感じました。
かなり厳しい話をしましたが、だからといって地方の小クラブがJリーグを目指すのはダメなのか?ということではありません。それくらいJFL昇格というミッションは、クラブと地域が一体とならないと困難だということです。中途半端な繋がりだけでは無理なんです。VONDS市原がホームゲームに使用している市原臨海競技場こと、ゼットエーオリプリスタジアムは今、施設の一部改修を行なっています。かつてジェフユナイテッド市原がホームスタジアムとして使用していたとはいえ、老朽化はそうとう激しいです。以前ここでお話ししましたが、VONDS市原も独自で専用スタジアムの建設計画はありますが、それはまだまだ先の話です。仮にJFLに上がったとして、その時ホームスタジアムとして使用するのは間違いなくこのゼットエーオリプリスタジアムになるでしょう。もしかしたら、J3ライセンスもここで申請することになるかもしれません。いざという時、すぐに対応できるよう行政としても出来るだけの対応をしておこうということかもしれません。そうした地元の自治体の協力もJFLやJリーグ入りには必要です。今まであまり積極的ではなかった高知県や高知市が、今年の好調ぶりを見てどんどんと後押ししていった高知ユナイテッドは、めでたくJリーグ入りを果たしました。地元からの強烈な後押しは、夢を現実のものに変えてくれるものなのです。
昇格はしたものの、やらなければいけないことが山積みの飛鳥FC
今年昇格を決めた飛鳥FC。ビギナーズラックというか、リーグ制覇の勢いで昇格まで一気に突っ走ったような気がします。よく言うのですが、上がれるタイミングで上がるのが一番ですが、飛鳥FCはこれから苦労することになるでしょう。地元は奈良県の中部、中和地方の中心都市、橿原市を中心としたエリアをホームタウンとしていますが、地元との繋がりが強いかと言われるとまだ弱い気がします。以前行った関西リーグのホームゲームの時は橿原市長が挨拶にこられたり、周辺の明日香村や高取町の観光PRブースなどを設けていました。地元との繋がりを強めようとする試みはしています。でも、今年昇格を逃した福山シティFCやVONDS市原、FC刈谷や福井ユナイテッドと比べるとまだまだ弱いです。特に福井ユナイテッドは地域CLの1次ラウンドから地元テレビ局や福井新聞の記者が何人も取材に来られているくらい、地元での認知度は高いです。まだ全国リーグじゃないのに、地元のアイドルグループのメンバーが出演している応援番組が、地元テレビ局で放送されているくらいです(そのアイドルグループのパネルをサポーターさんから紹介していただいて写真を撮ったはずが、撮れてなかったという残念な案件が…汗。すいません、来年ちゃんと写真撮りにいきます!笑)。
飛鳥FCも、地元橿原市出身で観光大使も務める松井絵里奈さんが飛鳥FCのオフィシャルアンバサダーをされていて、たまにホームゲームにも顔を出しています。全然アピールしてないことはないのですが、他のクラブと比べるとまだ足りないかもしれません。飛鳥FCは来年、JFLでチームの成績もさることながら地元へのアピールをもっと積極的にやっていかないといけないのです。まだまだ規模の小さいクラブが、その両方に注力しないといけないのはかなり大変だと思います。資金面もそうなんですが、むしろスタッフなどのマンパワーが足りなくなるでしょう。そして一番最悪なケースは、地元での認知度がまだ足りない時期にJFLから降格してしまうことでしょう。これまでならJFLからJリーグにほぼ無限に上がれていましたが、完全入替制に変わってしまいました。それに伴い、JFLと地域リーグの間も完全入替制になってしまいました。もはやチームが弱くても残留できた、という時代は終わったのです。
飛鳥FCのスタッフは元佐川印刷のスタッフだということは以前にもお話ししました。さまざまな苦労をされたスタッフ陣なので、そんな大変な状況でも上手く立ち回れるとは思います。飛鳥FCには絶対に関西リーグには戻らず(戻りそうなら全力で追い払います!笑)、地道に実力と地元での認知度を付けてもらって、奈良県2つ目のJクラブになってもらいたいです。そして、今年昇格できなかった他のクラブ。実力では飛鳥FCに及ばなかったものの、地域との繋がりや地元からの熱い後押しでは勝っています。たとえ1年、2年遅れても飛鳥FCとは「アドバンテージ」があります。慌てることはありません。地域リーグにいる間に、さらにそのアドバンテージをさらなる強みに変えてJFLに昇格してください。そしてまた、飛鳥FCと同じ舞台で戦ってください。その日が来ることを心待ちにしております。
追伸:いや〜、関西からの次のJFLクラブは兵庫か京都だと思ってたんですけどね〜。まさか奈良とは…(汗)来年、フラッとホームゲームに遊びに行った際は、お相手してくださいね!(笑)