久しぶりにガッツリと関西学生リーグを見て、さらに総理大臣杯での関西勢の展望をちょっとだけ立ててみた、というお話
先日の東海学生もそうですが、今年は関西学生リーグもほぼ見に行けてません。実を言うとなかなか行くタイミングがなくて正直困ってたところだったんです。後期もおそらく総理大臣杯が終わってからだよな〜、と思ってたら実は今年の開催要項をよく見返してみると、今年の後期は8月から始まるとのこと。何せ日程が被ることが多い学生リーグで、関東や関西といったメジャーなリーグをちゃんと見ようと思うと、こういう日程の被らない時期に開催される試合を見ておくのが大事。ということで、この8月開催の関西学生リーグを見てきました。
8/12@関西大学中央グラウンド 関西大学 3-0 立命館大学
そういえば、8月に大学リーグを見るのは珍しいと思ったのですが一昨年は東海、そして4年前には関東でそれぞれ見ていることを思い出し、ただ単に関西でやってなかっただけだということに気がついたわけです。流石に1会場2試合は難しいのでナイトゲームで1会場1試合になりますが、来年以降もこの時期の開催はありかもしれませんね。そして1部リーグとしては珍しい、各大学のグラウンドでの開催となっています。普段ならIリーグや新人戦などでしか行くことのないであろう、大学のグラウンドでの公式戦はなかなか貴重な機会です。そして見に行くカードはというと、総理大臣杯に出場するチームの現状を見るという目的から、後期第1節は3位の立命館大学と4位の関西大学との対戦を見ることにしました。
総理大臣杯予選では4位となった関西大学ですが、リーグ戦では前期3位と好調です。しかも3位とはいえ、首位の京都産業大学とは勝点2差と首位を射程距離圏内に付けています。近年でもかなり優秀な成績ではないかと思います。例年上位にいるはずのびわこ成蹊スポーツ大学と阪南大学がそれぞれ下位に低迷(8位と11位)という現実を見ると、今年の関西大学がいかに好調をキープし続けているかが分かると思います。
一方の立命館大学は予選こそは3位と躍進しましたが、リーグ戦の順位は7位と決していいとは言えない結果に終わりました。とはいえ、予選準々決勝の京都橘大学戦で何度も見せた超高速カウンターが炸裂すれば、相手にとって脅威になります。京都サンガ内定の中野の調子次第といったところもありますが、今年の関西大学との対戦はリーグ戦とトーナメントの2回共勝っているという相性の良さもあるので、そうすんなりと関西大学に勝たせる訳はいかない、といったところでしょう。その他のチームの順位は下のリンクを参照してください。
この日の会場は関西大学中央グラウンドという、関大のメインキャンパス内にあるグラウンドです。
関西大学って近年規模のデカいスポーツ施設を作ることが多くて、織田信成がフィギュアスケート部のコーチになった時、高槻キャンパスに建てたフィギュアスケート場が話題になりましたが、それ以外もなかなか凄いものを建てていまして…。それはオリンピックも開催できる規模のアーチェリー場です。こんな施設、日体大とかでもおそらく無いんじゃないだろうか?と思うくらいの代物です。さらに体育館の中にはピストル射撃場もあって、とにかくキャンバス内を歩いてるだけでなんだかワクワクしました。いったい関大はどこに行こうとしてるのでしょうか?(笑)
肝心の中央グラウンドはというと、こちらもまたデカいグラウンドで…。陸上トラックが併設されているグラウンドなのですが、かなり立派なスタンドがあるのです(規模感の分かる画像がなくて申し訳ありません…)。スタンドの後ろが西向きなのですが、スタンドの背後にクラブハウスの入った高い建物があるので、夏の暑い西日を受けることなく実に快適に観戦できました。ここなら学生リーグの有料試合はおろか、JFLでも何の問題もなく開催できますよ、あくまでも天然芝に張り替えればね…(笑)
さて、試合ですが関西大学はエースの西村がベンチスタート。立命館大学も京都サンガ内定の中野がこちらもベンチスタートでのキックオフとなりました。開始からホームの関西大学がリーグの勢いをそのまま持ち越したように攻勢に出ます。立命館大学は相手の攻撃を跳ね返すのがやっとで、高速カウンターは鳴りを潜めます。20分、関西大学は再三サイド突破を試みていた7番堤からのボールに反応した11番百田のゴールで先制。その後も左右の両サイドをガンガン突破する関西大学が一方的に攻める展開が続くも、それを立命館大学がなんとか凌いで辛うじて最小失点差で前半を終えます。
前半、攻撃の形ができなかった立命館大学は後半から中野を投入、局面の打開を図ります。しかし関西大学の攻撃の勢いは止まらず、そのまま試合は進んでいきます。対する関西大学も追加点を取りに行くべく、53分にエース西村を投入。さらに攻撃の圧を強めます。そして飲水タイム直後だったかの77分、エリア内で堤→百田と細かく繋いで最後は西村が決めて関西大学が追加点を挙げました。立命館大学も中野や14番の野濵が攻撃の起点となって攻めるも、後が続かずゴールを脅かすまではいかず。逆にATも終わり頃の90+6分に百田のこの日2点目のゴールで3-0と、終わってみれば関西大学の完勝でした。
ここからは両チームと総理大臣杯に出場するので、それも絡めての総括です。
まずは勝った関西大学。関大の好調ぶりがハンパないです。このまま総理大臣杯まで好調を維持してもらえれば、上位進出も十分期待できそうです。特に好調なのが百田と堤。ここ数年の関大は難しいことをやろうとして、それが上手くいかずに空回りしている印象でしたが、今年のチームはそれがうまく回っているというか、それに対応できる選手が出てきた、あるいは育ってきたというところでしょうか。近年の関大のサッカーは、関西の大学サッカーでは異質のことをやっていると思っているので、それが上手くいけば間違いなく関西でぶっちぎれるはずですし、それがこの日の試合に集約されたように感じました。
また、去年は独りよがりなプレーが目立ったボランチの三木も、今年はボールを持つ、パスを出す、守備に回る、シュートを打つという一連のプレーがタイミングよく出来ているので、攻撃にアクセントが付いています。サイドも2アシストの堤に加え、1年のSB桑原も積極的な攻撃参加でリズムを作っていました。多彩な攻撃パターンを有するので、相手は嫌でしょう。
守備も特別強化指定で湘南の試合に出ている高橋を中心にしっかりと守り切りました。その高橋からも効果的は縦へのボールが供給されるので、今年のチームはモットーでもある「全員攻撃、全員守備」が実践された賜物と言えるでしょう。
そんな絶好調の関西大学ですが、総理大臣杯の組み合わせは実に微妙です。初戦の相手は関東6位、リーグでも中位に位置しているとはいえ、トーナメントに強い印象のある法政大学。それに勝ったらなんと、同じ関西の阪南大学との対戦となります。なにもこんなタイミングで関西勢同士当てなくても、と思ったりしますが逆に関西大学が勝てば、ベスト8には少なくとも関西勢が1つは残ると考えればまあいいのかな?と…。関大には法政に勝ってもらって、松島で関西対決をやってもらいたいです。
対する負けた立命館大学。正直、どうやって3位に入ったのかが全く分からない内容でした。このまま総理大臣杯に突入すると、間違いなく惨敗確定ではないかと思うくらいの出来でした。攻撃のパターンがサイドからの崩しがほとんどで、そこを抑えられるとほぼ何もできないという状態でした。それでも前半の8番の花城の突破はそれなりに効果的でしたし、ボランチのキャプテン14番野濵の攻撃参加も良かったです。しかし、どれも単発で終わってしまうのでチャンスにならなかったのが残念でした。
後半から入った中野ですが、サイドでボールを持つも関大DFに囲まれて苦しい中でのプレーでした。いくらプロ内定とはいえ、あれだけ囲まれたら何もできないでしょう。京都と立命館、両方に顔を出さざるを得ない立場なので、ちょっと連携が上手くいかなかったのかな?と思われます。
繰り返しになりますが、この日の出来を見ると総理大臣杯は厳しいと言わざるを得ないでしょう。しかも組み合わせは、初戦が関東リーグ2部の中位とはいえ予選3位通過の早稲田大学。今のままで行くとおそらく早稲田に負けて帰ってくることになるでしょう。仮に勝ったとしても、次に当たるのが関西学院大学とここでもまた関西勢同士の対戦。よほど調子を上向きにして臨まないと結果は出せないでしょう。さらなる奮起に期待しましょう。
8/19@大阪経済大学摂津グラウンド 大阪経済大学 3-2 阪南大学
総理大臣杯に出場するチームは全部で4つ。そのうち2つを前節に見ました。残るは2つですが関西学院大学については、まあ見なくてもたぶん大丈夫でしょう(なんて言ってたら後期開幕戦で最下位の関西福祉大学に負けるという事態が…)。むしろ心配なのは前期11位と降格圏内にいる阪南大学の方です。予選2位通過とはいえ、リーグ戦の状態を見ると本戦が気がかりです。ということで、後期第2節は阪南大学を見るためひ大阪経済大学の摂津グラウンドまで行ってきました。
と、その前にせっかく行くんだったら近くにちょっと行きたいところがあったので、早めに動いて寄り道してから会場入りしました。
大経大摂津グラウンドには大阪メトロ今里筋線の終点である井高野駅から歩くか、大阪駅あるいは阪急京都線下新庄駅からバスに乗って行きます。阪急の方が若干安いので阪急を選択したのですが、下新庄の一つ手前の淡路駅が何年も前から高架化の工事をやっていまして…。前々からその現場を見に行こうと思いつつ、全然行けてなかったのです。なので、ちょっと遠回りにはなるのですが阪急淡路から工事現場を見つつ歩いてJR淡路まで行き、そこからJRおおさか東線でJR野江、そこからまた歩いて大阪メトロ谷町線野江内代から太子橋今市、そして今里筋線に乗り換えて終点井高野まで行き、徒歩で大阪経済大学摂津グラウンドに向かうことにしました。
阪急淡路駅は阪急の京都線と千里線が交差する駅です。もともと地上駅で、かつ両線とも本数が半端なく多いので、周辺の踏み切りは「開かずの踏み切り」としても有名です。国交省からも踏切の削減、廃止を勧める政策が採られていることもあり、ここも2009年事業着工2015年完了での高架化工事を予定していました。しかし、用地買収などの問題からズルズルと工期が伸びに伸びて、現在では2028年に高架への切替完了、2031年に全事業完了を目指しています。前々から「いつ完成するの?」とよくネタにされてましたが、実際見に行ってみるとそこそこ仕上がってました。ということで、ここからはしばらく現場の写真でお楽しみください(笑)
ということで、そろそろ現場に向かいます…(笑)
大阪メトロ今里筋線の終点、井高野駅から歩いて5分くらい。大阪市と摂津市との境目に位置する大阪経済大学摂津グラウンド。そこで行われた大阪経済大学vs阪南大学は先週より体感的に暑かったように思いました。選手にはそうとうハードな環境だったのではないでしょうか。
両チームとも前節勝っているので調子は良さげかと思いましたが、むしろ好調だったのは大阪経済大学の方でした。前線の9番廣岡と10番村上の動きが非常によく、阪南大学のDFにプレッシャーを与えます。さらにサイドハーフの2番柳川の積極的な攻撃参加もあり、試合は大阪経済大学ペースで進みます。阪南大学も1年生2トップにボールを預けようとしますが、そこから先になかなか行けません。9番の三好と36番橋本の左サイドの突破から局面を打開するのがやっとで、惜しいシーンもありましたが得点を奪うまではいきません。しかし攻めているとはいえ、大阪経済大学もシュートまではなかなか持っていけず、前半は0-0で終えます。
0-0で折り返した後半は、始まってすぐの49分に試合が動きます。右サイドからSBの瀬戸山からの折り返しに走り込んできたボランチの6番植田がゴール。前半苦しめられたFWではなく、SBとボランチが絡んでの失点からも、いかに阪南大学のDFが大阪経済大学の攻撃によって疲弊させられたかがよく分かります。さらに60分には先制ゴールの植田がまたしてもゴール前の混戦からゴールを奪い追加点。その2分後に阪南大学に1点返されるも、直後の65分には交替で入ってすぐの15番緒方のファーストプレーで放ったミドルシュートが決まり、大阪経済大学が突き放します。
阪南大学もなんとか食らいつこうとしますか、83分にセルフジャッジ気味で動きが一瞬止まった相手DFの隙を突いて1点返すもそこまで。大阪経済大学がびわこ成蹊スポーツ大学に続き阪南大学も破り後期2連勝、順位も4位と現時点でのインカレ圏内に入りました。一方の阪南大学は前節の逆転勝ちの勢いが失われるような痛い敗戦となりました。
まずは後期開幕2連勝の大阪経済大学。正直、この日までこのチームを侮っていました。3-4-3によくありがちの両サイドハーフが押し込まれて下り目になることなく、高い位置をキープし続けていることで攻撃に厚みがありました。その中でも特に右SHの柳川の攻撃参加はかなりの脅威でした。またボランチでこの日2ゴールの植田は、攻守にバランスの取れたいい選手でした。かなりレベルの高いボランチではないでしょうか。少し気掛かりなのは、2点リードになってからやや全体に引き気味になってしまったこと。相手に押し込まれても、90分間積極的なプレーを続けていけば、この日のように不必要な失点も防げるでしょう。そうなれば攻撃陣が好調なので、後期の台風の目となりそうですし、またインカレ4枠目も十分狙えるのではないでしょうか。
終始後手に回る形となった阪南大学。180センチを超える1年生2トップにボールを収めようとしましたが、効果的な攻撃になかなか繋がりませんでした。それでも2ゴール決めた金本の今後の活躍には期待したいですし、彼の活躍が後期リーグや総理大臣杯での躍進に欠かせないでしょう。全体的に低調だったチームの中にあっても、4番の野瀬は清水内定の高木がいない中、DFのリーダーとして奮闘していました。また、SBの橋本も9番の三好と共に果敢にサイド突破を試みていましたが、突破した後が尻すぼみ気味でやや物足りなかったです。ボランチの14番櫻井セットプレーは武器となっていましたが仕留めるところまではいかずと、それぞれの特徴は出せていましたが、それがチームとしてうまく噛み合うところまではまだいっていないようでした。
さて、総理大臣杯出場を決めている阪南大学ですが、この日の試合を見る限りではあまり期待ができないと言わざるを得ないでしょう。形はどうあれ、この日の2トップの一角である金本が2点決めたことはプラスですが、試合運びのまずさは総理大臣杯では命取りになります。本戦ではは関西2位ということで2回戦からですが、当たる相手は先ほども書きましたが法政大学と絶好調の関西大学の勝者との対戦。苦しいにも程があるくらいの大変な組み合わせです。あと2週間で修正ができるか微妙ですが、なんとか修正してもらって大会に臨んで活躍もらいたいです。
ということで、前回と今回の2回に渡って東海学生と関西学生の両リーグから総理大臣杯に出場するチームの現状と展望について書いてみました。去年のシーズンはインカレ、総理大臣杯とも最終的には関東の大学が優勝しましたが、全体的に関東勢が低調でした。その流れは今年も続くのではないかと考えます。総理大臣杯の関東代表に現在1部上位の筑波、流経大、東京国際大、さらに明治や去年のインカレ覇者桐蔭横浜大もいません。関東勢に例年のような怖さを感じない、とも言えるかもしれません。
そんなシーズンだからこそ、春のデンチャレで優勝した関西、準優勝の東海の両リーグのチームが上位に勝ち上がり、そして優勝も十分狙えると思うのです。関東勢の現状は分かりませんが、少なくとも互角の勝負になるでしょうから、是非とも関西、東海組には関東に勝って、出来れば関西vs東海の決勝というデンチャレの再現をやってもらいたいです。
私は来月、宮城と岩手で行われる本戦には行けませんが、見に行かれる方は是非関西、東海勢の活躍に注目していただければと思うのです。