今期初観戦となるデンチャレを見ながら、今年も関西や東海の大学サッカーへの愛が止まらないな、などと思ったお話し
いつもの年なら1月の初めの方に関西府県決勝や関西リーグ入替戦を見るのですが、今年は全く見ずに終わりました。特に見る必要を感じなかったと言えばそれまでですが、その後も兵庫県リーグの入替戦も都市対抗も見てないので、2月の下旬にして2024年の初観戦という異常事態を招いております(笑)
2月の下旬のサッカーといえばJの開幕、というのが世間一般の発想でしょうがそんな単純なことではないのは、これを読んでいるヘビーユーザーなら百も承知でしょう。そうです、今年もこの時期がやってきました、デンチャレ。デンソーサッカーチャレンジカップです。
昨年はプレーオフの会場がJ-GREENで、なおかつ2/23の天皇誕生日と土曜日開催があったので、本戦のひたちなかと合わせて3日も見るという無茶が出来ました。しかし今年はプレーオフ、本戦ともJヴィレッジ開催。しかも第一試合のキックオフが9:30という、始発に乗っても東京からではキックオフに間に合わないという「見に来るな」感満載の常軌を逸した日程となっています。
それでも土日や天皇誕生日に重なればと思ったのですが、よりによってプレーオフの日程は天皇誕生日が休息日。土曜日の試合はプレーオフ、本戦とも最後の順位決定戦のみ、という誠に残念な日程。そんな残念かつ常軌を逸した日程には、ど平日に1日半の有休、しかも4年に一度しかない2/29に見にいくという、こちらも常軌を逸した行動で対応するしかないのです(笑)。それでも前日までにいわきか、もしくは日立、最悪でも水戸には着いておかないといけないのです。ということで、翌日のことも考えていわきまで向かうことにしました。
忙しさが徐々に増してきた2月。しかも月末ということで、ここ1週間の仕事量が半端なく、前日までの仕事量だととても午前中で目処をつけるのは難しいかも…。そうなると、最悪は羽田までの飛行機をキャンセルして新幹線移動もやむなし、と思ったのですが蓋を開けてみれば前日までの多忙が嘘のような仕事量。なんとか午前中でちゃっちゃと仕事を終わらせ帰宅、荷物を持って一路いわきへ。
ギリギリではないものの、そんなにのんびりはしてられない時間に空港に到着。チェックインをして、ふと表示便を見ると「到着機遅れのため遅延」の文字…。平日にこの便を使うのはこの日が2度目。前回は国立競技場で行われたヴァンフォーレ甲府のACLを見に行った時。実はその時も遅延しました(笑)しかもその時は、機内に乗ってからなかなか動き出さないというパターンの遅延。約40分ほどの遅延で、国立競技場に着いたのが前半25分過ぎ。てことは、遅延しなかったらキックオフに間に合ってたやん!今回もまた遅延か…、と思ったのですが思ったほどの遅れもなく無事に羽田に到着。京急で品川まで向かい、20分足らずの乗換時間の間に駅ナカでダッシュで必要なものを購入。いわき行きのひたちに乗り込みました。
いわきに着いたのは21時過ぎ。駅前の居酒屋はまだそこそこ営業していて、それなりに賑わっていた様子でした。軽く飲んでもいいかな?とも思ったのですが、ひたちの車内で食べた弁当が意外とボリュームあったので、今回はそのままホテルに直行しました。次、何かの機会があればその辺の居酒屋に行くとしましょう、いつになるかは分かりませんが…(笑)
翌朝、7:51の電車で向かわないといけないので7時過ぎにはチェックアウトして、いわき駅周辺をちょっとだけ散策。集団登校する小学生を見送った若いお母さんたちの集団が、談笑しながら駅前の通りを歩いていました。駅に着くと、朝のラッシュ時に到着する電車からたくさんの高校生が降りていました。昨晩は人気の少なかった自由通路も、駅の北口近くにある高校に通学する学生でいっぱいでした。いわきという街が、こういう若い年代の生業を感じる地方中核都市であり、その地域の中心的な都市としての機能をしっかり果たしていることの大切さを改めて感じました。
ちなみに、駅の北側にある2つの高校、磐城高校と磐城桜ヶ丘高校。磐城高校は旧制磐城中学、磐城桜ヶ丘高校は磐城高等女学校と、共に戦前から続く歴史ある学校で、どちらも21世紀に入ってから磐城高校は男子校から、磐城桜ヶ丘高校は磐城女子高校から名称変更を機に女子校から共学になった学校です(東北や北関東では公立の男女別学の高校文化がまだ残っている、稀な地域ですね…)
朝の原ノ町行きの電車もそこそこ学生さんが乗ってました。そのほとんどが広野駅までで降り、まばらな車内になったところで今日の目的地であるJヴィレッジの最寄駅、Jヴィレッジ駅に到着。私を含めて10人程度の人が降りたのですが、みんながみんな同じ目的かは分かりませんでした(笑)。ということで、3年ぶりのJヴィレッジです(前回はスタジアムでした)
2/29 デンソーカップチャレンジサッカー福島大会@Jヴィレッジ7•8ピッチ 関西選抜 2-1 東海選抜、プレーオフ選抜 3-1 日本高校選抜
目当ての関西選抜と東海選抜。同じブロックに入ってしまったがために、どっちもみようと思うと直接対決しかありえない、ということでこの日に照準を合わせて日程を組みました。そうすると「4年に一度」の2/29の観戦になってしまいました(笑)。このブロック、なぜ混戦なのかよくわかりませんが2試合を終えて4チームが全て勝点3で並んでいました。つまり、この試合に勝てば1位か2位、負ければ3位か4位になってしまいます。U-20全日本大学選抜以外の3チーム(関西選抜、東海選抜、関東選抜B)はシード権確保には是が非でも勝たないといけない展開。そんな重要な試合は東海選抜のカウンターパンチから始まりました。
関西選抜のクリアボールを拾った、大分トリニータ内定の有働がシュート。キーパー波多野が弾いてゴールを守ります。対する関西選抜で京都サンガ内定で昨年からJリーグでも活躍している中野が、サイドからスピードを活かして突破。鋭いラストパスを出すもこちらもキーパー山口がキャッチ。共に軽いジャブを出しながらの立ち上がりとなりました。
そんな軽いジャブの応酬が続くと思われた試合は、意外と早く動きました。14分、コンサドーレ札幌内定の関西選抜7番木戸から13番村上を経由、それを追い越した8番中野にボールが渡るとキーパーの位置を冷静にみて、ゴールに流し込み関西選抜が先制します。
まずは追いつかないといけない東海選抜。ここから一気にギアを上げて攻勢に出ます。すると20分、右サイドの4番岡島からのクロスに中でフリーとなった16番大石が豪快にシュート。DFのブラインドになったキーパー波多野は全く反応できずにゴール左に決まって、早い時間帯に東海選抜が追いつきます。
ここから東海選抜が押せ押せで試合を進めますが、関西選抜は波多野とCBの木邨を中心にしっかりと守りを固めて凌ぎ、前半を1-1で終えます。
後半も東海選抜の時間帯が続きますが、前半同様に関西選抜の堅い守りになかなかゴールを破れません。
しかし68分。エリア内で東海選抜が痛恨のファール。関西選抜はラッキーなPKを獲得、そのPKを関西選抜のエース中野がしっかりと決めて勝ち越し。同時開催の関東選抜Bが2点差付けてリードしているため、得失点差の関係でさらにリードを奪わないと1位になれない関西選抜でしたが、逆に東海選抜に押されて思うように攻めることができずに時間だけが過ぎていきます。対する東海選抜も、攻撃する時間は多いのですが攻め急いでミスをしたりすることも多く、共に次の1点が奪えません。そのまま試合は2-1で終了。関西選抜は勝ったものの得失点差で2位、対する東海選抜はリーグ4位に終わり、次の試合の結果待ちで来年のシード権を賭けた7•8位決定戦になるか、あるいはシード権を失うかが決まるという、複雑な結果となりました。
まずは勝った関西選抜。木戸、中野のJ内定コンビが頭一つ抜けた存在でした。大阪体育大学で札幌内定の木戸は前半はボランチ、後半は1列上がったトップ下で華麗なパス捌きと攻撃参加が目を見張りました。ユースの頃はFWだったような記憶があるのですが、中盤でも全く遜色ない動きを見せていました。関西での3年間は全く無駄ではなかったことを証明してくれたので、個人的には嬉しかったですね。
立命館大学で京都内定の中野もサイドからの攻撃は非常に効いていましたし、中に入っても動けるだけのプレーの幅が出てきたのは大きいです。昨年夏は、中に入るとプレーの質が落ちていたように思えたので、彼もJでのプレーが成長の糧となったと言えるでしょう。
同じサイドアタッカーの13番、関西学院大学の村上も積極的な攻撃が多く見られました。今年のKGのサイドも安泰、といったところでしょうか。それに対し、FWでスタートから出場した同志社大学11番の鹿取と関西学院大学22番佐伯の2人はやや精彩を欠いていました。共にFWに苦慮することの多いチーム同士だけに、リーグまでに質を高めないと厳しいシーズンになるのではないでしょうか。FWといえば、後半から入った大阪体育大学10番古山もあまり目立ちませんでした。昨年末にC大阪の内定をもらったとはいえ、今のままではなかなか厳しいですね。あと1年あるので、プレーの質の向上を図る必要はありそうです。
DFでは関西大学3番木邨を挙げたいと思います。DFリーダーとしての活躍もさることながら、後方からのロングフィードは関西選抜の攻撃の一つとして機能していました。後方から攻撃の組み立てができるCBが今のサッカーに求められるパーツの一つなので、1年先輩の高橋(湘南)同様、重宝されることでしょう。
なかなか粒揃いの関西選抜でしたがまだまだやれると思うので、今年1年の彼らの活躍をしっかり見届けていきたいと思います。
一方、負けてしまい来年のシード権が怪しくなってしまった東海選抜。試合全体としては優位な時間帯も多く、試合の主導権を握ったといっても過言ではない内容でした。それだけに、ややもったいない後半のPKだったかなという印象でした。
まずは大分内定の有働。彼の動きは実に効いていましたね。この時期であれだけ動けたなら、特別強化指定としてJでも十分やれるのではないでしょうか。それくらいの出来に見えました。同じ中京大学でゲームキャプテンを務めた深澤も、DFながら攻守にわたる活躍でした。この日出場した1年後輩の2年生那須と屋嘉比、武藤も持ち味を活かしたプレーを見せました。また、出場機会のなかった押富や前田もいて、今年の中京大学も相変わらずタレント豊富です。昨年の大臣杯とインカレはちょっと物足りない結果に終わったので、今年こそは最低でもベスト8以上の成績を残してもらいたいですね。
他の大学ですが、常葉大学勢がやや物足りなかったかな?という印象でした。両サイドパックを勤めた清水と河田でしたが、2人とも上がりも少なめで守備に追われる場面が多かったです。ここ2、3年の先輩たちの活躍からしたら、今年の常葉はちょっと厳しいかも?という印象でした。今後の奮起に期待したいです。東海学園大学で唯一出場した村田は、存在感を如何なく発揮しました。東海選抜の10番を任されたという重責感に押し潰されることなく、しっかりとしたプレーでした。静岡産業大学の元田と同点ゴールを決めた大石も光る動きを見せました。元田はボランチの仕事のほか、セットプレーのキッカーとして、また大石はフィニッシャーとしてだけでなくファーストディフェンダーとしての役割も果たしていました。「東海4強」の中では常葉だけがやや心配なくらいで、後の3チームはこのメンバーだけを見ると今年も上位は盤石かと思います。
中位以下のチームについても軽く触れておきます。まずは古豪復活の兆しの見える愛知学院大学からは岡島と池田が出場。特に岡島はサイドから何度も攻撃を仕掛けていました。後半途中から出場した池田は結果を意識し過ぎたのか、消極的なプレーが目に付きました。チームではゴールを要求されるポジションなので、もっとがむしゃらにプレーしても良かったかと思います。
近年、上位との差が広がりつつある岐阜協立大学から選ばれた市村はJFAアカデミー出身らしく、与えられた役目を卒なくこなしていたという印象でした。チームの浮上には彼の活躍は絶対でしょうから、この経験をチームに持ち帰って活かしてもらいたいです。今年1部復帰を果たした中部大学からはFWの長井が選出。後半残りわずかでの出場となりましたが、ATには同点ゴールかと思われるシュートを見せました。東海選抜の監督を務める中部大学堀尾監督の起用に十分応えたのではないでしょうか。リーグ戦はなかなか厳しい戦いになるでしょうが、大いに活躍してもらいたいです。
長々と書き連ねましたが、今年も東海学生リーグはおもしろそうだな、と改めて思ったわけで…。今年も東海の大学サッカーの情報をどんどん流していきたいと思います(笑)
続く第2試合。当初の予定では関東選抜Avs東北選抜を見ようと思ってましたが、初日にプレーオフ選抜が関東選抜Aに勝利。この日の日本高校選抜に勝てばグループリーグ1位となるということで、東北選抜を見たかったのは山々ですがプレーオフ選抜の試合を見ることに。ちなみに、プレーオフ選抜を指揮するのが中京大学の永冨監督ということも、プレーオフ選抜を優先した理由の一つですね…
試合は2連勝のプレーオフ選抜が前半からガンガン攻めるという、まあ予想通りの展開。しかし高校選抜も集中した守りとプレーオフ選抜のシュート精度の悪さに助けられて、無失点のまま試合は進みます。しかし、高校選抜は相手陣に入るのがやっとで、これといった決定機はほぼないまま前半38分に試合が動きます。プレーオフ選抜のエリア内でプレーオフ選抜のキーパー中野と高校選抜のFWが空中で接触。そのままプレーは続行したのですが、副審からの指摘があり、主審と協議の結果、そのプレーがキーパーのファールという判定になり、劣勢だった高校選抜がPKを獲得。これを8番の芝田が決めて、高校選抜が先制します。ただ、この判定に不服を申し立てたプレーオフ選抜は永冨監督以下コーチスタッフが総出で猛抗議。この試合、引き分けでもグループ1位が決まるプレーオフ選抜ですが、そんな大事な試合にまさかの判定とまさかの失点に、前半ATから早くも2枚替えを行わないといけないという、バタバタの中で前半を終えました。
前半の微妙な判定へのベンチの猛抗議に刺激されたのか、あるいは前半ATの交代は連携の悪かったDFを、そして後半開始からは攻撃の選手をそれぞれ2人づつ交代して、一気に逆転を狙うというベンチの意図を汲んだのか、後半はさらにギアを上げてプレーオフ選抜が高校選抜を攻め立てます。そして64分、鹿屋体育大学の加藤がDF3人に囲まれながらも放った強烈なシュートでプレーオフ選抜が同点に追いつきます。その後も一方的に攻めるのですが、なかなか追加点が取れない嫌な展開が続きます。ドローでもいいか、といった素ぶりを見せたキーパー中野に対し、永冨監督から「まだ1-1だろ!」という怒りの檄が飛ぶ中、残り僅かとなった88分。サイドバックの2番吉川からのクロスを先制ゴールを決めた加藤が頭で合わせて勝ち越し。鹿屋→鹿屋のホットラインが見事にハマり、プレーオフ選抜がようやく勝ち越します。さらにATの90+2分、今度は福岡大学の10番橋本からのクロスに飛び込んだのは、こちらも同じく福岡大学の3番磯谷が頭で決めて3-1。九州勢の大活躍でプレーオフ選抜が関東選抜Aに勝った勢いそのままに3連勝を果たして、グループ1位を自力で決めました。
高校選抜の話は私がしなくてももっと詳しい人があれこれと書くでしょうから、ここではプレーオフ選抜の話だけを書きたいと思います。
まずさ九州勢の活躍が際立った試合でした。これだけのタレントがいてどうしてプレーオフを勝てなかったのか不思議ですが、なんてことない。勝ち上がった関東選抜Bはこのあとのプレーオフ選抜との決勝にも勝ち優勝したのですから、まあ相手が悪かったということでしょう…
特に目立ったのはやはり2ゴールの加藤です。いかにも鹿屋体育大学のFWといった感じのフィジカルとボディバランスのいい選手です。そういえば、昨年のインカレでも常葉大学が彼への対応にかなり苦労していましたね。その存在感はこの日も健在でした。途中から入って2トップを組んだ、同じ鹿屋体育大学の片山。この日は加藤の陰に隠れて目立ちませんでしたが、彼も鹿屋らしいFWです。この2人の活躍が今年の鹿屋の成績に大きく影響を及ぼしそうですね。
2点目のアシストを決めた吉川も鹿屋体育大学。逆サイドの福岡内定で福岡大学所属の橋本と共に、ガンガン攻撃を仕掛けるスタイルは高校選抜の気力体力を奪うのに十分でした。橋本に関してはここ数年、福岡大学→福岡という強固なラインが出来つつありますが、橋本も3年次に貰った福岡内定に甘んじることなく、今年1年さらなるレベルアップを図ってもらいたいですね。
前半の終わりという難しい時間に投入された福岡大学の磯谷も、残った5番のCB秋元と共に守備の立て直しをしっかり図り、最後はダメ押しゴールまで決めました。年々成長著しい彼の今後の活躍が楽しみです。
九州勢以外では北信越組の動きが光りました。11番の吉田は新潟医療福祉大学のFW。縦への突進力の強さは先輩のオナイウ情滋を彷彿させる動きでした。リーグ戦はもちろん、大臣杯やインカレでの活躍も期待されます。CBでキャプテンと務めた秋元の活躍も忘れてはいけません。試合途中でDFラインが大幅に変わるもしっかりと修正して、後半はピンチらしいピンチを作らせなかったのは、彼の活躍があったからでしょう。もう1人、ボランチで出場した6番の村田は北陸大学からの選出。中盤で無尽蔵に動き回る姿は、ボランチフェチの私としては今一番注目したい選手の1人となりました。新潟医福の壁は高いですが、ぜひとも全国に見たい選手の1人ですね。その村田と前半ボランチのコンビを組んだ16番の松元は四国の高松大学所属。同じ四国から選ばれた四国学院大学の7番熊野と共に、今回の経験をチームに持ち帰って、全国で戦えるチーム作りに貢献してもらいたいです。
中国では、ここ数年強くなってきた広島大学の酒井(17番)。同じ広島大学からはU-20全日本大学選抜に香取が選ばれていることからも、広島大学がいい選手を輩出しつつあることは明らかです。九州勢の活躍に隠れてしまいましたが、十分に持ち味は発揮できたかと思います。スタメンで起用されながら前半終了間際に交代となった4番江崎は福山大学から選ばれた選手。年明けからチームの活動が停止されている(3/4から正式に活動が再開されました)ため、コンディション作りが難しかったと思われる中でも、やれることはしっかりとやっていたと思います。近年、環太平洋大学に加えて広島大学にもやや遅れを取っている福山大学。復活は彼の肩に掛かっていると言ってもいいでしょう。これを機に個人の、そしてチームのレベルアップにも繋げていってもらいたいです。
と、ザッとプレーオフ選抜の選手をピックアップしました。地方の大学生のプレーを目にする機会はそうないと思います。地方のプレイヤーにも、関東や関西に引けを取らない選手も多いので、ちょっとでもそういう選手たちのことを知ってもらえると嬉しいですね。また、地方の大学サッカーを見に行くきっかけにでもなれば幸いです。
最後に東海目線にはなってしまいますが、東海選抜の指揮を取った中部大学の堀尾監督と、プレーオフ選抜の指揮を取った中京大学の永冨監督のことについても少しだけ触れておきたいと思います。
まずは東海選抜から。今年の東海選抜のサッカーは実におもしろかったです。ボールを持つ持たないに関わらず、みんなとにかく相手との接触プレーを出来るだけ避けるようにプレーしていました。ボールを持ってる時に相手が寄せてきたら、体の向きや位置を少しだけずらして体を交わしたり、またデュエルの時も出来るだけ相手に体を当てないようにボールを奪いに行ったり、またはキープやドリブルに行っていました。今の最新のサッカーはハイプレスのショートカウンターが主流で、それを繰り返すにはとにかく短い距離のシャトルランを何本も試合中に行う必要があります。また、守備においてもとにかく素早く横にスライドを繰り返してスペースを埋めに行くプレーが、どのポジションでも必要となります。そのため、ほとんどの選手がボールを持たない時のトップスピードでのフリーランを求められ、それを90分続けるとなると選手の体力消耗は当然半端ないわけです。相手との接触プレーはそれだけでかなりの体力消耗になりますので、体力温存のためには出来るだけ接触プレーを避けるようにする必要があります。おそらく合宿中にそういった身体の使い方を徹底的に仕込んだのかもしれませんね。
堀尾監督が指揮を取る中部大学のサッカーをあまり見る機会がありませんでしたので、今年はそういう点にも注目しながら、堀尾監督が指揮する中部大学の試合を一度じっくりと見てみたいと思いました。
プレーオフ選抜の指揮を取った中京大学の永冨監督。当然ながら、普段は中京大学の試合の指揮を取っているわけなので、中京大学の選手や試合を通してしかもその指揮や指導法を知るしかありませんでした。しかし今回、プレーオフ選抜という東海以外の選手たちを集めてチームを結成し、指導をされるということで、また違った見方が出来るのではないか?と思い、ピッチを見ながらも監督の指示に耳を傾けました。
試合中、永冨監督が特によく指示していたことは「切り替えの速さ」と「スピード」の2つでした。言われてみれば中京大学のサッカーは、パスのスピードやテンポもとにかく早く、さらにランやドリブルにおいてもかなりのスピードを要求されます。選手たちはそれをあたかも当たり前の如くこなしています。でも、他の地区の選手からすればそれ自体がものすごいことなんですよね。なぜここ数年、中京大学から何人もJリーガー、しかもJ1やJ2の上位クラブから内定が出ているのかも納得です。改めて永冨監督率いる中京大学のレベルの高さを実感させられました。
同じことは東北の強豪、仙台大学にも言えるでしょう。ここのサッカーも強度があって、一つ一つのプレーの質も高いものを求められます。20年近く連続してJリーガーを輩出しているのは当然のことでしょう。そんな仙台大学、今年から新監督としてFC東京で活躍した平山相太氏が就任。今の仙台大学のベースの上に、彼がどのようなサッカーを付け加えていくのか?今から楽しみです。中京大学と共にぜひ注目していただきたいです。
ということで、今年のデンチャレ。最終的には東海選抜が最後のシード枠を確保。来年のプレーオフは北海道、東北、北信越、中国、四国、九州の6チームでプレーオフ枠を争うこととなりました。残念ながら今年の東北選抜は、恐ろしいくらいの「草刈場」になってしまいました。来年の東北選抜の挽回に期待しつつ、今年プレーオフ選抜で大活躍した九州選抜にも頑張ってもらいたいです。もちろん、その他の地区にも十分チャンスはあります。そして、昨年は中村憲剛コーチによる「超ポジティブ思考サッカー」、今年は永冨監督の「超ハイレベルサッカー」で以って、全国のいい選手を集めたら関東にも十分太刀打ちできる、ということがプレーオフ選抜の活躍から証明できたと思います。今度は各地区、各大学レベルで関東に太刀打ち出来るようになれば、大学サッカーの底上げや地方格差の是正にも繋がるでしょう。今年から総理大臣杯とインカレの方式が大きく変わります。地方の大学サッカーにもっと注目が集まるよう、今年もいろいろと伝えていきたいと思いますので、みなさんお付き合いよろしくお願い申し上げます。