「サッカーを見る」ということは、あらゆる人の人生と向き合い、立ち合い、そして一緒に歩んでいくということだ

12月になってしまいました。この時期は昇格だの、降格だの、契約満了だの、引退だのと人生を大きく作用する一大イベントが多くて、ほんと嫌になってきます。とは言いつつ、結局毎年の如くそういう試合を見に行ってしまうという、まあ、いわゆる「人でなし」なわけですが…(笑)

11/27(土) JFL第33節
東京武蔵野ユナイテッドvsHonda FC

この日勝てばJFL残留する武蔵野。まあ、はなから勝てるとは思ってなかったんですが、それを輪にかけたような完敗でしたね。前半の30分過ぎまでに3失点。しかも、どれも目の覚めるようなゴール。どんな手負いの弱い相手であっても一切の手を抜かない、強い時のHondaのサッカーでした。最後まで残留争いをしている、新JFL発足時からの仲間である武蔵野に「これくらいのサッカーやらないと残留なんて出来やしないぞ!」という叱咤激励のような魂の訴えを感じた、そんな試合でした。
出来れば入替戦なんて見たくないので、来週ですんなりとJFL残留を決めてもらいたいものです。そしてまた来年、ここに、ムサリクに帰って来たいです…。せっかく知り合ったサポーターの人たちと、また笑顔で会いたいです…。そう改めて強く思ったのでした…。

逆転優勝のかかったHonda FCが本気で勝ちに来ました。まあ、強かったです。でも、昔のHondaはこの10倍くらい強かったです(笑)

前半だけで3失点し、集会を始める武蔵野。今年は何かと話し合う機会が少なかっただろうから、ちょうどよかったかもしれませんね…(苦笑)

11/28(日) 地域リーグチャンピオンリーグ決勝ラウンド最終日
FC徳島vsCriacao SHINJUKU

最終日の観戦がこの大会ほど嫌なものはないですね。この日の結果で選手はもちろん、チームに関わるいろんな人の人生まで大きく変えてしまう大会は無いと思います。この大会の結果でチームがなくなる、ということも実際に見ていますから余計にそう思うわけです。だからね、観戦申請はしていましたが当日まで行くかどうするか迷ってました。ま、結果的には行って良かったとは思いましたが…

すでに入替戦の芽がなくなったFC徳島ですが、だからこそなのかいいサッカーをしてましたよ。いいサッカー=勝てるサッカーではありませんが、FWとサイドにもう少しいい選手が来れば十分、これ以上の結果を出せるだけのポテンシャルはあるかと思います。
DFからボランチまではしっかり繋いで、それより前はパスとドリブルを組み合わせての攻撃。もう少しフリーランとプレッシングの質を高める必要はありますが、相手のプレスに対しての対応のやり方は、J1徳島の選手がよく見せるボールの持ち足を変えて捌いていました。Jの徳島、その下に位置するFC徳島が同じやり方をすることで「徳島のサッカーはこういうものだ」という共通したものが根づけば、それが徳島のサッカーのスタンダードになるでしょうし、それこそが地域のサッカーのレベルアップに繋がることでしょう。あとはFC徳島が早くJFLに昇格すること。それが今後の徳島のサッカーの発展のカギになると、なぜか昔から徳島のサッカーを見続けている人間が東京の地でそう思ったわけです。
あと、もう一つ。FC徳島には地方の大学卒の新卒選手が多くいました。環太平洋大学の南野、四国学院大学の久保田と福島、徳山大学の秋月など。彼らは学生時代にも全国は経験していても、全く歯が立たないという挫折感を味わっていると思うのです。でもこの日の内容は、そこまで悲観的になる必要はない出来でした。この大会を通じてもう一度自信を持って徳島の地で成長してもらうことが、地方の大学でプレーする選手たちの励みにもなると思います。来年もこの場で彼らに会いたいし、さらに成長して戻ってきてくれることと期待しています。

秋月の先制ゴール。左サイドからガンガン上がっていくプレースタイルが特徴。さらに磨きを掛けて戻ってきてほしいです。

後半から入った18番久保田と3番福島。共に右サイドに張って、前後ろ問わずにどんどん攻め上がっていくスタイル。膝の怪我痕が痛々しい久保田も構わず積極的に攻める姿勢を最後まで貫いていた。

ボールキープする南野。自慢の足技とパステクニックは十分に発揮できていたが、さらなるスキルアップがチームを高みへと導くはず。

そんな若い選手たちを支えるベテラン須ノ又(6番)。神戸科学技術、桃山学院大、アミティエ全てで全国大会を経験。プレーでも精神的にもしっかりとサポートする姿は心強い。

 FC ISE-SHIMAvsおこしやすAC

引き分け以上でOKのISE-SHIMA、勝たないといけないおこしやすという、難しい試合となった2試合目。まあ、初日の結果からおそらくこうなるであろうと予想はしていましたが、想像以上にISE-SHIMAの守備が堅かったなというのが総括。
今年のおこしやすに関しては正直「ハイプレスに弱い」「引かれたら弱い」というのは分かっていたので、初戦のCriacaoのハイプレスとこの日のISE-SHIMAの堅い守備の後塵に排することは容易に想像できました。その「机上の空論」がそのまま現実化しただけのことです。ただそれだけ。その「答え合わせ」をしたまでのことなのかな?と冷静に割り切ってます。
ただ、選手やチームに関わる人たちのことを思うと、そう簡単に割り切ってしまってはいけないのもまた事実。冒頭にも書きましたが「人生が大きく変わってしまう」瞬間を見るわけですから、第三者だとしてもやはりしんどいですね…。まあ、この大会がなくなることはそうそうないとは思うので、今までも、そしてこれかも長い付き合いになるんでしょうね…

5本のシュートを打つも決められなかった、おこしやす京都イブラヒム。自らの不甲斐なさに苛立つシーンもしばしば…

FC ISE-SHIMAの数少ないシュートシーン。JFLとの入替戦では勝利がマスト。伝統的に守備の堅いホンダロック相手に、ゴールをこじ開けるシーンが見られるか?

12/4(土) 関東大学リーグ参入プレーオフ
立教大学(関東2部10位)vs城西大学(埼玉県リーグ1位)

キックオフが16時ということで、普段の遠征ならあまり出来ない観光(成田山新勝寺)なんてものをやったりしました。成田山は成田→伊丹便に乗る時にチラッと見かけた(笑)くらいでしたね。名物の鰻もしっかりいただきましたよ。

成田山新勝寺と参道の食堂でいただいた鰻重。こっちのは蒸してから焼くのでふわふわ食感なことをすっかり忘れてましたよ…(笑)

今年の関東学連の試合は観客の上限が設けられているので、珍しく開場前に浦安市陸上競技場に到着。ここはおそらく西が丘や霞ヶ丘よりも関西に帰るには便利なんじゃないかな?とはいえ、舞浜駅を降りたこの光景に少なからずダメージを受けてしまうのは、私だけでしょうか?(笑)

浦安市陸上競技場の最寄駅は舞浜。今から入替戦という名の夢の国とは真逆の地獄の国へと旅立ってきます…(笑)

参入戦のカードは立教大学vs城西大学。何年か前に2部の上位にもいた立教大ですが、今年は不調で下位に低迷、入替戦回りとなりました。一方の城西大は来年から所属する埼玉県大学リーグが北関東大学リーグと合併。さらに昇格へのハードルが高くなることが予想されるため、こちらも是が非でも来年2部に上がりたい。激しい試合が予想されます。
そんな両チームの気持ちを示すかのように、前半はやや攻め急ぎが目立った。後半は一転して城西大がガンガン攻める展開に徐々に押される立教大。そして後半残り5分に城西大が待望の先制点。

城西大の先制ゴール。大喜びの城西大のそばでへたり込む立教大DF。それだけ、特に後半の城西大の攻撃が半端なかった。

しかし、試合はここから。追いつけば残留できる立教大が最後の力を絞って反撃を試みる。そして、後半45+2分に値千金の同点ゴールを決める。

左からのクロスを必死に繋いで執念の同点ゴール。呆然とする城西大DFと残留を確信したかのように大喜びの立教大の選手たち

これで「はい、終わり」となるはずでしたが、そうはいかなかったのです。ATももう残りワンプレーかと思われた城西大のスローイングから奇跡とも思われる逆転ゴールが生まれ、城西大学が勝利。来年の関東リーグ2部参入を決めた。負けた立教大学は東京都リーグに降格が決まった。

残り0秒での執念のゴール。決めた城西大と決められた立教大、これだけ明暗がくっきりと現れる残酷なシーンはそうそう見られないかと…。勝負とは酷なものです。

たしかに立教大の子は上手かったのですが、メンタル面が果たしてどうだったのかな?と試合前から感じていたのです。逆に城西大の子は立教大と比べて上手さは若干劣るかもしれないが、メンタル面では上回っていたように思います。それが最終的に勝敗を分けたカギではなかったかな?と思ってます。なぜそう思ったのか?城西大のスタメンに青森山田出身の子が何人かいたのです。青森山田の子って上手いけど、それ以上にとにかく守備をサボらず走り切るし、ボール取られたら必死に取り返しに行くし、ほんとにメンタルが強い子が多い印象です。なので、スタメンを見ながら「最後の最後、メンタル勝負になったら城西大に分がありそうだな」と予想してましたが、やはりそうなりました。最後の最後でこんな結末になるとは思いませんでしたが、メンタルの強さってこういう時に生きてくるんだよな、と改めて感じた試合でした。

12/5(日) JFL第34節
MIOびわこ滋賀vs東京武蔵野ユナイテッド

前節、間違って勝っていたら(笑)この試合は武蔵野にとっては消化試合となっていたのですが、まあそんな虫のいい話はありません。
ということで、この試合に勝てば文句なしで残留決定。引き分けでも勝ち点2差のホンダロックが大量得点で勝利しなければ残留できるという、まだ比較的ハードルの低い最終戦のミッションとなりました。でも、出来ることなら勝って残留したいですよね!
とは言いつつ、実は対戦相手のMIOも長年チームを支えてきたキーパーの永冨とエースストライカー坂本の引退試合となると、向こうも当然勝ちたいわけです。そういう相手の方が選手もやりがいがあるでしょうから、まあ勝ってくれるでしょう、と楽観的に考えながら試合開始を迎えたのです。

そんな楽観的な気分を一転させたのは、やはり坂本でした。スタートから切れッキレの動きであっさりと先制ゴールを決めてしまいます。しかも、キーパー西岡とポストの間の人1人も入れないくらいの狭い隙間に流し込むんですよ!ホントにあの人引退するの?って感じですよ…。あっ、もしかして引退するけど実は既にJから内定貰ってるとかってことなのか?←その引退とは違う(笑)

MIOびわこ滋賀、坂本のゴール。この狭い隙間を通すんだよ、あの一瞬の動きと判断で…。ほんとに引退する気なの?と疑いたくなるのも無理はないでしょ?(笑)

しかし、この日の主役となったのは引退する坂本ではなく、武蔵野の澤野でした。
25分、鈴木→伊藤光輝と繋いでボールを受けた澤野がDFの間からズドンと一撃。豪快な同点ゴールをきめると…

コースを切りに行ったDFをあっさり交わして豪快なゴールを決めた武蔵野の澤野。今年一番成長した選手の1人と言って間違いないと思います。

…33分には金田からのロングボールを受けてドリブル。前に立ち塞がるDFを交わして逆転のゴール。キーパーの永冨もただボールの軌道を見送るしかできないビューティフルゴール。いや〜、やっぱり澤野は「出来る子」なんですよ!(笑)
で、そのままリードして前半終了。いい流れですよ、これは…

澤野の逆転ゴール。キーパー永冨が一歩も動けないくらいの見事なシュートが、まだ前半とはいえ勝利を大きく呼び寄せるゴールとなったことは間違いない。

前半の、あわや同点というシーン。かろうじてボールはラインを割らず。これが決まってたら、どうなっていたかわかりません…

後半もそのいい流れのまま試合は進み、待望の追加点。鈴木のボールに頭で合わせたのは飯島。いや〜、飯島さんはここぞという時にいい仕事をされますね〜、ホントに。

元武蔵野の鈴木のアシストから元東京Uの飯島がゴール。このゴールこそ、今年最後にして本当の意味で「ユナイテッドが『ユナイテッド』した」瞬間なのかもしれない。

反撃を試みるMIOの攻撃を凌ぎつつ、さらに追加点を狙う武蔵野。最後は金田が放った強烈なミドルを永冨が外に弾き飛ばしたところでタイムアップ。この瞬間、東京武蔵野ユナイテッドのJFL残留が確定しました。あ〜、ホッとした…(笑)

ラストプレーとなった強烈なミドルを弾き飛ばし、疲れ果てたかのように倒れ込むMIOのキーパー永冨。坂本といい、永冨といい、引退する寸前まで彼らは「らしいプレー」を見てせくれましたよ。おつかれさまでした…

試合終了後の東京武蔵野ユナイテッドの選手たち。喜びもあるが、安堵の気持ちの方が先に出てる感じかな?来年はこうした喜ぶシーンが多く見られることを期待しております。

先週のホーム最終戦、横河武蔵野時代から長年東京武蔵野シティでプレーした都丸選手の引退セレモニーがありました。最後にサポーターに向けて「来週、勝って残留しましょう!」と力強く言ったその言葉通り、最後は勝って残留を決めてくれました。

思い起こせば今年の1月、突然東京ユナイテッドとの合併が発表され、コロナの影響で思うように活動ができず、さらに勝ち星はおろか勝ち点さえもなかなか挙げられない、そんな苦しかった前半戦。チームは半ば空中分解状態となっていたが、夏以降徐々に調子が上向き、勝ち星勝ち点を挙げられるようになりました。そして、この試合の随所に見られた、武蔵野シティと東京ユナイテッドとの『ユナイテッドした』シーン。やっと、チームらしいチームになったと言えるのではないでしょうか。来年は、今年の経験を糧に選手もスタッフもフロントも一体となってくれることを期待しております。
今年いる選手、スタッフ全員がチームに残るとは限りませんが、少なくとも残る選手スタッフ、そしてフロントの方々、また来年もよろしくお願いします。そして、来年はもう少し喜べるシーン、試合を見せてくださいね。

実に濃厚な2週間でした。そして、いろんな人たちの人生と向き合い、人生の転機に立ち合い、そしてまた一緒に歩んでいく、そんな2週間だったようにも思えます。そう、サッカーを見るということは、実はそういうあらゆる人たちの悲喜交々と接することなんだろう。そりゃ、時には気分も重く憂鬱にもなるよね。でも、それも含めて「サッカーを見る」ということなんだろうなと思うと、また来年もこの時期にこういう試合を見てしまうのでしょうね(笑)
シーズンオフはまだもう少し先ですがひとまずは一区切り、ということで

最後は、写真ギャラリーを…(笑)

武蔵野ホーム最終戦前に行った、府中市美術館。尾形光琳の竹虎図や円山応挙の犬の絵は、荒み尽くした心を癒してくれましたよ(笑)

関東大学参入プレーオフ前に乗った山万。知る人ぞ知る、不動産屋が本気で作った鉄道会社。時間があったら各駅で降りたり、なんてこともできたんですけどね←やるかどうかはまた別問題(笑)

今年最後の羽田空港での食事はてんやでした。羽田でも「てんや」、新千歳でも「てんや」、そして地元でも「てんや」…。どんだけてんや好きやねん!(笑)

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