リゾート感満載の土地で、アマチュアサッカーの限界点と、それに対して私たちはどう向き合っていくべきかについて、改めて真剣に考えてみたよ、というお話

記事を書くのが予定より2週間くらい遅れてます…。前稿の仕上げが、オリンピックのおかげで大幅に遅れました(しかも20000字越え…笑)。ということで、全体的に遅れてますことをお詫びします。オリンピックのバカヤロウ〜!!(笑)

7月の第1週に武蔵野のホームゲームを見にいく予定でしたが、金曜の夜からやや体調が優れず、当日の朝4時に体温を測ったら37.5℃あったので遠征を断念。東京から最終便で高松に入り投宿。翌日の四国リーグ観戦予定でしたが、そちらもキャンセル。朝5時から飛行機のキャンセルと当日の高松のホテルをキャンセルし、土日は静養することにしました。でも、土曜日の武蔵野の試合は雷雨の為に中止。その雷雨の影響で羽田空港も夕方以降からクローズしていたので、仮に行ったとしても結果的には断念せざるを得なかった可能性が高かったので、まあ怪我の功名とでも思っておきましょうか…(笑)しかし翌週の3連休はGWからの連戦続きだったこともあり、最初から休養日に当てていたので、7月最初のサッカー観戦は月の中旬を過ぎた7/21となってしまいました…

7/21 KYUリーグ@豊見城総合公園陸上競技場 海邦銀行SC 0-0 板付FC

この時期に限らず沖縄に行くのって、ほぼ全ての人はリゾートか、もしくは仕事ですよね。そして、その99%以上の人はそのままホテルに泊まって、ゆっくりと沖縄滞在を満喫することでしょう。ですが私は、その両方とも当てはまらないという、希少生物(笑)であることは、よ〜くわかっています。そして今回もまた、そんな沖縄日帰り遠征を敢行するのでした…

10時過ぎに那覇空港に降り立ち、まだ少し時間があったので空港内にある大規模な土産物コーナーを駆け足で回ります。帰りの便が17時台、空港にはその1時間くらい前には戻って来れるとはいえ、今の時点からお土産の目星をつけておいて、空港に着いたらダッシュで買いに走る魂胆です(笑)。ある程度目星を付けたら、ゆいレールで那覇バスターミナルに向かい、沖縄バスマップを貰いにバス会社の窓口に行きます。そういや、いつも来るたびに貰っているような気がします…(笑)。そして今回は東陽交通さんで頂きました、ありがとうございました。
とりあえず、いつもの大事な用事を済ませたところで(笑)本日の現場に向かうべくバスに乗車。ICカードは沖縄でも使えなくはないのですが、ゆいレールは定期券と併用のICカードは使えず、さらにバスはOKICAという沖縄専用のICカードしか使えないというトラップがあるので、みなさんご注意を…

ゆいレール奥武山公園駅近くのバス停からバスに乗ること約10分。最寄りのバス停に到着。ここから歩いて向かうのですが、その前に買い出しをということで、近くにある地元大型スーパー、サンエーに入ることに。外の灼熱とは打って違って、店内は実に涼しい!むしろ、寒いくらい(笑)まさにオアシスです。沖縄と北海道は物流の関係で、本土のチェーンスーパーがなかなか進出しにくい土地柄なので、寡占状態とも言えるスーパースーパーマーケット業界の中でも、沖縄独自のスーパーがたくさん残っているのです。そんなこともあってか、こんな本も出版されてます。興味のある方は、いろいろ廻ってみるのも楽しいかも…

地元スーパーであるサンエー豊見城ウィングシティ店。
地上2階地下1階と、行けばたいていのものは揃います(笑)
そしてこちらは、沖縄県内の主なスーパーに関する書籍。
しかもこの本をサンエーにある宮脇書店で買うという…(笑)

そんなスーパー、サンエー豊見城ウィングシティ店を跡にして、いよいよ本日の現場である豊見城総合公園陸上競技場に向かいます。豊見城と書いて「とみぐすく」と読むのですが、同じ文字の豊見城高校は「とみしろ」高校と読むそうです。岐阜の各務原と似たようなものですね(詳しく知りたい方はWEBから…笑)。何とも歴史深い外観と、それに負けず劣らずさまざまな歴史を重ねたと思われるスタンド。なかなか貴重なスタジアムでした。

豊見城総合公園陸上競技場の遠景。
だいたい、こんな感じの公園です。
なかなか味のある外観です。
スタンドは屋根もなく、ベンチもなかなかのレトロ感(笑)

人生初のKYUリーグがまさかの沖縄開催となったのですが、またカードも海邦銀行SCと福岡の板付FCという、どちらもアマチュアのサッカークラブという、なかなか貴重な試合。そんな貴重なカード。日程を調整しながら、実はかなり早い段階ですでに予定を入れていました。なので、この時期の割にはそこそこお安く来れました、いくら掛かったかは機密情報なのでお伝えできませんが‥(笑)

板付FCも海邦銀行SCも今年KYUリーグに昇格したチーム。海邦銀行SCは昔から何度かKYUリーグにいたのですが、昨年県リーグに降格、1年で復帰という快挙を成し遂げたものの成績は振るわず、残り4試合(試合開始前の時点)で勝点2と残留がかなり厳しい状態。初昇格の板付FCもかなり苦戦していますが、12節にリーグ初勝利を挙げて勝点5。それでも残留にはまだまだ厳しいといった状況です。この試合を含めて残り4試合、まずはどちらもこの試合に勝って残留への足掛かりを掴みたいところです。

7月の13時開始という、非常に過酷な環境での1戦。前半開始から板付FCが前線からのプレスを含めて、ガンガン攻撃を仕掛けます。後半バテないかな?というくらいのオーパーペースにも見えた立ち上がりでした。特に7番瀬川、15番末次が中心となりパスを繋ぎゴールに迫りますが、シュートが上手くヒットしなかったり、サイドからのクロスに合わせられなかったりと、攻めの形はしっかり出来ていましたがゴールを取るまでには至らず。対する海邦銀行SCも、35分過ぎからようやくペースを握れるようになり決定機も作りましたが、板付FCのキーパーの好セーブに阻まれて前半は0-0で終わります。

板付FC14番山崎が右へパスを出すと…
それに反応してシュートまでいきますが…
上手く合わずにボールは枠の外へ。
分かってて見切ったのか、ただ反応できなかっただけなのか…
さらに板付FCは7番瀬川のシュートがDFに当たり、
方向の変わったボールに反応した選手が再びシュート!
そのシュートはネットを揺らしますが、判定はオフサイド。
前半最大の決定機でしたが、得点は奪えず…
劣勢だった海邦銀行は37番伊佐がドリブル!
ゴール前から豪快にシュートを放ちます!
板付FCのキーパー宮脇が正面で弾きます。
そのボールが逆側に流れていきます。
それに反応した30番野原が詰めに行きますが、
キーパー宮脇がしっかりキャッチ。ピンチを逃れます。

後半もしばらくは板付FCのペースで試合は進みますが、やはり前半からのハイペースからか徐々に板付FCの運動量が落ちてきます。それでもまだ板付FCが優勢でしたが、さすがに残り15分を切ると海邦銀行が猛攻を仕掛けられるようになり、試合はオープンな展開になります。それでも、互いの守備陣がしっかり集中を保ち続けたこと、それに輪をかけるように互いに決定力に欠けたことが相重なり試合はスコアレスドロー。板付FCは残留争いのライバルに差をつけることが出来ず、一方の海邦銀行はライバルとの差を詰めることが出来なかった、ともに非常に痛い結果となりました。

後半最大の決定機!左からのクロスにダイビングヘッド!
11番本多が頭で合わせるも、ボールはわずかに枠の外に…
海邦銀行キーパー、新里のファインセーブでした。
このシュートもDFが足を出してブロック。
結局DFの足には当たらず、ゴールラインを割ってしまいます。
今度はキーパーの位置を見てループ気味にシュート!
ボールはふわっとした軌道を描いてゴール方向へ…
が、惜しくもバーを叩いてゴールラインを割ります。ああ無念…
やられてばかりの海邦銀行も反激します。
エリアぎりぎりから縦へパスを出すと…
それを13番の吉嶺が右足で合わせようとしますが…
上手くヒットせず、キーパーがセーブ。
いいところまでは行くも、共に最後の詰めが悪く0-0…

アマチュアサッカーの定義とは何か?

今回のカードの2チーム、ホームの海邦銀行SCとアウェイの板付FC。先ほども触れましたが、どちらもアマチュアクラブです。アマチュアサッカーの定義が非常に曖昧なので何とも言えませんが、世間的には「Jリーグ以外はアマチュア」という感覚が強いのではないかと思います。たしかに私も、ハッシュタグではJリーグ以外の内容には「#アマチュアサッカー」と付けるようにしています。それがおそらく「標準的な感覚」なんだと思います。
しかし、世間的な認識とされる「アマチュア」と区分されるカテゴリーやクラブの中には、アマチュアとは分類しづらいケースも多々あります。例えば今回レンタル移籍でアトレチコ鈴鹿に再加入したカズは、アマチュアクラブに入ったとはいえらどう考えても彼自身はアマチュアのプレイヤーとは言えないですよね。また、ベテラン若手を問わず元Jリーガーだったり、あるいはJクラブから育成型レンタル移籍などでJFLチームに加入する選手も、契約上はプロのケースがほとんどと思われるので、こちらもやはりアマチュアプレイヤーとは言い難いです。
クラブに目を移してみても、一般的にアマチュアクラブと言われるチームであっても、各チームが負担する費用はそれぞれまちまちで、チームが負担する割合が多ければ多いほどアマチュアクラブとは言い難いとも言えます。例えば昨年の佐賀全社で見たKWGホールディングスとか、関東リーグ1部の東邦チタニウムなど、一部の企業チームは社会人サッカー大会や全国地域チャンピオンズリーグ、天皇杯のようにリーグ戦、トーナメント関わらず平日に日程が組まれる大会であっても、ケガ以外の主力メンバーがほぼ全て揃う平日の試合でもメンバーが大幅に変わることがないのです。これは、選手それぞれが別の仕事をしているアマチュアクラブではほぼあり得ないことです。同じ会社だったり、そうじゃなくても同じグループ企業だからこと、選手全員のスケジュールを調整が可能となります。そうなるとどちらかと言えば、プロに近い環境と言えるでしょう。アマチュアクラブというよりも、むしろにノンプロ」や「セミプロ」という表現の方がしっくりくるかもしれません。これを果たして「アマチュア」と言うべきなのか、などと思うのです。

このように「アマチュアクラブ」「アマチュアプレイヤー」を定義しようとすると、その線引きが非常に難しいです。なので私はこう定義しています。

「自腹を切ってサッカーを続けている社会人は、
純然たるアマチュアプレイヤー」
「自分たちの余暇の時間を費やして
サッカーを続ける社会人は、
純然たるアマチュアプレイヤー」
「クラブの運営費用を選手で折半し合うクラブは、
純然たるアマチュアクラブ」

しかし、本当は仕事や仕事の一部ではない、あくまでも趣味の延長で続けているサッカーを「アマチュアサッカー」と呼びたいのですが、そうしてしまうとアマチュアサッカー自体の範囲がそうとう狭まってしまいます。なので、これくらい緩い方がいいのかな?というところに落ち着きました。そして、ここまで範囲を緩めてみても世間一般の日の目に見られる範疇には、なかなか当てはまるケースが少ないのです(JFLだとおそらく、ソニー仙台は当てはまらず、横河武蔵野FCは当てはまり、ミネベアミツミはグレーゾーンといったのが個人的な見解です)。

どんなサッカー選手でも小さい頃にサッカーを始めた時は当然、自分では払いません。でも、代わりに親がサッカーをやるためのお金を払うでしょう。選手登録費、クラブやスクール、部活動費として学校に支払う月謝、スパイクやユニフォームなどの用具費、試合会場に向かうための交通費など…。保護者の送り迎えの場合でも当然実費は掛かりますから、それも「自腹」です。
それが中学、高校と進むにつれて、サッカーエリートや特待生になれる選手は「自腹を切る」機会が徐々に減っていきます。特に私立のサッカー特待生は学費が軽減、もしくは免除されたりします。また、強豪校となると学校やOB会や後援会などから、部活動の費用の一部が捻出されたりします。遠征も保護者の送り迎えではなく、サッカー部や学校が所有する専用のバスで移動したりします。合宿なども全額負担ではなく一部負担で済んだり、大会に掛かる費用も後援会や学校が出してくれたりもするでしょう。「自腹を切る」機会は格段に減っていきます。
その反面、そうした「サッカーエリート」から漏れた大多数の子たちは、毎月掛かる部活の費用も自己負担、試合に行くにも電車やバスに乗ってやはり自己負担、合宿をやるならその費用も大半は自己負担…。サッカーに掛かる費用のほぼ全てが自己負担、つまり自腹で支払うのが当たり前なのです。これが大学になるともっとその格差が開いていきます。これが、サッカーエリートとそれ以外のサッカープレイヤーとの格差と言えるでしょう。正直、ここまで書いて、特待生でサッカーをやっている高校生や大学生って厳密に言うと「アマチュアプレイヤー」とは言い難いのではないか、などと思ってしまうくらいです(笑)。ま、とはいえ学生時代のサッカーはたとえ自腹を切っていたとしても、それが本当に「自分のお金」かどうかは微妙なので、純然たるアマチュアサッカーというよりは、やはり「学生のサッカー」という括りにした方が正しいかもしれませんね。

社会人が「自腹を切って」やるサッカー、「自らの時間を消費して」やるサッカー。それが「大人」のアマチュアサッカー

さらに、学校を卒業してしまうと今まであれだけサッカーに打ち込んでいた子たちのほとんどが、サッカーから離れてしまいます。Jクラブに入れるのは、サッカーエリートの中でもさらにエリートのごく一部だけ。その下のカテゴリーにしても入れるのは、そのエリートの中のエリートの中位レベルまで。それでもプロとは言い難い、何らかの仕事をしながらサッカーを続けて行くというケースがほとんどで、栃木シティのようなJFLでもプロ契約というのはレアケースです。しかもその仕事というのも、クラブと契約中は続けられるかもしれないですが、契約が切れた、あるいは解除された後も続けていけるものかどうかも怪しいケースが多いでしょう。となると、「サッカーをやるのは学生まで。卒業したらサッカーとは縁を切って就職」という選手が大半になってしまうのもやむを得ないでしょう。学生とは違い、いつまでも親の脛を齧っているわけにもいかない、そう考えるのもやむなしです。
また、社会人になると使える時間が絶対的に少なくなるというのも、サッカーを断念する大きな要因でしょう。学生の本分は学業と言っても、部活が忙しかったら授業もなかなか出られない時もあるでしょう。それでも、それなりにやっていれば卒業できてしまうので、授業もそこそこにサッカーに打ち込む子もいるでしょう。ただ最近は、単位はキチンと取らないといけない、授業への出席率が一定以下になると練習に参加させないなど、学生に「授業をサボらせない」ように指導されている監督も多くなりましたが、それでも社会人と学生とでは絶対的な拘束時間が違いすぎます。その限られた時間の中で、今までのパフォーマンスを維持できるのか?というと現実的には極めて厳しいです。そこまでストイックに突き詰めてしまうと、やはり卒業後にサッカーを継続するのは難しいと判断してしまうでしょう。
高いレベルを意識せず、あくまでも趣味程度でのサッカーであればそこまでストイックにならなくてもいいのでしょう。でも、JFLや地域リーグ、都道府県リーグの1部クラスだと、それくらいのストイックさが求められますし、そうじゃないととてもではないがリーグを戦うことすら困難です。それくらい、今の都道府県リーグレベルでもサッカーの質は高くなっています。なんとなくサッカーを続けていこうかな?という、軽い気持ちで卒業後もサッカーを続けてしまうととんでもないことになってしまいます。そして、あくまでも趣味レベルのサッカーから、終業後の疲れた体に鞭を打ってトレーニングを行う、休日もサッカーの試合でスケジュールが埋まってしまうなど、自らの余暇の時間を費やしてまで打ち込むサッカーが「大人のアマチュアサッカー」と言えるのではないでしょうか。

しかし現実はそう甘くはない…

社会に出て仕事を持ち、自らの力で生活をしないといけない身分で、趣味に打ち込むことはなかなか大変なことです。しかも、お金だけではなくフィジカルも鍛えないといけないサッカーという趣味を続けていくことは、想像以上に大変なことです。そのことは、いつ見に行っても感じることです。選手たちは本当に凄いと思います。
しかも、レベルが上がるにつれてサッカーの質も高いものを要求される一方、年々体力は確実に衰えていく。そんな現実と向き合いながら格闘する選手たちは、Jリーガーと同じくらいの評価をされても良いはずですが、世間はなかなかそうは思ってないようで、それが実に悲しいです。

試合の日程にしても、何もリーグ戦だけに止まりません。県1部レベルであればリーグ戦の試合で日曜日が月1くらいが埋まる程度でしょうが、天皇杯、全国社会人サッカー大会、さらに全国クラブチームサッカー大会の県予選にもそれぞれエントリーするとなると、時期によっては毎週のように試合で日曜日が埋まってしまいます。これは地域リーグや都道府県リーグだけでなく、その下の市リーグや群部リーグ所属のチームもエントリー出来るので、エントリーして勝ち上がってしまうと予定になかった試合でどんどん日曜日の予定が埋まっていきます。
試合の日程だけならまだいいです。リーグ戦や各大会にエントリーするには、当然ながらエントリー料が発生します。大会によってその額はまちまちですが、数万円から20万〜30万円くらいが一般的です。それらを選手たちで出し合ってサッカーをやるのです。さらに、リーグによってはチームで試合会場を押さえないといけないこともあります。ホームアンドアウェーでなければシーズンに1、2回かもしれませんが、もしホームアンドアウェー方式ならホームゲーム全て、自分たちでグラウンドを確保する必要があります。実は施設の予約って意外と面倒で、自治体によっては毎月決まった日の9時から早いもの順とか、その上抽選で決まるとかけっこう大変だったりするのです。そういう努力も必要になったりします。そういう苦労を重ねて、みんな社会人になってもサッカーを続けているのです。

でもそうやって自分たちで折半してクラブの運営資金を捻出できるのも、ギリギリ都府県リーグの1部くらいまででしょう。県1のクラブでも全社予選やクラ選を勝ち上がって地域予選に出るとなると、移動費用の工面や日程(多くの場合が土日併用や土日連戦)の調整が必要となります。地域によってまちまちですが、土日が2日ともお休みという仕事が少ない地域もあったりします。また、シフト勤務だったりすると毎週毎に土日に休むわけにもいきません。移動距離も県内と違い長距離になりますし、土日連戦となると現地に宿泊する必要も出てくるでしょう。それらの費用を個人ですべて捻出するのは大変です。
そうなんです!この「移動費」が実は一番各チームが頭を抱える問題なのです。地域リーグで活動するJリーグなどを目指さない、いわゆるアマチュアクラブでもスポンサーを募ることで、少しでもその移動費用やクラブ運営費用を捻出しようと努力しています。なんなら、大学のサッカー部や高体連のチームでもプレミアリーグやプリンスリーグのユニフォームにスポンサーを入れる時代になってます。そして、これは何も地域リーグのクラブに限らず、県リーグレベルのクラブでもそのような動きがかなり見られます。地域リーグや県1のクラブには、仕事をしている社会人に混じって、大学生が多くプレーしているチームも増えてきました。彼らの中には、最初から大学の体育会系のサッカー部に所属しなかった子や、サッカー部にはいたけども何らかの理由で辞めた子などがいます。そうした子たちに社会人と同じ金銭的な負担を課すことは厳しいです。また、仕事をしていたとしても、サッカーに費やすことのできるお金は限られているので、その負担を軽減するには、スポンサーを集めて活動費を賄うのが得策になるわけです。

そういう現実を鑑みると、先ほど示したアマチュアクラブの定義について、大幅に見直すべきでしょうし、必ずしも「クラブの運営費用を選手が折半し合う」という必然性もないでしょう。むしろ

「自分たちの余暇の時間をサッカーに費やしている選手たちで構成されているクラブ」の時点で純然たるアマチュアクラブ

という定義が一番しっくり来るように思えます。それくらい緩くしておいた方が、やっぱりいいんでしょうね…

アマチュアリーグの限界点、それがKYUリーグ…

ここまで、アマチュアクラブの活動の大変さについてお話ししてきました。もはや、都道府県リーグでさえ選手たちだけの持ち出し資金でやって行くことは極めて困難です。そうなると、その上の地域リーグはもっと大変なわけです。昔、兵庫県リーグから関西リーグに昇格した龍野FCが関西リーグに昇格した途端、あちこちにスポンサー契約の話を持ちかけたそうです。もう10年くらい前の話ですが、そうやって資金を集めないとリーグに参戦することすら難しいのです。日本で一番移動距離が少ない地域リーグと思われる関西でさえこの状況です。他の地域リーグだともっと資金集めをしないといけないことでしょう。

今回見に行ったKYUリーグも、全国屈指の移動距離の半端ないリーグです。何せ、飛行機を使って沖縄に行かないといけないからです。でも…、実は去年はそれでもまだマシだったのです。なぜかというと、沖縄県のチームがリーグにいなかったからです!一昨年の地域CLで沖縄SVがJFLに昇格し、もう一つの沖縄県のチームだった海邦銀行SCが沖縄県リーグに降格。KYUリーグから沖縄のチームがいなくなったからです。しかし、今年は一昨年降格した海邦銀行SCが九州各県リーグ決勝大会で優勝、1年でKYUリーグに復帰したため、再びKYUリーグの沖縄開催が復活したのです。

KYUリーグは昔から、移動の負担を軽減するために一県集中での土日開催を何節か実施しています。沖縄県のチームの移動と、その他の県のチームの沖縄への移動の負担を軽くするためだと思われます。今年は18節中の8節、4県にて集中開催を行います。その中には沖縄の集中開催もあり、4月の開幕2節がそうでした(残りは大分、鹿児島、宮崎です)。そして、その集中開催で組まれたカードはホームアウェイとも集中開催期間中に行うことで、ホームアウェイの不公平をなくすようにも工夫されています。なかなかもって、日程組みの苦労が伺えます。こうすることで、沖縄のチームは本来9回アウェイ遠征を行わないといけないところを、沖縄集中開催を除く8回になるのに対し、その他の9チームは沖縄集中開催と、沖縄のチーム、今年であれば海邦銀行SCとのアウェイゲームの2度沖縄に遠征するチームと、沖縄のチームとのアウェイゲームを沖縄開催含む、集中開催時に終わらせてしまうことで、沖縄集中開催の1回だけで済むチームのに分かれます。沖縄遠征が2回あるか、はたまた2回になるかで、チームの負担はかなり差が出ますが、沖縄のチームのことを考えるとそんなに大差はないと考えた方がいいでしょう。むしろ、九州でサッカーをやっていた選手にとっては、沖縄遠征は「どこかのタイミングで必ず発生する」ことも十分承知しているでしょうから、まあすんなりと受け入れられるかと思います。

実際に沖縄に行くとなると、個人旅行とサッカーの試合をしに行くとのではチケットの取り方も違ってきます。Jを目指すようなクラブであれば、クラブが纏めて手配するでしょうが、今回の対戦相手の板付FCのような、試合当日に誰が来れて誰が来れないかが直前じゃないと分からないような、ましてやその人数すら確定できないアマチュアクラブとなると、クラブで纏めてというのもちょっとハードルが高い気がします。それでも団体割引も8人以上から適用されることがほとんどなので、選手11人に監督とコーチ、スタッフの試合に最低限必要な人数分の航空を団体割引で先に押さえておくことは可能です。それ以外の追加は後から押さえればいいのですから…。
それでもこの時期の沖縄となると、直前になってそう簡単にチケットが手配できるとは限りません。じゃあどうすればいいか?そこで考えられるのは「どこかの旅行会社にスポンサーになってもらう」ということです。旅行会社から頂いたスポンサー料を飛行機代などで旅行会社に払うというのも不思議な話ですが、クラブを運営するお金は遠征費だけではありませんので、頂いたスポンサー料を他の資金に当てればいいのです。もっと言えば、それ以外の企業や個人商店でもいいですが、スポンサーをもっとたくさん集めていけばいいのです。そうすることで、選手が負担しないといけない必要経費を減らすことが出来るのであれば、それがクラブにとっても選手にとっても一番いいことでしょう。何もアマチュアだからといって、頑なにスポンサーを拒む理由もありませんし、ましてやお金がないと移動も試合会場の手配も、練習場の確保でさえも難しいのですからそんなこともいってられないでしょう。地域リーグで戦うのであれば、それくらいのお金が必要ということですし、これがさらに全国リーグであるJFLとなると、もっともっとお金が必要になります。

サッカー好きが集まってやれるのは、地域リーグまでという現実

一般的に県リーグから地域リーグ、地域リーグからJFLに上がるにつれて掛かる費用は桁一つづつ増えていくと言われています。以前にも触れてますが、JFLに昇格するにはリーグ参加費用として1000万円が必要です(あくまでも噂では、地域CL最終日の閉会式後、JFLの事務局の方が来て「1000万円払えますよね?」と取り立てに来るらしいです。あ〜、恐ろしや…笑)。とてもじゃないですが、そう簡単に出せる額ではないですよね。それでもかつては、そんな財政基盤がないにも関わらずにJFLに昇格して「しまった」がために、その後のクラブの運命を大きく狂わせたクラブもありました。今はそういう事態を避けるべく、事前に財務調査を行うようになったようです、そりゃそうでしょう…。
そういう経緯から、今では地域CL出場クラブには「JFLへ昇格する意思があるか?」を事前に提出させるようになりました。万が一、昇格の意思のないクラブが地域リーグで優勝したとしても、出場そのものを辞退させるのではなく「昇格の権利を与えない」という方向になったのは、JFLに上がるだけのお金のないアマチュアクラブの意思も尊重する、実に素晴らしいシステムのように思うのです。
それより一つ下の地域リーグを見ても、リーグ参加費もリーグによって額は違えど、おそらく100万くらいは掛かるでしょう。さらにその他のクラブ運営費用を足すと、最低でも年間300万くらいは掛かるかと思います。仮に選手が30人いたとすると、1人年間10万円の負担が発生します。ざっくり月額だと8千円程度ですね。でも、用具費や練習場、試合会場までの交通費なども自己負担となるので、実際は毎月15000〜20000円くらいは必要になるかと思われます。収入にもよりますが、意外と負担額は大きいですよね…
そんな選手の負担を軽くするには、やはりスポンサーを募ることでクラブの運営資金を賄うしかないです。一アマチュアクラブが1000万円単位のお金を集めるのはまず難しいですが、100万円単位ならまだなんとかなる額でしょう。こう見ていくと、法人格などのしっかりとした組織を持たない、単なるサッカー好きが集まって出来たサッカーチームが「戦える」のは、おそらく地域リーグが限界でしょう。それでも、いざスポンサーを募るとなると経理関係を司るスタッフが必要になるので、単に「サッカーだけをやる」というわけにはいきません。地域リーグか県1、おそらくここがアマチュアサッカーの限界点になるのではないでしょうか。

そんな「アマチュアサッカー限界点」の中でも特に過酷な沖縄遠征のあるKYUリーグ。沖縄の海邦銀行SCは当然のこと、板付FCもさまざまなスポンサーと契約してクラブの運営資金を集めています。試合前のスタメン写真撮影時に、自作したであろうスポンサーボードを前に撮影していました。そういう、目に見えない努力を積み重ねていくことでクラブと選手の負担を少しでも軽減しようと試みているのです。
さらに来月に行われる全国社会人サッカー大会に出場するとなると、もっとお金が必要になります。最近はクラウドファンディングなどでお金を募ることも増えました。アマチュアスポーツにもお金が掛かるという認識が、世間的にも拡がってきたということでしょう。これは、サッカー以外のアマチュアスポーツにとってもいい流れだと思います。スポンサー、クラファンなど、纏まったお金を集める手段が増えることはいいことです。

「でも、スポンサーって企業や団体だけしか出来ないですよね?」という方へ

でも、個人のサポーターがクラブのスポンサーになるのは困難なことです。やっぱり無理だよな〜と思った方々。そんなことありません。スポンサーは無理でも、やり方次第で個人でクラブを支えることは出来ます。例えばさっき出たクラファンに参加することです。クラファンという文化が拡がり、クラファンへの参加のハードルが低くなってきましたし、中には1000円や3000円とかといった、少額から出来るものもあります。そうしたクラファンに積極的に参加することで、クラブを支えることが出来ます。また、クラブが作成するグッズを積極的に購入することで、クラブへ細やかながらもお金を出すことも可能です。グッズの場合、クラブとしては「先行投資したものに対する資金回収」という意味もありますので、何かあれば積極的に購入していけば、クラブへお金を出すことが可能です。そのちょっとした行動が、金銭的に苦しいアマチュアクラブを支えていくことに繋がるのです。

Jクラブと違い、選手やスタッフたちが「持ち出し」でクラブの運営資金や遠征費などを出し合うアマチュアクラブ。Jクラブよりももっともっと、スポンサーや個人からの資金援助が必要なのです。そんなまだJクラブになりえていないJFLクラブを含めた、全てのアマチュアクラブにとって必要なのは、サポーターからの熱い声援と細やかな「クラブへのお布施」なのです。お布施というとどこか仰々しくなりますが、要はいつもお話ししている「推しメンは推せるうちに推せ!」と同様に「欲しいグッズは、在庫のあるうちに(販売しているうちに)買っておけ!」ということです。それが推しのチーム、推しのいるチームを支える大切な資金源になるのです。また、たとえ推しのチームでも、推しがいないチームであっても、なんだかちょっと気になるな〜というクラブがあれば、躊躇せずにお金を使うべきですし、むしろそうしないと後悔するときが来るかもしれません。そんな経験を少なからず何度か経験した立場としては、出来るだけそうした行動を積極的にして欲しいのです。

長々とアマチュアサッカーの定義とその限界点、そしてそれに私たちはどう向き合っていくべきかについてお話ししました。一番いいのはチームにお金を出すこと。それが難しければ、まずは試合を見に行って応援する、声を出すのが恥ずかしかったら静かに見ているだけでもいいです。特に応援するでもなく、でも何となく気になっていたりするチームがもしあるのでしたら、是非ともSNSやネットなどでどんどんと情報を配信してください。それが普段、日の目を見る機会の少ないアマチュアチームであればあるほど、まずはチームの存在をアピールしてあげてください。クラブ自体に強い発信力があればいいのですが、そうではない場合は見ている人たちが積極的にアピールすることで、人が集まりやすい環境に変えることはできます。そうすれば、それを見た誰かが興味を持ってスポンサーになったり、スポンサーになりそうな人を紹介してもらえるかもしれません。一度プラスの方向に向き出したら、なんとなく人とお金が集まるようになってくるでしょう。実はそこに至るまでが大変で、それをクラブのスタッフや選手だけで行うのはとても大変です。そのお手伝いをすると思って、積極的に情報を流してもらいたいです。みなさん、こんなチームの話をしても…と卑下するのではなく、どんどんアピっちゃってください。そういう人たちがもっと増えることを私は待っています!

せっかく沖縄に行ったのに、全く沖縄らしいお話をしていませんでしたので、最後に夏の沖縄らしい画像をいくつか貼っておきたいと思います。まあ、沖縄らしいか、夏っぽいかは皆さんの感性にお任せします(笑)

ファミリーマートと沖縄市とのコラボ。
でもここは、豊見城市…、あれっ?(笑)
今回乗ったバス停の最寄駅、奥武山公園駅。
名前の通り、すぐ隣に奥武山運動公園があります。
「やけに車が多いな」と思ったらなんてことない、
全国高等学校野球選手権大会の決勝をやってました。
白熱した試合。興南の相手は…、ジェネリック?(笑)
陸上競技場もあるので、とりあえず行ってみます(笑)
到着!う〜ん、今日の会場以上の絶望感…(笑)
でもここが、新しいサッカースタジアムになるようです…
ゆいレール那覇空港駅近くの工事現場…
これはもしかして…、新線?(複々線化と思われます).
JALラウンジでオリオンビールを飲む!しかも2杯!
登場前にとりあえず沖縄そばを食っておく。
着陸してから「メシ難民」にならないように…笑
そば食ったので、食後のデザートを…(笑)
お馴染みブルーシールのアイスです!
この日の夜食(笑)
なんだかんだで沖縄来たら毎回食ってる気がする。
この日の「密輸」(笑)
オリオンの6種のサワーの詰め合わせは
空港の土産物屋さんでオーダーしてもらいました!
ちなみにお昼はサンエーで買ったお弁当でした。
それでは沖縄ともさよならです!
じゃあ〜、また来年〜?(笑)

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