2010年と比較した自民党の伸び

自民党が伸びるほど「野党共闘」は成功する?-参議院全有権者比得票率に見るパラドックス

 そうだこのグラフを見てほしい。

2010年と比較した自民党の伸び_はいおくたん

 東北の赤みが比較的強く一見、野党の得票率か何かのように見える。しかし、このグラフは、自民党(参議院・比例)の、全有権者を母数とした得票率の伸びを表している。

 参議院・選挙区の1人区で野党が勝った県は東日本に偏っていることを考えると、与党自民党が強いほど「野党共闘」が成功する、というパラドックスが生まれる。

野党第1党の旧民主党系はこの10年の得票の変化はどうであったか。2010年の民主党と2019年の立憲民主党・国民民主党の合計を比較した。

2010年と比較した旧民主党系の伸び_はいおくたん

 真っ青。ただ、東北地方の青みは薄い。東京や愛知といったかつての旧民主党系の票田よりも得票率の減りが少ないことには注目。一度、得票率が下がってから盛り返した結果であるので、東北は旧民主党系に復調の勢いがあると言えよう。近畿と北陸・四国は絶望的な色をしている。

自民党が強いことに加え、野党に力が残っていることも成功の原因のようだ(当たり前だけど)。

 自民党が強いと野党共闘の成功につながるのかというと、「比例は自民・選挙区は野党系」という有権者が多くいるからだろう。自民党はローカルボスの集まりだがボス同士の集まりだが必ずしも仲がいいわけではなく、権力争いがある。所謂「保守分裂」である。東北には過去の政治改革の流れから自民党とたもとを分かった保守系政治家は多く(小沢氏・寺田氏など)、地方でのローカルボス間での確執に働きかけているものとおもわれる。ローカルボス自身も影響力を維持しており、あえて国政野党を応援することで力を誇示しているものと思われる。野党系に勝ち目があるので、ローカルボスにとってもいい道具であろう。

 となると、自民党に元気のない西日本では力のあるローカルボスもおらずなし崩し的に自民党に流れるのではないか。

 また、東北は共産党が1%程度得票を伸ばしている県もあり、西日本では公明党が強いことも留意が必要。

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