俺の愚地克巳のエロかっこよさが宗教体験の域に達した 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その11
皆さん、刃牙さん、メリークリスマス! クリスマスはやっぱり、おじやと、炭酸抜きコーラ(※注1)が定番だよね! 消化にいいし、梅干しを添えると栄養バランスもいい。シャイ! シャイ! シャイ! シャイ!(手拍子)
この文章を正月とか夏とかに読んでいる人も居ると思うが、私が刃牙さんと愚地克巳(おろち・かつみ)に出逢って最初のクリスマスだから、あえて季節感を出しつつ、『バキ』通常版4~7巻を熱論(かた)りたいと思う。
前回、俺の克巳が、デントラニー・シットパイカー(※注2)の第一回戦みたいな、勝てる世界線が見つからない感じの敗北ぶりを見せ、救急車を呼ばれた。おまえーーーッ!! ドリアンがなーーっ!! 克巳をなーーッ!! ゆるさーーん!!
神心会の下部組織・「克巳ファンクラブ(KFC)」の会員である私は、今もあの場面を思い出すたび、血尿が出そうになる。なお、全国にKFCという名の商業施設があると思うが、あれはそういう店だから、ドリアンさんは出禁です(嘘)。
このように克巳のことを想うと乙女心が千々(ちぢ)に乱れ、12時間ぐらいしか眠れない。そんな私を気遣ってか、シコルスキーがねっとりした場面を見せてくれた。
(ゴゾゴソ ボチョボチョボチョ)
猪狩完至(いがり・かんじ)一味によるシコルスキー拉致エピソード、口から出した飴をわざわざ舐めさせるところや、自前のシコルスキーを出して放尿するところが妙に細かく描かれていて、異様なほどの粘膜感がある。アナルを舐めるとか舐めないとかいう話もしていたし(※注3)、実質的には舐めていたといえる。
普通のマンガだったら、最凶死刑囚について、一人一人の過去やなぜ死刑判決を受けたのかがそれなりに描かれて、アニメ化されたとき悲しげな音楽が流れるはずだが、板垣先生のスタイルなのか、『バキ』では今のところそういう補完が全くない。読者は外見と行動だけでキャラを把握するしかないわけだが、シコルスキーについては、名前通り格段にシコルスキーということはわかった。ありがとう猪狩さん。ありがとうシコルスキー。
一方そのころ刃牙さんは……と言えば、梢江(こずえ)を誘ってデートをしていた。刃牙さん……救急車で運ばれた子もいるんですよ……。
とはいえ私は刃牙さんのこういうところが好きだ。あれですね、少年マンガって、男が自分の夢を追いかけてたら、自然と女が惚れてついてくる、っていう部分があるじゃないですか。まあ大筋だけ見れば「刃牙」もそうなんだけど、細かく見ると、刃牙さんは梢江にきちんと自分からアプローチして、気持ちを伝えようとしてる。しかも最大トーナメントの時と違って、今度は普通のデートに誘ってる。あんなに闘いが好きな子なのに、最凶死刑囚とかより、今は梢江との時間が大切、ってなってるところがいい。
しかし二人がくちづけを交わしたその時……刃牙さんをつけ狙っていたあの男が……!!
そこに無音で割り込む、花山薫ゥーーーーッッ!!!! やだ……かっこいい……。花山さんのこのアシストには、刃牙さんのシコルスキーも放尿寸前だろう。
それはそうと、花山さんも刃牙さんを尾行してたんでしょうか。確かに刃牙さんは、13歳の頃から明らかに花山さん(当時15歳)とつきあっていたし、少なくとも一夜を共にしていた。その後、二人の間で、なんらかの切ないすれちがいがあったのだろう。刃牙さんは梢江と交際することで、少しずつ花山さんを忘れようとしていたが、花山さんのほうは、まだ刃牙さんを忘れることができなかった……。
花山さんからしたら、梢江は最大の恋敵だろうに、あえて、刃牙さんと梢江の恋路の露払いを引き受けるかのような、スペックへの一撃。これは惚れる。刃牙さんどうですか。梢江ちゃんも良いと思うけど、花山さんとの交際も考え直して。何だったら三人でつきあって。私はそういうのもアリだと思う。
ここで好感度のダメ押しをするつもりか、花山さんが満を持して褌一丁になるが、その脱衣方法が見逃せない。
(めりめりめり)(斬新な脱衣音)(クリスマスっぽい)
私もけっこう長く生きてきたが、この脱ぎ方は初めて見たし、思いつきもしなかった。怪力とかそういうことより、どうしても上下一気に脱ぎたい、脱ぎ捨てた服は二度と着るつもりはないという美意識が伝わってくる。一歩も引かぬ侠客(おとこ)脱ぎといったところか。ビューティフル。私もここぞという時にこの脱ぎ方を試したい。
花山さんvsスペック、自由の女神が倒れそうとか、小粋な話もあったけど、花山さんがとにかく強い。体の丈夫さと力の強さだけでグイグイ押していくバトルスタイルだが、凄まじく強い。さらに語り手である片平恒夫(かたひら・つねお)巡査(34)の存在感が半端ない。片平恒夫、警官にしておくのはあまりにも惜しい。講談師とかゲーム実況者とかブロガーとか、なんらかの表現者になるべき。
(やっぱりあなた達はワカってない)
私は格闘家や喧嘩師を目指したことがないから、花山さんがいくら強くても、まあそこまで憧れはしないのだが、片平恒夫の簡明かつ抑揚のきいた語りには憧れる。「単純にスゴイって……語りがうまいってスゴイことだと思ってしまいましたね」「それが片平恒夫なんですねェ……」(※注4)。
それはそうと、スペックは登場シーンがかなりクレイジーだったから、ここでリタイア?というのはちょっと残念だった。花山さんの戦いぶりは確かにそれだけの迫力があったが、個人的にはもっとこう……ほら……刃牙さんのシャワーを覗くとか、花山さんの湯船に潜って隠れているとか、烈さんの中華まん(比喩)を盗もうとするとか、そういう感じの行動を期待していた。スペックのご乱行については、『バキ』4巻以降をまだ読んでいない頃に、脳内で無駄に綿密に想像していたので、公式でも描かれていたような気がしてならない。
さて一夜明けて、刃牙さんの周囲では、昨夜のデートどころではなく、読んでいる方が恥ずかしい場面が繰り広げられていた。
★お知らせッッ★
このシリーズを加筆修正し、『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考え続けた乙女の記録ッッ』として、河出書房新社から2019年11月に書籍が発売されました! 電子書籍もあるよ! もちろん秋田書店さんの許可をバッチリと取っております!!
書籍に収録されている範囲は、その1〜その16まで(『グラップラー刃牙』『バキ』までの感想全部)です! ぜひ一家に一冊、いや百冊!!
さらにこの奇書を原案として、松本穂香さん主演の実写ドラマ『「グラップラー刃牙」はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が制作されました!!(WOWOWさんが制作幹事) 2020年8月20日〜10月1日まで、全7回放映! 現在、いろんなサブスクで配信中ッッ! お一人で、またご家族で、そしてご友人とぜひお楽しみください!!
ここから先は
¥ 300
サポートして頂いたお金は、今後の「刃牙」研究や、その他の文献購入に使わせていただきます! もし「これを読んでレビューしろ」というもの(刃牙に限らず)があれば教えてください。