愚地克巳の愛らしさが空手を終わらせちまったンだよ 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その5
地上最強のBLを見たいかーーーーーッ‼
オーーーーーーーーー‼‼(幻聴)
ワシもじゃ ワシもじゃ みんな……‼
というわけで、ついに最大トーナメント編に突入した私です。『グラップラー刃牙』21~32巻のネタバレ感想を書きます。今日も元気よくグラップルしていくぞー。
ご存じの通り「刃牙」初心者の私だが、おそらく00年代ぐらいには、「全選手入場」のくだりと、「範馬勇次郎(はんま・ゆうじろう)」だけは知っていた。『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいない人が、ポルナレフの「ありのままに話すぜ」だけは知っているのと同じで、それらを全く目にしないで、インターネットの海を回遊することはほぼ不可能だからだ。
逆に言えば、「刃牙」の盛り上がりどころがトーナメント形式だとうっすら知っていたからこそ、「あっ、ちょっと、90年代に『少年ジャンプ』とかで見飽きたんで」などと猪口才(ちょこざい)なことを考え、進んで読もうとしていなかった部分もある。
ところがどうだ。気づいたら読書がやめられなくなって、「理解(わか)ってもらえないかもしれないけど 最大トーナメントって……いいなァ……」(※注1)と、しみじみ呟いていた。
というわけでまずはあの有名すぎる「全選手入場」(※注2)だが、シーン自体は超有名なのに、「あっ……7割方、知らない人だ……」という衝撃があった。「刃牙」内でそれまでに描かれたキャラクターが、32人中、刃牙さん、愚地独歩(おろち・どっぽ)、愚地克巳(おろち・かつみ)、花山薫(はなやま・かおる)、加藤清澄(かとう・きよすみ)、鎬昂昇(しのぎ・こうしょう)、鎬紅葉(しのぎ・くれは)、本部以蔵(もとべ・いぞう)、マウント斗羽(とば)の9人しかいないのだ。絵的には「誰!?」の連続で、「私にとっては知らない人だが、作中の観客にとってはおなじみ」という独特の感じがある。さらに各人のアオリが秀逸すぎるので、これを一度でも目にした者が、隙あらば全選手入場したくなる気持ちが分かった。
そういう意味でこの『グラップラー刃牙』21巻、一家に1冊または3冊ほど常備すべき巻と言えるが、この巻で、もうひとつ事件が起きた。
私に、気になる男性(ひと)ができました。
愚地克巳さんです。本当にありがとうございます。
過去にWikipediaを薄目で眺めていたとき、独歩さんの養子という文章が見えてしまっていたので、漠然と、武骨で無口な人物を想像していたが、実際は、20歳の若き天才で、自分の強さに慢心していて、ややパスみ(サイコパスぶり)を感じるほど明るい人物だった。
私は、たとえば三国志では、荀彧(じゅんいく)(※注3)が好きだ。日本の戦国時代では、石田三成(※注4)が好きだ。つまり優秀なインテリで、自分が主役になろうとするのではなく補佐に徹するタイプで、なんらかの悲劇性を抱えている人に弱い。あと基本的に、中年や老人のキャラにエロスを感じるので、20代ぐらいまでのキャラにはさほど興味がわかない。
だから、なんでなのか自分でも理由がわからないが、克巳が、街でラガーメンを楽しそうに半殺しにしたり、セクハラ野郎を半殺しにしたり、養父の独歩さんに対して「やっぱり才能がないッ」と言ったりしてるのを見て、胸がトゥンク……となってしまったのだ。
やだ……なにこの愛らしい子……。見守って課金してぇ……。おじや(※注5)食べさせてぇ……。
(克巳以外の人が言うと絶対にアウトだと思うが、この愛らしさよ……)
自分自身が克巳とつきあいたいなと夢想するような感じか?と言われると、これまで二次元キャラや芸能人についてそのように考えたことがあまりないから、本当のところ、どうなのかまだ判断がつかない。真剣に考えると、仮に克巳が私のことを好きだったとしても、私ではおそらく克巳を十分に幸せにできない気がするから、そっと身を引くと思う。
このように、1秒でも真剣に「仮に克巳が私を好きだったとしても……」とか思考できてしまうのがやばい。何がやばいかというと、私の頭ではなくて、克巳の魅力がやばい。
克巳と最初に対戦するローランド・イスタス(※注6)が、克巳の骨格を目で透視するシーンがあるが、これは私がコーチだったら叱りつけるところだ。透視するのはそこじゃない。もうちょっと手前の段階でとどめろ。あとお前の関節外しは、体術ではなくスタンド攻撃の領域に入ってるから、出演するマンガを間違えている。
もしかするとこの連載、ここからずっと、克巳夢日記になってしまうのかもしれないが、花山さんとの戦いは、ガチでやばかった。なんか余裕こいたパフォーマンスをしつつ自信満々で登場した克巳が、開幕から終幕まで、もうぐんぐんに負けそうなんですよ。高ぁ~い鼻をボコボコにへしおられて、おそらく生まれて初めて、挫折しそうになるのが、やばいんですよ。正味な話、挫折してるんですよ。そこで一皮むけるわけですよ。関係ないけど、古代ギリシャでは、男性のイチモツは、小さくて皮がむけてないほうが上品で良いとされていたんですよ(※注7)。
花山さんは実質、3回以上は勝てていたし、仁王立ちがマジで失禁もののかっこよさだった。なにより克巳をひとまわり大きくしてくれたので、保護者としては、二代目アリガトオオッッ!!……と感謝しかない。関係ないけど、乳首を大きくしたいときは、わざと傷をつけて、その傷が癒えるときに少し皮膚が盛り上がる、そういう作用を生かして大きくしていくらしいんですよ(※注8)。
ここらあたりで私は、克巳に男性の恋人がいないことが、かなり辛抱たまらなくなってきて、末堂さん(※注9)に目をつけたりしはじめた。しかし末堂さんはなんとなく、加藤清澄(※注10)とつきあっているような気がする。この二人は、克巳が好きだけれども、克巳を崇拝しすぎて告白できないので、身代わりだと割り切って互いに火照った体を癒しあっているうちに、ふと真の愛に気づく感じであってほしい。
そうなると、克巳の、186.5㎝、うっすらと脂肪を残した116㎏の身体を抱いたり、抱かれたりするのは、いったい誰なのか。
★お知らせッッ★
このシリーズを加筆修正し、『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考え続けた乙女の記録ッッ』として、河出書房新社から2019年11月に書籍が発売されました! 電子書籍もあるよ! もちろん秋田書店さんの許可をバッチリと取っております!!
書籍に収録されている範囲は、その1〜その16まで(『グラップラー刃牙』『バキ』までの感想全部)です! ぜひ一家に一冊、いや百冊!!
さらにこの奇書を原案として、松本穂香さん主演の実写ドラマ『「グラップラー刃牙」はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が制作されました!!(WOWOWさんが制作幹事) 2020年8月20日〜10月1日まで、全7回放映! 現在、いろんなサブスクで配信中ッッ! お一人で、またご家族で、そしてご友人とぜひお楽しみください!!
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