ブランド・ポートフォリオ戦略から、坂道グループの好調を読み解く
先日、とんでもない動画がこの世に召喚されました。
そう、日向坂46の「アザトカワイイ」ですね。異論はないと思います。
夏らしく、またアイドルらしい一曲で、最近乃木坂が出せていなかったタイプの曲かと思います。早くライブでWowWow叫びたいですね。
さて、ここで思ったことがあります。
「坂道グループって、ブランドポートフォリオうまくね?」
噛み砕くと、「坂道グループは、乃木坂、欅坂(櫻坂)、日向坂それぞれに特徴があり、バランスが取れたグループじゃね?」となります。
そこで、改めてブランドポートフォリオが何かを説明すると共に、と坂道グループがなぜ上手くいっているかをこの観点から考えていきたいと思います。
ブランド・ポートフォリオとは何か
まず、この聞き慣れない横文字を解剖したいと思います。
「ブランド・ポートフォリオ戦略」を著したDアーカーは書籍の中で、このように言っています。
ブランド・ポートフォリオの目的は、シナジーの促進、ブランド資産の活用、市場関連性の創造と維持、差別化と活力を伴ったブランドの構築と支援、そして明確さの達成である。
少し難解なので、批判を承知で噛み砕くと、ブランド・ポートフォリオ戦略とは
組織が所有するブランドを、互いに邪魔することなく、シナジーを生むように配置すること
と解釈しました。
とはいえ抽象度が高いので、具体例を我らがTOYOTAを引用しながら説明してみましょう。
(写真は書籍から引用)
「トヨタ・コーポレーション」という「組織」に対して各車種の「トヨタ」や「レクサス」というブランドが配置されています。
例えば、「レクサス」が「トヨタ(トラック)」の配下にあったらどうでしょうか?気持ち悪いですよね。レクサスの高級感は損なわれるでしょうし、トラックの持つイメージとも、全くシナジーを生めないでしょう。
これを防ぐために、ブランド・ポートフォリオという戦略が存在するのです。
どのような戦略があるか
前章で、ブランド・ポートフォリオは「組織が所有するブランドを、互いに邪魔することなく、シナジーを生むように配置すること」と話ししました。
しかし気になるのは「どんな配置があるの?」ということだと思います。お分かりの通り、配置にはいくつか種類があり、組織やブランドによって最適な配置方法が変わります。
詳細は書籍にお任せしますが、簡単に紹介だけします。
大きく4つの配置方法(ブランド関係チャート)があり、図で言うと右(マスター・ブランド戦略)にいくほどブランドのまとまりが強く、左手(個別ブランド)にいくほど独立性が強くなります。
例えば、個別ブランド戦略のP&Gの商品には「P&G」という名前は一切入っておりませんし、ブランドサイトにも記載がほとんどありません。
一方のマスターブランド戦略は、例えば「三菱グループ」です。三菱商事をはじめ、すべての子会社に「三菱」と入っていますし、例のマークが入っています。
このように、まとまりの強さによって、戦略が分かれることをご理解頂けると嬉しいです。
坂道グループのポートフォリオ戦略
さて本題です。日向坂46、ひいては坂道グループのブランド・ポートフォリオ戦略は何なのか。
これは、「保証付ブランド戦略」になります。
保証付きブランド戦略の辞書的な定義は「エンドーサーによって他の保証付きブランドを支援する戦略のこと」となっております。
「は???」なので、具体的に話します。
例えば、最近アパレルブランドがカフェやハンバーガー屋さんをオープンするケースが多いですが、これも保証付ブランド戦略です。
下記の「J.S. BURGERS CAFE」で言うと、このハンバーガー屋は、元々JOURNAL STANDARDが持っているブランド力を借りているのです。ただ単にハンバーガー屋をオープンするよりも「JOURNAL STANDARDがやっているから美味しいだろう」「店内もお洒落なのだろう」というように、品質を保証してくれるのです。
ここでの「JOURNAL STANDARD」を「エンドーサー」と呼びます。分かりやすく定義を言うと、「あるブランドを保証する別のブランドのことをいう。 製品ブランドに対する企業ブランドや、新ブランドに対する既知のブランドなどが相当する」となります。(ブランド戦略通信より引用)
つまり、例えば日向坂46は乃木坂46や欅坂46(執筆中に櫻坂46に改名)のブランド力を借りることで、品質の保証を得ていると言えます。もちろん、保証なんかしなくても最高のアイドルですが。
坂道グループは、その中でも連結ネーム戦略
保証付ブランド戦略の中にも色々あります。今回は割愛しますが、エンドーサーのプッシュ度合いによって類別されるようです。先程の「J.S. BURGERS CAFE」はプッシュ強めです。
坂道グループはプッシュ度合いが中くらいの「連結ネーム戦略」という戦略をとっています。Dアーカーによると連携ネーム戦略とは
「共通の要素を持った名前を通してエンドーサーがブランドにつながるもので、(それ自身では存在しない)暗黙的もしくは示唆されたエンドーサーを持ったブランド・ファミリーをつくり出す。これによって、それぞれが独自のパーソナリティと連想を持ちながら、マスター・ブランドや傘ブランドとの微妙なつながりを持った複数の独立したブランドを所有する方法が得られる。
これを読んだとき、「坂道グループやん、、、!」と衝撃を受けました。
各々当てはめていくと、
「共通の要素を持った名前を通して」→「○○坂46」
「ブランド・ファミリー」→坂道グループ
「それぞれが独自のパーソナリティと連想を持ちながら」→乃木坂、欅坂(櫻坂)、日向坂それぞれにカラーがある。
というように、非常にしっくりきます。
つまり坂道グループは「○○坂46」という共通要素によってブランド力を共有し、ファミリーとして独自の色を出しているのです。
また、連結ネーム戦略にすることで、新ブランド名(新グループ名)を一から構築し、既存ブランドに関連付ける苦労を無くすことができているのです。
まとめ
みーぱんマジ可愛い。
以上です、今日もありがとうございました。
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