Makuakeが創るアタラシイ応援
こんにちは、武田です。私が所属するマクアケでは昨年から、プロジェクトを支援することを「応援購入」と読んでいます。
これまではそのまま「支援」と呼んでいたのですが、我々が目指す世界観をより正確に表す言葉として「応援購入」を掲げました。
最近では多くの方が使って下さり、ありがたい限りです。
今回は、この応援購入について考察し、どのようにすれば生活者が応援購入をしたくなるのか、その為に伝えるべきことは何か、の指針を示したいと思います。
これにより、プロジェクトの価値が最大化され、広がるべきものが、広がるべき人に広がってくれるのだと思っています。
これまで「応援」や「購入」それぞれの研究や考察はいくつか拝見しました。「応援」はファン心理や寄付などに置き代えられ研究がされていたようですし、「購入」はそれこそP&Gをはじめとする世界のスーパーマーケター達が積み上げた英知があります。また、アーカー先生の「ブランド論」などが部分的に応援購入と共通しますが、少し違うようにも思えます。
ですので、我々Makuakeが応援購入を科学することは必然ですし、責務だと感じています。
応援と購入
さて、ようやく本題です。
まず大前提、応援購入には「購入よりの応援購入」と「応援よりの応援購入」があります。(下図Makuakeサービス資料より引用)
「購入よりの応援購入」に関しては、これまで「お金の対価として」商品・サービスを手に入れていたところから、そこに製造の背景や作り手の想いを乗せることで、購入のキッカケや後押しをできます。
(直近のレポートでは、エシカル消費に傾倒する10代が増えているという調査結果が出ています。)
また、これに関しては、私のnoteにまとめていますので、ご確認頂けますと幸いです。
一方、「応援よりの応援購入」は、元々あった寄付やボランティアに明確なリターン(特別な体験やグッズ)を付与することで、これらをより気軽に行うことができます。私は性善説を信じますが、それでも人間の良心には限界がありますし、経済的に余裕のある方ばかりでもないため、このような体験やグッズの付与は意味があると考えます。
大事なのは、応援と購入をANDで考えることです。多少の偏りはあっても、どちらも妥協しないことが大切です。「購入よりの応援購入」については上記noteで軽く考察したので、今日は「応援よりの応援購入」について考察しようと思います。
応援よりの応援購入
さて、ここからは「応援よりの応援購入」についてです。早速結論ですが、3つの型があり、それぞれで生活者が応援購入する動機が異なります。
①押し上げ型
押し上げ型は、主な著名人や有名なイベントに対しての応援購入で、サポーターは応援できている行為そのものに意味や誇りを感じます。
「尊敬 ・憧れ」が主な動機となり、サポーターは応援購入したことを、SNSや口づてで積極的にアピールしていきます。
そのため、リターンには実行者のブランドが付加されたノベルティを用意すると喜ばれます。
プロジェクトページに関しては、あまり謙りすぎないことが重要です。応援してもらう立場ではありますが、サポーターからの「尊敬 ・憧れ」を崩してはいけません。
Makuakeでは、祇園祭が代表的なプロジェクトになります。
②伴走型
続いて伴走型です。伴走型は、実行者とサポーターが一体となって推し進めるプロジェクトで、少数でもコアなファンやサポーターがいる場合がこれに当たります。
サポーターは応援というよりも、当事者として「一緒に実行している」感覚を楽しむ傾向にあり、実行者、サポーターの境界が曖昧になっていることが特徴です。「疑似恋愛感情」や「共依存的感情(ワンチーム感)」が近いかと思います。
リターンとしてグッズや体験を用意するのも大切ですが、それ以上に大切なのは「裏方感、仲間感」を出すことです。例えば「イベント当日スタッフになれる権利」や「企画会議に出れる権利」など、ワンチーム感を意識したいです。
Makuakeでは、トライピークスさんが好例です。
③引き揚げ型
最後に、引き揚げ型です。従来のクラウドファンディングや寄付に近い型で、社会貢献や地方活性化のカテゴリーに多い気がしております。
サポーターは応援購入を通して「自己効力感(自分が影響を与えた感覚)」や「育成欲」を充します。自分のおかげで目標を達成した、実行者が救われた、という応援購入体験を与えてあげることが重要です。
リターンにはプロジェクト達成により完成した商品やお礼のお手紙などを用意するケースが多いです。あくまでプロジェクト開始時点では完璧でない、余白が残っている方が、応援しがいがあるものです。
Makuakeだと、下記が有名です。
以上のように、実行者とサポーターの位置関係によって型が変わり、喜ばれるプロジェクト設計やリターン設計が変わってきます。
1つ勘違いしてはならないことは、「型が明確には分かれない」という点です。
分かれていない、混ざっている
上記で述べた「型」は1つに決まりません。「押し上げだし、伴走」もあれば、「全部」みたいなケースも中にはあります。
なので重要なのは、分けて考えるのではなく、混ぜて考えることです。
こんな感じ、あるいはもっと境界が曖昧かもしれません。混ざり合うものであることを前提に、それぞれの特徴をどの程度出すか、を考える必要があります。(これが、キュレーターのいる意味です)
引き揚げ型には限界がある
ここで、少し悲しくも残酷な事実を書こうと思います。それは「引き揚げ型には限界がある」ということです。引き揚げ型を全く悪く言うつもりはないのですが、この事実はキュレーターとして伝えなければなりません。
どういうことか。つまりは人間の無償の愛には限度があるということです(身内は特別)。これはつまり、いつまでも引き揚げ型でいることの不安定さを意味します。
皆様はこれまで、何回同じ団体に寄付しましたか?何回、同じ場所へボランティアに行きましたか?ということなんです。引き揚げ型は、寄付やボランティアに近い分、多くの人にとって継続することが難しいです。
永く応援してもらうために
継続的に応援してもらうために、僕は2つのことが重要だと思います。
1つは、同じ型に止まらないこと。
上で述べたように、特に引き揚げ型は、同じ型に停滞しているとサポーターが離れていきます。どこかのタイミングで伴走型や押し上げ型に映ることができないと、継続的な応援は難しいでしょう。そういうものです、申し訳ありません。
伴走型や押し上げ型も、時折別の型に移ることで、より積極的な応援や、新たな層からの応援を頂ける場合もあります。Makuakeですと、きゃりーぱみゅぱみゅさんのプロジェクトがこれに当たるかと思います。
これまでは完全に「押し上げ型」だったきゃりーさんですが、新たなチャレンジに励む一面を見せることで、「引き揚げ型」の要素も取り入れています。
こういった「型を移動」することが実行者の物語となり、サポーターは楽しみながら応援することができるのだと思います。
もう1つは、リターンを妥協しないこと。
応援とはいえ、特に引き揚げ型においては、リターンを妥協しないことが重要です。「お礼のお手紙」などは初めのうちは嬉しいものですが、何度も欲しいものではありません。決して見栄を張る必要はないのですが、例えば地域の特産物など、可能な限りのリターンを用意することが大切だと考えます。こうすることで、応援購入のハードルがグッと下がります。
逆に言うと、「押し上げ型」は応援行為自体に満足するケースが多いので、リターンの重要性は相対的に低くなります。
とはいえ、かたちでお返しすることの重要性に変わりはありません。
さいごに
今回は「応援よりの応援購入」について説明をしてきました。色々と分析をしてきましたが、キュレーターとして肌で感じるのは「本気の実行者が成功している」ということです。
いくら戦略が優れていようと、リターンが魅力的だろうと、生活者は実行者の本気度を分かってしまいます。僕も、ページを見ればすぐに分かります。
Makuakeは、本気の実行者が成功するプラットフォームです。
武田のTwitterはこちら
参考文献
・あなたを応援したくなる5つの要因とは? 進化心理学で考察
https://note.com/nasobem/n/n628306e0e6e5
・プロ野球ファンに関する研究
file:///Users/s01124/Downloads/KJ00004728104.pdf
・第四の消費
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