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NHKニュースウォッチ9

「おせっかいワーカーになろう⑫」

 見守り訪問を始めて2年過ぎた頃、NHKから取材の依頼があって、大分迷った末に受けることになりました。基本は担当の児相が個人情報などの問題を前もって十分話し合ってもらえると確認できたからですが、自分たちの活動を社会の人たちにもっと知ってもらい、地域で助け合って子育てする考え方を広げたい思いがありました。しかし実際の取材は本当に大変でした。

 期間は7月末の2日間、とにかく暑い真っ盛りで夜間がメインでした。東京から記者と取材スタッフが、大きなワゴン車をチャーターして乗り込んできました。正直なところ、その黒っぽい大きなワゴン車を見たときに、初めてテレビに映るんだと実感してビビッてしまいました。

 まず私と女性スタッフが夜間訪問するところの取材を受けました。録音スタッフに胸にピンマイクを張って、カッターシャツで腰のところにつけた発信機を見えないようにしてもらい、「マイクが訪問先の相手に分からないようにしてください」と言われました。訪問すること自体がドキドキなのに、発言を録音されていると思うと、もうガチガチに緊張しながら、アパートの階段を昇っていきました。

 訪問先は父娘のひとり親家庭で、十分な食事がとられていない様子が見られたり、アパートの最上階で天井から熱気がムンムン伝わる暑さでしたがエアコンは使われてなくて、経済的に厳しいことが想像されました。オンエアされたものは全部カットされていましたが、お父さんに不審がられて強い口調で身分を尋ねられたり、呼ばれた娘さんが大声で泣き出したりして、ドキドキの動悸が喉にのぼってくる感じでした。

 次の日は、昼は児相の受理会議や緊急支援課のインタビュー、ワーカーズが運営している子どもプラザや事業本部で撮影して、夜間はマンションへの訪問を2件取材されました。

 幸運にも訪問の取材が順調に進んで、予定の4日間を待たずに2日で終了しましたが、ずっと立ち会って、身体の芯からくたくたになりました。

 翌週の「ニュースウォッチ9」で8分間放送されました。全国放送で自分を見るのはオロオロするくらい恥ずかしかったですが、予想を上回る反響があって、いろいろな方から連絡を頂きました。メディアで情報を発信する大変さと、その影響力の大きさを、初めて体験しました。

         【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう⑫」】

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ヒゲリン
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